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Googleが2015年に投入してくるかもしれない色んなプロジェクトまとめ

By brionv

新しい年を迎え、世界はついに映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」が描いていた2015年に突入しました。映画に登場する「ホバーボード」などが実現する見込みは薄そうですが、Googleが開発している新しい技術が実現すると、いくつかの未来が本当にやってくるかもしれません。

Google Tracker 2015: Everything we know Google is working on for the new year | Ars Technica
http://arstechnica.com/gadgets/2014/12/google-tracker-2015-everything-google-is-working-on-for-the-new-year/

◆Googleによるスマートハウスシステム「Nest」
Googleは2014年10月、スマートハウスシステムを開発・販売していた「Revolv」を買収しました。Revolvのシステムはあらゆる機器がネットに接続するモノのインターネットのメリットを生かして家中の照明や空調、電気機器を無線で一括でコントロールできるもので、より住みやすい住宅環境を実現できる技術として注目が集まっていました。


Googleでは以前からスマートフォンなどと連携して火災を検知してくれるNestの買収を進めるなどスマートハウス実現の取り組みを進めていましたが、Revolvを買収することでその技術をNestのテクノロジーに統合し、スマートハウスの実現が一歩前進することになりそう。

火災を感知しスマホやタブレットと連携して火元や状況などを教えてくれる「Nest Protect」を使ってみました - GIGAZINE


遠隔操作システムそのものは必ずしも新しい技術ではなく、スマートフォンで点灯や色を変化させることが可能な電球「Philips hue」などが存在していましたが、Googleが技術を統合することで「OKグーグル、ガレージのシャッターを開けて照明をオン。玄関と廊下、リビングの照明もオンにしてエアコンを25度に設定。お風呂を42度でわかす」とスマートフォンに話しかけるだけで、帰宅前に家中の機器を操作する……ということが実現可能になるのかもしれません。

◆Android Mと新たな機能の数々
Googleは2014年11月にAndroid 5.0 Lollipopの配布を開始しましたが、現在は「Android M」と呼ばれる次世代バージョンの開発が進められています。実際にAndroid Mに搭載されるかについては不確定ですが、以下のような機能が開発されてるとみられます。

・OSベースでの指紋認証機能
指紋認証センサーのTouch IDを持つAppleとは異なり、既存のAndroid OSには同等の機能が実装されてきませんでした。これまでにもSamsungやHTC、Motorolaなどのメーカーが独自に指紋認証システムを搭載していたことはありましたが、GoogleではOSネイティブで機能を実装する開発が進められている模様です。

・アプリ単位で可能なアクセス権限の許可編集
Android OSではマイクやGPS情報、アドレス帳などの各機能へのアクセス権限をアプリ単位で設定することができません。そのため、「Facebookアプリにはマイク機能を使わせない」や「GPSに関係ない家計簿アプリに位置情報をつかませない」といったアクセス権限のカスタマイズを行うことができませんでしたが、次期OSからはこれが可能になるかもしれません。

iOSでは既に実装されているこの機能ですが、実はAndroidでもバージョン4.3の段階でひそかに搭載されていたことがありました。「App Ops」と呼ばれるこの機能は一般ユーザーが見える位置からは隠され、表向きには搭載されていないようになっていたのですが、専用のアプリなどを使うことで利用することが可能になっていました。しかし、アプリでバグが発生した際の復旧に大きな問題があったようで、次のバージョン4.4からは削除されていました。


・画面分割機能
画面を分割して複数のアプリを同時に使用できる「マルチタスク化」が搭載される可能性もあります。主にファブレット・タブレット端末がメインになると思われる機能ですが、広い画面をフル活用して同時に複数のアプリ画面を表示することで、作業効率や見やすさの面で大きなメリットが得られることは間違いありません。


・超音波を使った端末ペアリング機能
人間には聞こえない超音波を使ったペアリング技術「Copresence」の開発も行われています。Copresence機能は端末に搭載されているスピーカーとマイクをそのまま利用して通信してペアリングを行うというもので、既存のNFC(Bluetooth)などとは異なり新たに専用のチップ等を必要としないのが大きな特徴です。


超音波を使うために壁を隔てた通信はサポートされないのも特徴の一つ。すでにこの機能の一部はChromecastに搭載されて実際にペアリングの際に使用されていますが、今後は本格的な普及も予想されています。

・人物ベースのリマインダー機能
上記のCopresence機能を活用することで、近くに特定の人物が近づいた時にリマインダー機能を作動させることが可能になります。例えば「次にボブと一緒になった時は、彼のお気に入りの帽子についてたずねてみる」という設定が可能になり、時間や場所とは異なる「人物ベースのリマインダー機能」を利用することができるようになりそうです。

