サイエンス

新型コロナで年齢の次にリスク因子となるのは「統合失調症」


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する新たな研究で、統合失調症を患っているかどうかが、COVID-19の死亡リスクを上げる最大の要因の1つであることが示されました。これは年齢に次ぐリスク因子であり、研究者は「予想はしていたものの、驚きです」とコメントしています。

Association of Psychiatric Disorders With Mortality Among Patients With COVID-19 | Anxiety Disorders | JAMA Psychiatry | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/2775179

Schizophrenia is 2nd highest risk factor for dying of COVID-19, after age | Live Science
https://www.livescience.com/schizophrenia-covid-19-death-risk-factor.html

これまでも研究で、うつ病や統合失調症といった精神障害を患う人は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染リスクが高いという可能性は示されてきました。しかし、死亡率との関連性はまだ示されていないということで、ニューヨーク大学の研究者らは、ニューヨーク市にある260の外来診療所と4つの病院に登録される電子健康記録をもとに調査を実施。対象者は2020年3月3日から5月31日の間にCOVID-19の検査を行った2万6540人で、うち7348人が陽性でした。

研究チームは精神障害と診断された患者を統合失調症スペクトラム障害、気分障害、不安障害の3つのカテゴリに分類し、精神障害と診断されていない患者と比較しました。なお、年齢・性別・人種、およびCOVID-19のリスク因子と考えられる高血圧・糖尿病・心臓の状態・慢性閉塞性肺疾患・慢性腎臓病・喫煙・がんといった要素については調整が行われたとのこと。


調査において、COVID-19陽性だと診断された患者のうち、75人に統合失調症、564人に気分障害、360人に不安障害の病歴がありましました。またCOVID-19と診断された患者のうち死亡あるいは45日以内に退院できなかった人は864人だったとのこと。

調査の結果、COVID-19による死亡と、気分障害・不安障害の間に関係は見つからなかったそうですが、一方で統合失調症の病歴がある人は精神障害がない人に比べて2.7倍死亡率が高かったとのこと。これは、統合失調症が年齢に次ぐリスク因子であることを意味します。


研究を行ったドナルド・ゴフ氏は「いずれも予想していましたが、驚きでもあります」とコメント。これまでの研究で統合失調症の患者は精神障害を患わない人に比べて20年も平均寿命が短いといわれており、その死因には肺炎・ウイルス性疾患が多くみられるとのこと。一方で、統合失調症の患者の平均寿命が短い原因には肥満・心臓病・喫煙といった要素が関係しているともいわれていますが、今回の研究でこれら要素は調整されたという点は注目に値します。

統合失調症は人の免疫系や、感染に対する体の免疫反応を変える可能性があると考えられており、ゴフ氏は統合失調症の病気そのものか薬が免疫系を破壊することで、COVID-19の死亡リスクが高くなるとみています。またCOVID-19はサイトカインの過剰な産出状態を引き起こすと考えられていますが、統合失調症もサイトカインとの関連性が疑われているとのこと。


ただし、今回の研究は統合失調症患者の数が少なかったこと、そして患者の治療薬に関するデータが不足しているという点が指摘されており、これは研究者らも認めるところです。またデータはCOVID-19第一波のピーク時に集められたものであり、当時は効果的な治療も明らかではなかったため、死亡率が全体的に高いという点にも言及されています。「全体的に、絶対的な死亡率は下がってきています。しかし、『統合失調症の患者が高いリスクにさらされている』ということについては、私たちは真実だろうと考えています」とゴフ氏は述べました。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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