サイエンス

なぜ妊娠中は悪夢を見やすくなってしまうのか?

by Corina Sanchez

せっかく気持ちよく眠っていたはずなのに、悪夢を見てしまうと嫌な気分で目が覚めてしまいます。誰だって好んで悪夢を見たくはありませんが、妊娠中の女性は普通の人よりも悪夢を見やすくなってしまうそうです。その理由について、科学系WEBサイトのLive Scienceがまとめています。

Why Does Pregnancy Cause Weird Dreams?
https://www.livescience.com/63069-why-weird-dreams-pregnancy.html

人間の睡眠には大きく分けてレム睡眠ノンレム睡眠があります。入眠してから70分~90分で最初のレム睡眠に入り、その後、ノンレム睡眠とレム睡眠を一定周期で繰り返します。人間の睡眠のうちレム睡眠が占めるのは全体の25%で、この間は眼球が激しく動きます。夢を見るのもレム睡眠の間です。


科学者らの研究によって、脳の働きが次第に明らかになってきています。オハイオ州立大学で睡眠医学の准教授を務めるリャン・ドナルド氏によれば、夢を見ている間は脳が記憶の統合や新しい情報の処理を行っているとのこと。夢を見ているレム睡眠中に起きてしまうと、その人は夢の内容を高確率で覚えていますが、脳が整理する情報が複雑であればあるほど夢は複雑怪奇なものになり、後から思い出して悪夢だと感じやすい夢になります。

産婦人科医のジュリー・レヴィット氏によれば、妊娠している女性は睡眠障害を経験することが多いそうです。レヴィット氏は「妊娠初期は妊娠を維持するために分泌されるホルモンの一種、プロゲステロンが多量に分泌されます。体内におけるプロゲステロンの濃度上昇は、不眠を引き起こすことがよくあります」と語りました。

by Sara Neff

通常、プロゲステロンの濃度上昇は妊娠12週目~16週目で弱まりますが、妊娠28週目を超えると妊婦はさまざまな要因で睡眠の質が低下してしまうとのこと。「出産直前、妊婦の睡眠状況は非常に悪くなってしまいます。夜中にトイレに行きたくなったり、いびきや睡眠時無呼吸症候群を発症したりします」とレヴィット氏は述べています。

ドナルド氏は、妊娠時にはむずむず脚症候群を発症する可能性が高くなり、脚がむずむずしたり不快感を覚えるなどの症状が出て睡眠が妨げられてしまうと話しています。妊婦は基本的に睡眠の質が低下しやすいため、通常起きないはずのレム睡眠中に起きることが増え、結果として悪夢を覚えている可能性が高くなるとのこと。

2016年に発表された研究では、17歳から44歳までの妊婦406名を対象にした調査を行いました。すると、妊娠している女性はそうでない女性と比べて、約2倍も悪夢を見やすいという結果が出ています。中でも妊娠末期において悪夢を見たという報告が多かったとのことで、体の負担が大きくなり、心身ともにストレスをためやすい妊娠末期には悪夢を見やすくなるようです。

by Liliana

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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