・AndroidアプリとChrome OSの融合
Androidアプリで書かれたプログラムコードをそのままChrome OS上で実行できるためのプラットフォーム作りが開発されているようです。これが実現されると、コードを一度書けば後は簡単な手直しだけで環境で同じアプリを利用することが可能になり、アプリ開発の効率化が進むことになると考えられています。

・Androidが車載インフォテインメントOSとして使用されるようになる
Googleでは自動車向けのAndroidプラットフォームとして「Android Auto」の開発を進めていますが、これはあくまでAndroid端末を活用することがベースとされていました。現在ではさらにシステムの根本的なレベルで動作する専用のOSとも呼べるものが開発されており、電話やメッセージサービス、ナビゲーションのような情報機能と音楽やムービー再生などのエンターテインメント機能を統合したインフォテインメント・システムが形づくられようとしているそうです。

◆マテリアルデザインがウェブにも波及する
Android 5.0 Lollipopからは新しいUXデザイン「Material Design」が導入されましたが、Googleではこれをさらに拡大させる意向の様子。Android端末はもとより、iOSでもGoogleマップなどのアプリではすでにマテリアルデザインが導入されているほか、ウェブサイトでも同様のUXデザイン導入の動きが進められているとのこと。UI/UXデザインは時代とともに移りゆくため、マテリアルデザインがどのレベルで普遍的なものとして定着するかは予想がつきませんが、Googleがかなり力を注いでいることは間違いなさそうです。


◆チャットアプリ「WhatsApp」への対抗アプリ開発
全世界で6億人以上のアクティブユーザーが存在するという世界最大規模のチャットアプリ「WhatsApp」は、2014年2月にFacebookによって1兆6400億円で買収されました。Googleではこの巨人に立ち向かうために、新たなインスタントメッセージプラットフォームの開発を進めているとのこと。

新プラットフォームは、まずは7000万人のWhatsAppユーザーが存在するインドで2015年中に投入される予定で、サービスは完全無料で利用が可能でなんとGoogleのアカウントすら必要とされないものと予想されています。

◆「Chromecast 2」ではスマホやタブレットの「サブディスプレイ」機能がサポートされる
デジタルTVのHDMI端子に装着することでスマートフォンなどから映像を送信できるChromecastは多くの人気を得ていますが、後継となる「Chromecast 2」では従来のコンテンツに加えてアプリなどの内容を表示する「サブディスプレイ」としての用途が可能になるとみられています。

わずか4000円台のデバイスに多くを求めることは酷といえますが、現行Chromecastの映像ストリーミング品質は完璧とはいえず、改善を求めたいポイントが存在しているのも事実。さらに、5GHz帯のWi-Fiをサポートしていないのもやや遅れ感が否めない部分でもあります。

◆ダンボールとスマホでバーチャルリアリティを実現可能に
Oculusと共同開発されたVRヘッドセット「Samsung Gear VR Innovator Edition」が登場したことで、Android端末はVR(仮想現実)実現デバイスとしての用途が期待されるようになってきました。Googleが進める、ダンボールとAndroid端末を用いることでVR環境を構築するプロジェクト「Cardboard」がの開発が進むと、誰でも手軽にVR環境を楽しむことができるようになるのかも。


VR環境の実現には5インチ程度の端末が求められるため、Nexus 6やNote 4といったモデルに限定されてはしまいますが、すでに市販されている端末をそのまま活用できることのメリットは大きいといえそうです。

◆「Google X」のライフサイエンス部門が研究を進めるヘルスケア技術
「Google Glass」や自動運転車などの開発を進めるGoogleの秘密研究機関「Google X」は、先端的な技術開発を行う一方で、人々の健康に関する数々の研究を進めています。

・スマートコンタクトレンズ
Googleでは、従来のコンタクトレンズのように眼球に装着するだけで、涙の成分から血中の糖度値を測定することができる「スマートコンタクトレンズ」の開発を進めています。糖尿病を患っている人は日常的に血糖値を測定する必要があり、指などから血液を採取して測定するという負担を強いられていますが、このスマートコンタクトレンズが実用化されるとまさに「パラダイムシフト」ともいえる環境の変化が起こることになりそうです。


この技術の実現に向けて、Googleと世界最大の製薬会社の一つであるNovartis(ノバルティス)は、共同開発体制を構築して研究を進めています。スマートコンタクトレンズには血糖値を測定する機能と、その結果をスマートフォンなどに無線で送信する技術が搭載され、さらに将来的には老眼などの障害を軽減する技術の開発が目標に掲げられています。

・基礎研究
ガンや糖尿病、肝臓病などの病気には本人が気づかない予兆が現れていることもあります。Google Xではそのような予兆を見落とさずに、早期の発見を可能にするための基礎研究が行われています。デューク大学、スタンフォード大学との共同研究では、尿、血液、唾液や涙のデータを採取し、さらに本人やその家系のDNAデータなどを蓄積することで、健康の「基準」となる値を見いだす研究が進められているとのこと。この手法は、普段からビッグデータを取り扱うGoogleが最も得意とするものといえそうです。

