ハードウェア

4KカメラのパイオニアであるREDカメラが撮影世界を変えるまでの軌跡


2007年8月、起業してからたった2年しかたたないレッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーから発売された「RED ONE」というカメラが、映画やテレビなど撮影を必要とする業界に衝撃を与えました。2015年現在ではREDシリーズというカメラで撮影に携わる人の間では知らない人がいないと言っても過言ではないほど大きく成長を遂げたレッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーが、どのようにして成功を収めたのか、その軌跡をNew York Film Academyが公開しています。

How RED Cameras Changed The Game
https://www.nyfa.edu/student-resources/how-red-cameras-changed-the-game/

レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーは、サングラス・アパレルブランドのオークリーの創業者であるジェームス・ジャナード氏が数人の仲間と2005年に立ち上げた企業です。起業時の目標は解像度が4520×2540、つまり、4K画質で撮影可能な次世代デジタルカメラの開発でした。デジタル一眼レフカメラで撮影できるRAW画像からヒントを得て、同社は4K画質のRAW映像を30fpsで記録できるカメラの開発に乗り出します。


次世代デジタルカメラを実現するためにレッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーが最初に開発したのは「Mysterium」という名称のイメージセンサです。イメージセンサとは、レンズから入ってきた光の信号を電気信号に変換し画像を出力する小さなチップのようなデバイス。同社が開発したMysteriumは1200万画素のイメージセンサで、4K解像度の映像を最高30fpsで記録できるというもので、ダイナミックレンジは66dB以下で、2Kでの撮影なら最高120fpsまで撮影可能でという当時では革新的なイメージセンサでした。

その後、世界最大の放送機器展NAB Showで、ジャナード氏がレッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーで4Kデジタルカメラを開発中であることを発表し予約の受付をスタートしたところ、製品完成前段階で前金を支払う必要があったにも関わらず1000件以上の申し込みがあったとのこと。Mysteriumは「RED ONE」というデジタルカメラに搭載されることになるのですが、Mysteriumが開発段階から大きな話題を集めていたため、RED ONEは多くの映画制作関係者の興味を引きつけることになります。


映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで知られるピーター・ジャクソン監督が、RED ONEのプロトタイプを2台使った短編映画「Crossing the Line」を2007年3月に開催されたNAB Showで公開。ジャクソン監督の映画によりRED ONEが関係者に与えた衝撃は大きく、映画「エリン・ブロコビッチ」や「オーシャンズ11」のスティーブン・ソダーバーグ監督はCrossing the Lineの鑑賞後、ジャナード氏に「私は次の映画をRED ONEで撮影する必要がある」と絶賛したほど。なお、ソダーバーグ監督は実際にRED ONEのプロトタイプを入手して、革命家チェ・ゲバラの半生を描いた映画「チェ」を撮影しました。

RED ONEはNAB Showから2カ月後の2007年8月に販売がスタート。映画撮影に使用されるシネマカメラは高価なもので約2000万円もしたそうですが、RED ONEは1万7500ドル(当時のレートで約200万円)という映画撮影向けとしては破格の値段で販売され、また、箱から出したらすぐに使える利便性はプロフェッショナルだけでなくアマチュアの映画関係者からも高い評価を得ました。ただし、ファームウェアが不完全であったため、発売当初はユーザーから悪い評価がくだされたこともあったそうです。しかし、時の経過と共に編集用マシンのスペックが向上したおかげでファームウェアを改良することができたとのこと。


New York Film Academyによれば、レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーがすごいのは低価格でシネマカメラ品質のデジタルカメラを開発したことだけではなく、RAWという画像フォーマットでの撮影を映画業界のスタンダードまで押し上げたこと。RAW画像とはセンサーが捉えたものを圧縮せずに記録した画像を示すのですが、RED ONEで撮影されたRAW画像は3~18分の1で圧縮をかけていて、撮影した映像をそのまま放送することはできないものの、データの取り扱いや編集が従来よりも簡単に行えるそうです。

レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーはRED ONEの成功だけにとどまらず、1400万画素のイメージセンサ「Mysterium-X」を搭載した「Scarlet-X」を2011年に、6K解像度にまで対応したイメージセンサ「Dragon」を採用した「EPIC-M RED DRAGON」を2013年に発売。2015年時点では映画だけでなくテレビ、写真業界でもREDシリーズのカメラが使用されており、発売からたった約8年で撮影分野では使用して当たり前ともいえるデバイスにまでなったというわけです。

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in ハードウェア,   映画, Posted by darkhorse_log

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