「妊婦はキメラ化する」など、妊娠によって女性が経験する18個の変化
by freestocks.org
妊娠・出産によって女性はさまざまな体の変化を経験します。一時的な変化もありますが、中には一生続く「変化」もあるということで、科学系メディアのLive Scienceが、妊娠を経験した女性の変化18個をまとめています。
18 Ways Pregnancy Changes Your Body Forever
https://www.livescience.com/63291-post-pregnancy-changes.html
◆01:足のサイズ
by Wokandapix
妊娠によって女性の足のサイズが変化するのは、主に体重増加とホルモンの影響。アメリカ産科婦人科学会(ACOG)は一般的に女性は妊娠によって体重が11~16kg増加すると説明しており、これにより足裏のアーチがなくなったり、ハーフサイズ(5mm)も足が大きくなったりする女性もいるとしています。
また、骨盤内の靱帯(じんたい)や関節を緩めるリラキシンというホルモンが妊娠末期に放出され、全身に作用して足の構造を緩めることがあるとカリフォルニア大学ロサンゼルス校の婦人科学准教授であるLeena Nathan氏は述べています。リラキシンによって大きくなった足は出産・減量後でも小さくならないとのことです。
◆02:体重増加
コーネル大学のKathleen Rasmussen教授によると、女性の4人に1人は出産から1年後に5kg以上の体重増加を経験するそうです。また、平均すると出産から1年後に体重が1kg増加することもわかっています。
◆03:膣の変化
婦人科医のAlyssa Dweck氏は、ほとんどの場合、出産後の膣はもともとのサイズ近くまで小さくなりますが、それでも膣の直径は出産前に比べると大きくなると語っています。ただし、この変化は、出産の形や赤ちゃんのサイズ、遺伝的要素などによって影響を受けるとのこと。
◆04:尿意の問題
出産後の女性が面する深刻な問題の1つに「ぼうこうのコントロールがきかなくなる」というものがあります。これは、普通分娩がぼうこうのコントロールを行う筋肉を弱くし、ぼうこうの神経やそれを支える組織を傷つけ、骨盤底が下がってくるためだとメイヨー・クリニックは説明しています。帝王切開でも同様にぼうこうのコントロールがきかなくなることがあり、このような場合には骨盤底筋のトレーニングが推奨されています。
◆05:歯を失う
by rawpixel
American Journal of Public Healthに発表された研究で1人の子どもを持つ人が失う歯の数は2本であるのに対し、子どもが2人いる女性は4本の歯を失っていることがわかっています。そして、子どもの数が4人以上になると、失う歯の数は平均7本になるとのこと。なぜ子どもの数が増えるにつれ失う歯の数が増えるのかという理由ははっきりしていませんが、オハイオ州立大学ウェックスナー・メディカル・センターのMichael Cackovic氏は、妊娠期のホルモンが口内のバクテリアに影響を及ぼすと見ており、妊娠期の口内ケアが重要になってくると述べています。
◆06:乳房のサイズ
妊娠中・妊娠後に女性の乳房のサイズは大きく変化します。非妊娠期の乳房は脂肪細胞が大部分を占めていますが、妊娠すると授乳に備えて乳腺細胞が増殖して大きくなります。ただしこれは一時的な変化で、授乳が終わると乳腺細胞が減少し、乳房は小さくなります。
◆07:胸の下垂
靱帯やエラスチンがのびるため、妊娠・出産後、女性の胸は下垂します。ただし、胸の下垂は授乳よりも、喫煙、体重増加、複数回の妊娠といった要素との関連性が大きいそうです。
◆08:乳がんのリスクが少ない
2002年の調査で、授乳をすると生涯のうちで乳がんになる確率が減少することがわかっています。12カ月授乳するごとに乳がんになる確率は4%ずつ下がっていくとのこと。また、発達途上国でたくさんの子どもを育てている女性も、乳がんリスクが半分になったことが示されており、その理由の多くは授乳だとみられています。
◆09:妊娠線
急激な体重の増加や減少を経験すると、皮膚にストレッチ・マークと呼ばれるピンク色や赤色の線が浮かびます。妊婦も例外ではなく、「妊娠線」と呼ばれるストレッチ・マークがつきます。妊娠線は1~2年たつと消えていきますが、第2子、第3子の妊娠や体重の増減で再び顕著になります。
