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10代の妊娠を防ぐための「赤ちゃんロボット」が妊娠を促すという逆効果をもたらす

By HibaHaba

オーストラリアやイギリスといった国では、子どもがいる生活を疑似体験できる赤ちゃんロボットを性教育に取り入れている学校があります。生まれたばかりの母親がどれだけ大変な苦労をしているかを体験することで、軽率な性行為からの妊娠を防ぐ目的がありましたが、実際には妊娠を促してしまう効果があることがわかりました。

Magic dolls: no quick fix for teenage pregnancy - The Lancet
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)31411-8/

Study: Robot baby dolls don’t curb teen pregnancies. In fact, they may increase abortions. - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/morning-mix/wp/2016/08/26/study-robot-baby-dolls-dont-curb-teen-pregnancies-in-fact-they-may-increase-abortions/

欧米のいくつかの学校で採用されている赤ちゃんロボットは、コンピューター搭載で赤ちゃんロボットの動作をコントロールし、トイレに行きたくなったりおなかがすいたり機嫌が悪くなったりなど感情を表現する機能が付いたロボットで、生徒は数週間のプログラムの間に赤ちゃんロボットと生活を共に送り、母親を疑似体験できるというものです。


赤ちゃんロボットに本当に妊娠を抑制させる効果があるのかを調べるべく、オーストラリアのウエスタンオーストラリア州で13~15歳の少女約3000人に対して大規模な調査が行われました。調査は約3000人のうち1267人に赤ちゃんロボットを週末だけ貸し出し、1567人の少女に一般的な性教育を受けさせ、少女たちが20歳になるまでその後の生活を追跡するというものです。


調査の結果、一般的な性教育を受けさせたグループで20歳までに妊娠したのは全体の4%でしたが、赤ちゃんロボットを貸し出したグループで20歳までに1回でも妊娠した人の割合は全体の8%という結果になりました。両者には2倍近くの差が付いてしまい、赤ちゃんロボットは10代の妊娠を抑制するどころか、妊娠を促す効果がある可能性が指摘されています。

なぜ赤ちゃんロボットのグループの妊娠率が一般的な性教育を受けさせたグループよりも高くなったのかは明らかになっていませんが、調査を率いたサリー・ブリンクマン教授は「赤ちゃんロボットは多数の良い側面をもっていますが、若者の妊娠に対する興味を失わせるにはいたらなかった」と話しています。

By Thomas Pompernigg

また、赤ちゃんロボットを取り入れているイギリスで子ども向けのカウンセラーをしているジャネット・コリンズさんは、赤ちゃんロボットを貸し出された母親から「赤ちゃんロボットの電源を切りたいです。娘が夢中になりすぎておかしくなってしまった」という相談を受けたことがあり、「赤ちゃんロボットの世話を通して、自分でも本物の赤ちゃんの世話をできると感じた子は、実際に妊娠する傾向があると思いますね」と話しています。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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