サイエンス

妊娠すると女性の脳に変化が起きて「母としての力」が強くなると研究で判明

by Vladimir Pustovit

妊娠するとホルモンバランスが大きく変動し、体にも変化があることが知られていますが、それだけにとどまらず、脳にも変化があることが最新の研究によって明らかになりました。

Pregnancy leads to long-lasting changes in human brain structure : Nature Neuroscience : Nature Research
http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/ncurrent/full/nn.4458.html


Pregnancy resculpts women’s brains for at least 2 years | Science | AAAS
http://www.sciencemag.org/news/2016/12/pregnancy-can-resculpt-women-s-brains-2-years

Pregnancy leads to brain changes that help mothers care for their babies - The Verge
http://www.theverge.com/2016/12/19/14008506/pregnancy-brain-changes-grey-matter-mother-child-bonding-nature-health

これはオランダ・ライデン大学の神経科学者Elseline Hoekzema氏やバルセロナ自治大学の研究チームによって明らかになったもの。


研究チームは女性25人に対して、妊娠前と出産後3週間~数カ月の2回にわたり脳のスキャンを実施。これと同じ間隔で、奥さんが初産を迎える父親19人、子どものいない男性17人、妊娠経験のない女性20人にもスキャンを行い、それぞれ分析を行って灰白質量の変化を調べました。

その結果、妊娠した女性だけ灰白質や海馬の容量が減少していることがわかりました。妊娠の経緯が自然妊娠か体外受精かは関係なく一貫して見られた傾向で、MRIスキャンを行えば女性が妊娠しているかどうかが100%予測可能だったとのこと。

母親になった25人のうち、2人目以降を妊娠しなかった11人に対して、2年後に再びMRIスキャンを行ったところ、海馬の容量は回復していましたが、灰白質の容量は減少したままでした。

また、出産後の母親たちに自分の子どもを含む何枚かの子どもの写真を見せて、脳の働きをMRIスキャンで確認したところ、自分の子どもの写真を見たときに、灰白質の失われた脳領域が強い神経活動を示したこともわかりました。

by Mila Gutorova

今回、灰白質の減少がみられた領域は社会的認知を司っていますが、海馬の容量減少と合わせても、記憶力の減退や認知機能の低下といったマイナスの影響は出ておらず、シナプス刈り込みによって不要なシナプスを除去し、神経ネットワークの効率を高めているのではないかと研究チームは考えています。

この研究は妊娠した女性の脳に長期的な変化があるという証拠を示した初のもの。さらなる研究が必要ですが、子どもを一度でも産むと女性は体も脳も「母親」になるというのは間違いないようです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
妊娠中の運動は赤ちゃんの脳の成長をロケットスタートさせる効果がある - GIGAZINE

妊娠して子どもを産むのにどれぐらいコストがかかるのか?アメリカの場合 - GIGAZINE

フィンランドの乳児死亡率が世界一低いのは段ボールで赤ん坊を育てているから - GIGAZINE

10代の妊娠を防ぐための「赤ちゃんロボット」が妊娠を促すという逆効果をもたらす - GIGAZINE

妊娠中のビタミンD欠乏症が子どもの自閉症の発症と関連していることを研究で確認 - GIGAZINE

男性が出産の苦しみを体験するとどうなるのか?ということを体を張って実験したムービー - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.