◆10:増毛
by Yoann Boyer
妊娠している時、髪の毛の量が増加していることに気づく人もいるはず。これは、ホルモンの影響で髪の毛が抜ける本数が少なくなるためです。髪の増毛は一時的なもので、出産後、ホルモンの量が減少すると通常に戻ります。
◆11:肌の変化
妊娠中は肌のいろんな部分に変化が生じます。おなかの真ん中から陰毛にかけて、ラテン語でLinea nigraと呼ばれる黒っぽい線が入り、また顔にシミのような「肝斑」が発生しやすくなります。これは体内でメラニンが増加していることに由来しており、多くは出産後に消えていきますが、人によっては何年も残ることもあるとACOGは述べています。
◆12:糖尿病
妊娠中にのみ血糖値が異常になる妊娠糖尿病は10%の割合で発生しているとアメリカでの調査で示されました。また、妊娠糖尿病になった女性の半数は、出産後に2型糖尿病を発生させるとCackovic氏は述べています。妊娠糖尿病になる女性の多くは、家族に糖尿病患者がいる人だといいます。
メイヨー・クリニックは、妊娠糖尿病になった女性は、妊娠後の数年は体重と食事の管理を行い、血糖値を観察し、検査を行うことを推奨しています。
◆13:性欲
by Adam Kontor
出産後、性欲を通常レベルにまで戻すには数年がかかる、とCackovic氏は語ります。これは、乳幼児の世話による疲れや、授乳との関係性が考えられているとのこと。Cackovic氏は、授乳中の女性はエストロゲンのレベルが低いために性欲が減少するとも説明しています。
◆14:子宮が大きくなる
非妊娠時の子宮のサイズは洋なしほどですが、妊娠期はスイカほどに拡大します。後に子宮は縮んでいきますが、必ずしも元のサイズに戻るわけではありません。
1996年の研究で、出産を経験した閉経前の女性は、分娩後であっても、出産を経験しなかった女性よりも子宮のサイズが大きいことが示されました。ただし、これを「永久的な変化」と呼ぶことは不正確で、閉経後にはさらに小さなサイズにまで縮むそうです。
◆15:腹直筋離開
出産後の永久的な変化の1つに「腹直筋離開」と呼ばれるものがあります。妊娠期におなかの膨らみと共に腹筋が離れることにより、腹筋と腹筋の間に隙間が生まれるのです。妊娠を経験した女性の3分の1から3分の2は、出産から1年が経過した後も、この隙間を持った状態とのこと。
◆16:オーガズム
普遍的な変化ではないものの、骨盤底筋が伸びることにより、オーガズムが妊娠・出産前より弱くなることも知られています。婦人科医のAlyssa Dweck氏が「女性にとって最も大きな性器は脳なのです」と語るように、オーガズムが弱くなる理由については、肉体的な原因以外にも疲れや痛み、授乳といった要素が関連しています。
◆17:キメラになる
by Jordan Whitt
妊娠している時、母親のおなかの中は赤ちゃんの細胞で満たされます。赤ちゃんの細胞は胎盤を通って母親の血液中に入るため、そのいくらかは出産後も体内に残ることになります。2012年には、子どもを持つ女性の体を検死したところ、脳から男性のDNAが見つかったことが報告されました。この胎児細胞は傷ついた臓器の修復を助けるとも考えられています。
◆18:お尻
出産を経て、自分のお尻が大きくなっていることに気づく人もいるはず。この原因は、子どもを押し出すためにリラキシンによって関節や靱帯が緩くなることのように見えますが、Cackovic氏によると、そうではなく、シンプルに脂肪が体に蓄積しているとのことです。
・関連記事
なぜ妊娠中は悪夢を見やすくなってしまうのか? - GIGAZINE
10代の少女の妊娠に対する「思い込み」VS「本当の現実」 - GIGAZINE
女性は出産後に声が一時的に低くなって「男性化」する - GIGAZINE
妊娠して子どもを産むのにどれぐらいコストがかかるのか?アメリカの場合 - GIGAZINE
10代の妊娠はリアリティ番組によって減少するのか? - GIGAZINE
妊娠中の運動は赤ちゃんの脳の成長をロケットスタートさせる効果がある - GIGAZINE
・関連コンテンツ