サイエンス

素早い意志決定がなぜ間違えやすいのかという理由が明らかに

By ElenahNeshcuet

急いで決断を下さねばならない時、人は答えを間違いがちになります。この「なぜスピードを求められると正確性が下がってしまうのか?」という理由について、「脳が非常に情報に対し敏感になり、不十分な情報であっても正確であるかのように見えてしまう」のが原因である、とアメリカ・ヴァンダービルト大学の脳神経学者Richard Heitzさんたちの研究チームが明らかにしました。

Neuron - Neural Mechanisms of Speed-Accuracy Tradeoff
http://www.cell.com/neuron/abstract/S0896-6273(12)00767-2

How the Brain Trades Accuracy For Speed | LiveScience
http://www.livescience.com/24605-fast-brains-make-mistakes.html

Heitzさんによれば「すばやく決断を行わなければならない時、脳は物事をそれまでとは違ったように見る」とのこと。研究ではスクリーン上に映しだされたアルファベットのTの海の中からLを見つけ出す、あるいは反対にLの海からTを見つけ出す、というように猿をトレーニングして実験が行われました。この時、前頭前皮質にある意思決定や認知処理に関わっている部分のニューロンの活動を記録したところ、スピードと正確性のバランスは順向性と知覚、そして反応の3つがそれぞれニューロンで変化することによって調整されることがわかったのです。

By Rebecca-Lee

スピードが求められるテストでは、猿は正しいアルファベットをすばやく見つけられた時だけ褒美としてジュースを得ることができます。そして正確性のテストでは、時間がどれほどかかったかに関わらず、正しいアルファベットを見つけ出した時にジュースをもらうことができるのですが、間違いを犯すとタイムアウトとなりました。なお、それぞれの実験を行う前にはスクリーン上に色つきの円が表示され、早さと正確性のどちらが求められるのかを猿に示したそうです。

実験において次に行われるのがスピードのテストである、ということを猿が理解した時、テストの前であってもこれらのニューロンにおける電気信号は活発になりました。そしてスピードテストで正しいアルファベットを見つけたと判断すると、視覚情報を処理する部分のニューロンが強く反応したのです。すばやく判断を行う際、ニューロンは非常に敏感になっていて、まるで実際にスクリーン上のアルファベットが光ったかのように脳に情報が届いた、とのこと。

By law_keven

つまり、早さが求められる時、脳の感度は非常によくなるということであり、研究者によれば、感受性が高いということはいいことのように聞こえるかもしれませんが、物事を実際よりも重要なものとして捉えてしまうため、不完全な答えであっても正しいものとして見なしてしまう可能性がある、とのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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