サイエンス

なぜ90日で止まるはずの火星無人探査機は10年間動き続けているのか?


NASAは「火星探査機ミッション」のため「スピリット」(MER-A)と「オポチュニティ」(MER-B)という2機の無人探査機を火星に送って調査を実施しています。火星に着陸した2機の探査機は、90日で稼働を停止すると予想されていましたが、オポチュニティは3560日経過した今でも地球へ写真を送り続けています。なぜ探査機は当初の予想をはるかに上回って10年も稼働することができたのか?ということがまとめられています。

Why This Mars Rover Has Lasted 3,560 Days Longer Than Expected - SFGate
http://www.sfgate.com/technology/businessinsider/article/Why-This-Mars-Rover-Has-Lasted-3-560-Days-Longer-5173078.php


Mars Exploration Program: Spirit & Opportunity 10-Year Highlights
http://mars.nasa.gov/mer10/

2003年7月7日に「火星探査機ミッション」によって送り出された2機の無人探査機「スピリット」と「オポチュニティ」は、2004年1月24日までに火星に着陸しています。ミッションは90日間を想定していましたが、スピリットは2010年まで約6年間にわたって稼働、オポチュニティにいたっては10年が経過した2014年現在も地球に向けて火星のデータを送り続けています。


火星の地面は鋭い岩と険しい丘で覆われ、多くのちりを含んだ竜巻が地表を吹き荒らしています。火星の気温は夏に華氏80度(摂氏26度)まで上昇し、冬には華氏マイナス199度(摂氏マイナス128度)まで低下する厳しい環境。NASAのウェブサイトによると、探査機はゴルフカートほどの大きさで、険しい地面を乗り越えられる6輪の「ロッカー・ボギー」というサスペンションシステムによって転ばないよう設計されています。また、ボディの中に内蔵しているヒーターと温度感知装置によって厳しい寒さの中でも稼働することが可能です。


科学者チームは、火星に吹き荒れる風とホコリが数カ月の間に動力源であるソーラーパネルを覆ってしまうと考えていましたが、強い風はパネルの表面に積もった砂ぼこりを吹き飛ばしてくれるため、動力を維持することができているとのこと。火星探査機ミッションのマネージャーであるジョン・カラス氏は「厳しい環境下で稼働できる技術的な設計と、人知を超えた幸運によって想像もできない長寿を可能にしました」と語っています。


2機の探査機に与えられた最も重要な目的は、初期の火星の環境条件において水が存在した証拠や、生命が存在する可能性を調査することでした。調査の結果、太古の火星には湖の存在や川が流れていた形跡を発見することに成功しています。さらにオポチュニティの最近の活動によって「エンデバー・クレーター」から、火星に少量の粘土鉱物が存在する可能性を示したり、不思議なゼリードーナツ型の岩を13日間にわたって撮影することに成功しています。


思いがけない数々の発見を収めている探査機は、現在までの走行距離は約39kmに達し、17万枚にのぼる写真イメージを地球に送信し続けていますが、カラス氏によると「探査機の10の計器のうち2つは故障しており、ロボットアームは『関節炎』にかかるなど、機体の老朽化が進んでいます」と話しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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