サイエンス

新型コロナウイルスの「心臓への影響」は医師の予想に反していた


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、患者は肺以外の主要な臓器にも損傷を負うことが明らかになっていますが、新たに病理解剖が行われたところ、心臓へのダメージは想像されていたような「心筋の炎症」とは違うことが判明しました。

Unexpected Features of Cardiac Pathology in COVID-19 Infection | Circulation
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.049465

Autopsies reveal surprising cardiac changes in COVID-19 patients -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2020/07/200721114722.htm

COVID-19は主に肺炎症状が報告されていますが、心臓・肺・腎臓といった主要な臓器への影響はまだはっきりしておらず、臓器で血栓を発生させることから「血液の問題」も指摘されています

ルイジアナ州立大学健康科学センターニューオーリンズの病理学者であるリチャード・ヴァンデル・ハイデ氏が率いる研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がCOVID-19患者の心臓に与える影響を調べるべく、死亡した患者の解剖を実施。その結果、2002年に流行したSARSとは異なり、SARS-CoV-2は心筋の細胞内に存在せず、冠状動脈に血栓による閉塞(へいそく)も存在しないことが判明しました。


ハイデ氏は調査結果を受けて「私たちは、『SARS-CoV-2感染で典型的な心筋炎が起こる』という考えに異議を唱える、重要な肉眼的かつ微視的変化を発見しました」「COVID-19で心臓が損傷を負うメカニズムは不明ですが、病気の理解と潜在的な治療をもたらす調査の方向性について、私たちはいくつかの考えを示しています」と述べています。

ハイデ氏はこれまでの研究で、COVID-19患者には肺が損傷を負うびまん性肺胞障害(DAD)とともに、肺の小さな血管・毛細血管に血栓や出血が発生することが、重症患者の死因だと示してきました。

「右心室が拡大していることと、これらの発見を鑑みて、心臓への極度のストレスが急性肺疾患を発生させるのではないかとみています」とルイジアナ州立大学医学部のシャロン・フォックス医師は述べています。

研究者は、心臓の内皮細胞のいくつかにウイルス感染があることも発見しています。感染は非常に低いレベルではあるものの、サイトカインストームが発生して細胞死が起こり、心不全を起こすことは十分に考えられるとのこと。「炎症のある細胞が固有結合組織に存在することなく心臓を通過できるとすれば、サイトカインを誘発する内皮損傷の役割は否定できません」とハイデ氏は述べています。


なお、今回の解剖はルイジアナ州立大学健康科学センターニューオーリンズにおいて死亡した22人のCOVID-19患者に対して実施され、その多くはアフリカ系アメリカ人だったとのこと。うち10人が男性、12人が女性で、年齢は44~79歳でした。患者は基本的には健康でしたが、大部分は高血圧で、半数は2型糖尿病や肥満の症状がいられました。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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