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優れたエンジニアを採用するために重要なポイントとは?

By Paul Inkles

interviewing.ioの創立者であるアライン・ラーナーさんの前職は、指定の商品を買うのと引き換えに無料体験ができるサービス「TrialPay」の採用担当で、これはアラインさんがエンジニアとしての経歴を持っていたからでした。TrialPayで約1年間という短い期間ながら300人のエンジニアと面接を繰り返してきたアラインさんが、その中で得た「有能なエンジニアを採用するためのポイント」を簡潔にまとめてくれています。

Lessons from a year’s worth of hiring data | Aline Lerner's Blog
http://blog.alinelerner.com/lessons-from-a-years-worth-of-hiring-data/

TrialPayでアラインさんが面接してきたのは、大学の中退者からMITやハーバード大学の学生、さらにはMicrosoftやAmazon、Facebook、Googleなどの一流企業で働いてきた人までさまざま。そういった人物たちに対して自由に面接を行う機会を得たことで、アラインさんは有能なエンジニアを採用するための5つのポイントを発見します。

その5つのポイントというのが以下のもの。

・誤字脱字の数は重要
・トップレベルのコンピュータサイエンスの大学に通ったかどうかは重要ではない
・履歴書に書かれたサイドプロジェクト(本業ではない個人的な活動)のリストは重要ではない
・GPAもまた重要には見えない
・一流企業で働いた経験は重要


この5つのポイントがどうやって誕生したのか、をアラインさんは自身のブログ内で明かしています。

By Douglas Muth

現状、ほとんどの企業は雇用データの徹底的な分析を行っていません。もちろん分析を行っている企業もありますが、そういった企業はそのデータを社内で厳重に保管しており、そこから導き出される一般法則を一般社会に広く共有したりすることはありません。その結果、現在もある種の経験則から来るような方法で採用が進められており、その採用方法に合わない「能力を持ったエンジニア」を企業が見逃すことにつながっています。

「なぜ能力を持った人物を見落としてしまうのか?」という問いの答えは、ある程度の規模の企業になると採用担当者が隅から隅まで履歴書に目を通すことが不可能になるということや、採用プロセスの第一段階である「履歴書による選考」が、エンジニア以外の手で行われることにより「トップレベルの大学やコンピューターサイエンスを学んでいるかどうか」などの経歴重視の採用につながってしまうから、などさまざまです。


そこで、アラインさんは「TrialPayの履歴書による審査を通過し、面接することになった人物」が採用されるか否かを調査することで、どういった特徴を持った人物が「TrialPayの厳しい面接」を通過する優秀な人物なのかを調べたそうです。なお、TrialPay採用プロセスは非常に厳しく、応募者のわずか10%しか面接を受けられず、面接自体も複数回行われ、実際にコーディング作業を行ってもらうなどさまざまな課題が待ち構えているとのこと。それ故、内定倍率は0.2%だそうで、この競争を勝ち抜く人々が持つ共通点をアラインさんは統計的に導き出した、というわけ。

なお、アラインさんが注目した特徴は以下の8つで、これらが統計的な有意性を持つかどうか検証しています。

・トップレベルのコンピューターサイエンスの大学出身かどうか
・文法上のミスや誤字脱字、構文的な矛盾、流行語の使用頻度
・仕事の内容をどれくらい簡単に説明できるか
・高度な学位を取得しているかどうか
・履歴書の長さ
・サイドプロジェクト
・一流企業での経験
・GPA


そして、各項目の「効果量(効果の確率)」を示したのが以下のグラフ。統計的に有意とみられたのは「文法上のミスや誤字脱字、構文的な矛盾、流行語の使用頻度」「一流企業での経験」「仕事の内容をどれくらい簡単に説明できるか」の3つだけで、特に大きな効果があるとみられるのが「文法上のミスや誤字脱字、構文的な矛盾、流行語の使用頻度」でした。


◆文法上のミスや誤字脱字、構文的な矛盾、流行語の使用頻度(誤字脱字の数)
最も効果的であることが分かったのが「文法上のミスや誤字脱字、構文的な矛盾、流行語の使用頻度」に着目することです。しかし、TrialPayの採用マネージャー30人に聞いたところ、誤字脱字の数を重要視していた人はひとりもいませんでした。


しかし、実際に採用されたグループの誤字脱字数を調査したところ、採用された人物の実に50%以上が履歴書に誤字脱字がひとつもなかったことが判明。誤字脱字1つ未満の人物が全体の80%を占めるという驚異の結果が出ました。なお、以下の図の横軸が履歴書内にあった誤字脱字の数で、縦軸が採用されたグループ全体における割合です。


さらに、採用されなかったグループの誤字脱字数(横軸)と全体の割合(縦軸)を示したのが以下のグラフ。全体で見ると誤字脱字ゼロの割合は多いものの、合格者のグラフと比べると明らかに誤字脱字した人物の割合が多いことが分かります。


スタートアップでは、しばしばメールの文面のみで重要な決定が下されたりすることから「良い文書を書ける」というコミュニケーションスキルが重要視されるだけでなく、「良い文書を書ける」人物というのは往々にして分析的なタスクを上手にこなす傾向がある、とアラインさん。これらのことから、「誤字脱字のない履歴書を提出することは、詳細にまできちんと注意を注ぐことができることを示すサインであり、そういった能力はコーディングなどの作業において、非常に重要なスキルとなる」と述べています。

◆一流企業での経験
「誤字脱字の数」の次に有効だったのが「一流企業で働いた経験があるかどうか」でした。アラインさんは「私はほとんどの場合、候補者の経歴を重視しませんでしたが、一流企業で厳しい仕事をこなしてきた人物が有能であることは確かです」とコメントしており、TrialPayではAmazon、Apple、Evernote、Facebook、Google、LinkedIn、Microsoft、Oracle、Y Combinatorのスタートアップ、Yelp、Zyngaを一流企業と設定していたそうです。

By Tsahi Levent-Levi

◆仕事の内容をどれくらい簡単に説明できるか
以下の画像は、内定をもらった側が履歴書内で自身の過去の仕事を説明する際に多く使っていた言葉をまとめたワードクラウド


内定がもらえなかった方のワードクラウドがコレ。


2つを比べると、内定をもらった方は「動作(manage、ship、create)」を示すのに対し、内定をもらえなかった側はより技術的な単語などを使用している、とのこと。

なお、アライン氏はデータが300人分しかないことを挙げ、「私はデータサイエンティストではないし、考察の中で出てくるほとんどの統計的なデータはStatwingやWikipediaの助けを借りて出したものです。より多くのデータが集まり、より厳密に分析すれば私の導き出した結論とは異なる結果が出るかもしれません」とコメントしています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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