イルカとイヌはどちらの方がより賢いのか?

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イルカは体重に占める脳の割合がヒトに次ぐことから高い知性を持つのではないかと言われています。一方、イルカや類人猿よりも高い知性を持つのではないかと言われているのがイヌです。この2種はどちらの方が「知能」が高く「賢い」のか、様々な研究が進められています。

BBC - Earth - Are dolphins cleverer than dogs?
http://www.bbc.com/earth/story/20140909-are-dolphins-cleverer-than-dogs

2006年、アイルランド北部・トーリー島に1匹のバンドウイルカが迷い着きました。イルカは「ドギー」と名付けられて島の人々に気に入られます。このトーリー島に住んでいたラブラドルレトリバーのベンは海に飛び込んでドギーと一緒に遊ぶようになり、やがて2人(?)はコンビとして取り上げられるようになりました。

以下のムービーでは、有名になったベン&ドギーのコンビが一緒に泳いでいる姿を見ることができます。

Tory Island dog swimming with dolphin


港の中で泳いで遊ぶイルカのドギーとイヌのベンの姿。その光景は人々の注目を集めています。


イルカは前述のように、体重に占める脳の割合がヒトに次ぐことから知性が高いと考えられてきた生き物で、このムービーでわかるように実際に高いコミュニケーション能力を持っています。

しかし、近年はイヌの認知能力に対する関心が高まりを見せています。イヌの心理を研究するデューク大学・Duke Canine Cognition Centerとポーツマス大学・Dog Cognition Centreによる研究チームによると、イヌは従来考えられていたよりも高い知性を備えており、場合によってはイルカや類人猿よりも賢い傾向を見せることがわかりました。

イヌが持つ知性のレベルについて、エール大学の心理学者であるローリー・R・サントス氏は「ヒトとの意思伝達能力について、イヌには霊長類よりも高い能力を示す結果がいくつも存在しています」と語ります。霊長類とイヌ科の動物が人間の心理に与える影響を研究しているサントス氏は、「イヌは人間が情報を伝えようとしていることを理解しているし、その伝達手段についても霊長類よりはるかによく理解しています」とイヌの優れた認識能力を示します。

By sarah ...

その高い認知能力は、人間が何かを指さしたときに、その対象物に目を向けるというイヌの動きに現れているとのこと。イヌよりもヒトに近いチンパンジーが同じ場面に遭遇しても反応を示さないことから、イヌは人間が何かを伝えようとしていることを感じ取る能力があるとサントス氏は指摘しています。

さらに、イヌの中には人間の文字を区別する能力を持つものがいることも確認されています。ボーダーコリー犬の「チェイサー」はオモチャにつけられた名前を読み取る訓練を受けており、トレーナーに指示されたオモチャを間違えずに見つけてくることができるとのこと。さらにチェイサーは、簡単な文章をも理解できることがわかっています。「to Frisbee take ball(フリスビーに、ボール、持って行く)」のような「前置詞」+「名詞2つ」+「動詞」で構成される短文の意味を理解し、指示されたとおりに行動することができます。

イルカが理解していると考えられる言葉の数が40~50個であること、「天才ボノボ」のカンジでも数百の単語しか理解していないことを考えると、このイヌの理解力がどれだけ高いものなのかがわかります。

By rmcnicholas

一方で、イルカにはイヌよりも高い「文章理解能力」が備わっていることも明らかにされています。ハワイ大学のルイス・M・ヘルマン氏らの研究によると、「through(~を通って)」や「imitate(まねる)」のような複雑な語を含む文章を理解できることが明らかにされており、単純な「~を取ってこい」のような命令よりも高度な理解能力が備わっていることが判明しています。

What Laboratory Research has Told Us about Dolphin Cognition
(PDFファイル)http://www.dolphin-institute.org/our_research/pdf/Herman%202012B.pdf

さらに、イルカには高い「問題解決能力」が備わっていることも知られています。ある実験では、プールの中に複数の「重り」をあちこちに散りばめて置いておき、イルカにそれらを集めさせたときの行動が観察されました。全ての重りを集めて台の上に置くとエサが食べられるというご褒美が用意されているのですが、実験が開始されてすぐにイルカは重りを一つずつ集めることをやめ、全ての重りを集め、ひとまとめにしたうえで台に持って行くという行動をとるようになりました。この結果から、イルカには自らの行動を事前に計画し、解決策を考える能力が備わっていることが明らかにされています。

By Riccardo Cuppini

気になる「イヌとイルカはどちらの方が賢いのか」という疑問ですが、サントス氏は、イルカとイヌを比較することにはあまり意味がないと考えています。

イヌは古くから人間とともに暮らす生活を送っており、次第に人間の考えをくみ取る能力を身に付けてきたものと考えられています。一方のイルカは、人間とは一定の距離を置いた世界の中で独自の認知能力を進化させているので、イヌが持つ能力とは似て異なるものが備わっています。それでも「高い知能がある」と考えられているのは、イルカたちの取る行動が人間とよく似ているからといえます。

サントス氏は、それぞれの動物が持っている能力の違いについて「動物はそれぞれが置かれた環境に応じて認知力を進化させてきました。そのため、知能を比較するということが意味を持たないという場面も数多く存在します」と語ります。砂の中に隠れた魚を音波を使って探知することができたり、睡眠中でも呼吸のために浮上できるように脳の半分ずつ睡眠を取ったりするというイルカの持つ特徴は、生きていくのに必要なため身についた能力です。

これらのことからサントス氏は「つまり、人間も、必ずしも他の動物よりも『賢い』と言うことはできないのです」と語っています。

By Riccardo Cuppini

ヒトやサルなどの動物は「視覚」に多くを頼る生き物である一方で、イヌは多くを「嗅覚」に頼っています。イルカも霊長類と同じく視覚に頼る生き物ですが、それに加えて音波を使って物体の向こう側にある物体を感知する能力を備えています。これらはいずれもヒトには備わっていない能力であることは明らかです。従って、イルカにとって目に見えないものや音波を使って感知できないものは、理解できないものであるということができます。さらにいえば、物体の認識方法が人間とはまったく異なっているのかもしれません。

結局のところ、「イヌとイルカはどっちが賢いのか?」という質問は、「金づちとネジ回しはどちらが強いのか?」という質問と同じぐらい意味がないとサントス氏は締めくくっています。生き物はそれぞれが置かれた場所で進化を遂げて能力を身に付けているのであり、人間の尺度だけで知能を判断するという考え方には、少々の無理があると考える必要があるのかもしれません。

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