ハチは互いに「教師」「生徒」となり技術を教えあうことができる
by Sangudo
ハチは数を4つまで数えることが可能で、ポジティブな感情を示すことができると、過去の研究から明らかになっています。そして、最新の研究によって「ハチは互いに新しい技術を教えあうことができる」ということも判明しました。
Bees Can Count to Four, Display Emotions, and Teach Each Other New Skills | Motherboard
http://motherboard.vice.com/read/bees-can-count-to-four-display-emotions-and-teach-each-other-new-skills
「『生徒』となるハチは『インストラクター』になるハチの行動を見ることで新しい技術を学ぶことができる」ということを明らかにしたのは、クイーン・メアリーで動物の脳を研究する認知科学者のクリント・J・ペリー氏が率いる研究チーム。ペリー氏はまず、自然界ではまず覚えることがない「アクリル樹脂板の下から花の蜜が設置された丸いプレートを取り出して、戻す」という複雑な行動を1匹のハチに教えました。
以下のムービーからアクリル樹脂板の下に挟まれた花の蜜を取り出すハチの様子が確認できます。
Watch This Bee Pull a String to Get Nectar, a Move She Just Learned - YouTube
アクリル樹脂板の下に3つの丸いプレートが置かれています。
ここにハチがやってきて……
ぐいぐいとプレートつながる糸を引っ張りだしました。
そして見事プレートの真ん中にある花の蜜をゲット。
研究チームが「丸いプレートの中に花の蜜がある」「糸を引っ張る」「蜜を得た後にプレートを戻す」といったプロセスを教えたところ、ハチは平均5時間で技術を獲得。さらに、技術を獲得したハチが蜜を得る様子を、ケースに入れた他のハチに何度も見せたところ、直接にはプロセスを教えていないハチも技術を習得することができたとのこと。10回ほど蜜を得る様子を見せられた、いわば「生徒」のハチのうち60%は、仕掛けのもとに放たれると5分以内に蜜を得ることができたそうです。
一方で、ケースに集めて「見せる」のではなく、技術を得たハチと一緒に飛ばしたハチは時間がかかりましたが、最終的には技術を学んだ様子が見られました。そして、最初に技術を獲得し「インストラクター」となったハチが死んでしまってからも、ほかのハチたちはインストラクターが行ったのと同じ方法で蜜を得続けたとのこと。
この研究によって、技術を教え合うことのような、これまで研究者が「複雑だ」と考えていた行動は実際のところ単純であるという可能性が示されました。また、現在では複雑な認知機能のためには大きな脳が必要だと考えられていますが、必ずしも大きさは問題にならないという可能性も出てきたと言えます。
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