火事を予知する「データマイニング計画」をニューヨーク消防局が開始予定
By Marines
アメリカ最大の都市であるニューヨーク市には100万棟以上の建物が存在し、そのうちの約3000戸から毎年大きな火事が発生しています。その対処策として、ニューヨーク市消防局はデータ・マイニングの手法を活用して出火率の高い建物をあぶり出し、火災を未然に防ぐ試みを開始する予定です。
How New York’s Fire Department Uses Data Mining - Digits - WSJ
http://blogs.wsj.com/digits/2014/01/24/how-new-yorks-fire-department-uses-data-mining/
建物が持つ特徴的な要因によって、火災発生のリスクはそれぞれ異なります。ニューヨーク消防局のアナリストであるジェフ・チェン氏はラスベガスで行われたビッグデータ活用に関するカンファレンスで「『低収入の隣人』と火災発生には相関関係がある」という分析結果を発表しています。
これらの要因はニューヨーク市や消防局が持つ巨大なデータからのデータマイニングによって割り出され、その他の要因として「建物の年数」「スプリンクラーの設置台数」「エレベーターの有無」などがあります。「空き家や無人の建物に関しては出火率が2倍になります」とチェン氏は話しています。
By Empty Quarter
そこでニューヨーク市は、異なる約60の要因からニューヨークの独身住宅・二世帯住宅を除く約33万戸の建物の検査に使用可能な「危険スコア」を割り出すアルゴリズムを構築。火災発生率が高い建物を集めた優先検査リストを作成して、消防局員が毎週行っている建物検査に組み込むことにしました。従来のように比較的ランダムに建物を選んでいたことに比べて、より効果的な消防検査の効果が期待されます。
By U.S. Army Garrison Yongsan
このデータマイニング計画は2014年7月から実施され、その後は数カ月かけてアルゴリズムを構築する要因を2400個にまで拡張していく予定とのこと。しかし、計画が成功して「起こるはずだった火事」が起こらなくなることで、アルゴリズムの変動処理が困難になっていく可能性も含んでいます。
ニューヨーク消防局の副総監ジェフ・ロス氏は、「火事の脅威は未然に防がれるべきです。まずは出火率が低下するのを見守ります」と話しています。
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