・「疾病検知ナノ粒子」による健康監視システム
スマートコンタクトレンズのような装置により、病気の予兆を知らせる血中物質をリアルタイムで測定して体内環境の変化を知らせるシステムを可能にする研究も進められています。MIT、デューク大学、スタンフォード大学などとの研究では、赤血球の2000分の1という小さな成分を検出することで体内の変化を血液を通じて検知し、データとしてスマートフォンやPCへと送信する健康監視システムの実現に向けた取り組みが進められています。

・老化などによる身体の「ふるえ」を軽減する「Liftware」
上記のような基礎研究に加え、すぐにユーザーのメリットにつながる製品の開発も進められています。パーキンソン病などでは、身体が「ゆれ」を生じることでうまく食事がとれないといった問題が生じることがありますが、スプーン型のデバイス「Liftware」は手の揺れを感知して振動を相殺する動きを作りだし、スムーズに食べ物を口まで運ぶことができる装置となっています。

Liftwareが実際に使われる際の様子が、以下のムービーで紹介されています。

Introducing Liftware - YouTube


・老化現象や老齢疾患に立ち向かう「Calico」
上記のようなプロジェクトに加え、Googleからは「人間がより幸せに長く生きられること」を目標にした企業であるCalicoが誕生しています。Calicoは2013年に設立された企業ですが、実際のところその業務内容についてあまり多くは伝わってきていない状況。人類など生物の寿命に関連する多くの知識を得るために最新技術を活用する企業であるとのことですが、あまり早急に結果が期待できる性質の取り組みではなさそうです。

◆未来を発明する「Google X」
上記のライフサイエンス分野に並ぶGoogle Xの目的は、未来の技術を作り出すこと。そこでは多くの発明品が生みだされているようです。

・自動運転車
Googleが開発する技術の中で、最も多くの注目を集めていると言っても過言ではないのが自動運転車の技術。すでにその技術は実用化寸前にまで達しており、2015年1月からはアメリカ・カリフォルニア州で路上走行テストを開始することになっています。


・Intelチップを搭載して開発が進められるGoogle Glass 2
鳴り物入りで姿を表したGoogle Glassですが、デビューから2年を経ようとする現時点ではその熱が冷めつつあるといえる状況。しかし、そんな現状を打破するべくGoogleは新たにIntelのチップセットを搭載した「Google Glass 2」の開発を進めています。

現行の初代モデルは、連続使用時間が短すぎることや、チップを製造していたテキサス・インスツルメントが撤退したこともあって開発は頓挫の様相を見せましたが、新たに低消費電力チップのQuark SoCを採用することで新たな動きが生まれるのかもしれません。ただし、実際に普及するためには誰もが製品を手に入れたくなるような機能を持つことが必須といえるため、今後はキラーアプリの開発がその命運を分かつことになるといえそうです。

・大型ディスプレイの開発
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、Google Xはモジュラー式大型ディスプレイの開発を行っていることが明らかになっています。記事によると、ディスプレイは「レゴのように組み合わせることで、つなぎ目のないシームレスなディスプレイになる」とのこと。以下の画像はChristie MicroTilesが開発したモジュラー式ディスプレイですが、Googleではさらに継ぎ目の目立たないモデルの開発を目指しているとのこと。


◆自由にパーツを組み合わせられるスマホ「Ara」は実際にデビューするのか?
自分が必要な機能だけを選んで組み立てられる自作スマートフォン「Ara」は、順調に開発が進んでいることが伝えられています。2015年1月には開発者向けのカンファレンスで新たな発表が行われるとみられていますが、この製品が実際に世に出て受け入れられることになるのか、関心が集まりそうです。

自分の好きな機能だけを選んで安くできるGoogleスマホ「Ara」開発は順調、実際にAndroidが動く様子も公開 - GIGAZINE


◆一方で消えゆく運命にあるプロジェクトたち
数多くのプロジェクトが生まれる一方で、人知れず消えてゆくプロジェクトも存在しています。Googleが認定して手厚いサポートを行う予定であった「Android Silver」シリーズはどうやら日の目を見ることなく消えそうで、「新技術を学習できるインタラクティブな空間」として建造されたGoogleはしけ船は、保安上の理由から実際に使用することができない状態となっています。

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◆それでも「世界一野心的なテック系企業」
Googleではこれら以外にも量子コンピュータの開発180個の人工衛星を使って全世界のどこでもネットを可能にする「Google Satellite」や気球を使った「Project Loon」などを進めています。いずれも、強大な資金力を背景に従来では考えられなかった技術を開発するものであり、どのプロジェクトも今後の発展が気になるところです。

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in モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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