ビッグデータで健康状態を分析し、妊娠の可能性や病気のかかりやすさなどがわかるように

by Rick

雇用者の立場になると、従業員の健康状態が気になるものですが、健康に関する個人のデータを集めて健康上の問題を発見するサービスを、Castlight HealthやWelltokといった企業が提供しています。ビッグデータ化した大量の健康情報を分析することで、病気にかかりやすい社員を見つけたり、女性が妊娠しているかどうかも分かったりもするとのことで、アメリカでは大企業を中心にヘルスケアデータ分析サービスの導入が始まっています。

Bosses Tap Outside Firms to Predict Which Workers Might Get Sick - WSJ
http://www.wsj.com/articles/bosses-harness-big-data-to-predict-which-workers-might-get-sick-1455664940

Bosses Harness Big Data to Predict Which Workers Might Get Sick - NASDAQ.com
http://www.nasdaq.com/article/bosses-harness-big-data-to-predict-which-workers-might-get-sick-20160216-01321

Big data knows if you're pregnant | The Verge
http://www.theverge.com/2016/2/17/11032606/big-data-employers-health-info

アメリカでは、WalmartやJPモルガン・チェースのような大企業をはじめとして、社員の健康管理と、社員が病気になった際に適切な治療を受けられるように、ヘルスケア企業と契約して健康データの収集・活用を委託しています。例えば社員の処方薬や、買い物の方法、さらには選挙に行ったかどうかなどのデータを分析して、もしも何らかの健康上の問題が見つかった場合、健康を保つための注意事項や、おすすめの病院、治療方法などが社員宛にメールで送られるようになっているそうです。Wall Street Journalによれば、健康情報を収集されたくない場合は、個人的にデータ収集を拒否することもできるとのこと。

会社の社員の健康を管理するサービスは、Castlight、Welltok、Jiff、ActiveHealth ManagementGNS Healthcareなど、数多くの企業が提供を始めています。Castlight Healthが開発した健康管理システム「Castlight Action」では、女性の年齢・出産した子どもの人数・ピルを服用しているかどうか・その他健康に関するデータを集めて、妊娠の可能性を算出することもできるとのこと。妊娠の可能性が高いと推測される女性は、妊娠時の健康管理に関するあらゆる情報をメールで受け取れるそうです。

Complete Enterprise Healthcare Solution
http://www.castlighthealth.com/

しかし、Castlightでは社員の健康に関するデータを雇用主にすべて公開しているわけではないとのこと。「社員のプライバシー問題の考慮」という理由で、どの社員がどんな病気にかかっているのか、という個人的なデータを見ることはできないシステムになっているそうで、Castlightの開発陣すら、顧客の個人的な医療情報は見られないそうです。

雇用主は、社員の個人的な情報を見られない代わりに、「どのような病気にかかりやすい人が社内に何人くらいいるのか」というデータがCastlightから提供されるとのこと。例えば、「背部手術を検討している人は社内に2000人いる」「糖尿病の疑いがあるのは1500人」「妊娠を希望している女性は460人いる」といった数字が分かるようになっているそうです。また、どの社員が病気にかかっているのか特定しにくくするため、患者数が40人以下の病気は、雇用主に通知しない仕組みになっているとのこと。

ヘルスケアデータ分析サービスを契約している雇用主からは、「社員の健康問題を詳しく知ることができない」というクレームもたびたび出ているとのこと。しかし、Wall Street Journalは「ビッグデータ分析によって判明した社員の健康問題は、雇用問題に直結するため、雇用主が特定の社員の健康問題を見られるようなシステムにするべきではない」とコメントしています。