30秒以内にスマホを充電可能な化学電池が開発され、製品化は2016年の予定
2012年にNECが1分以下の高速充電が可能な「有機ラジカル電池」を開発し、高い実用性を実証しましたが、有機ラジカル電池を搭載した製品が開発されたという話はまだありません。そんな中で、イスラエルのスタートアップStoreDotは、30秒以内にスマートフォンを充電できる電池を開発し、実際にプロトタイプの電池を使用してスマートフォンを30秒以内に充電するデモムービーを公開しています。
StoreDot Phone Charging Works in 30 Seconds, but There’s a Catch - TIME
http://time.com/52651/storedot-another-promising-far-off-answer-to-smartphone-battery-problems/
StoreDot Flash-Battery Demo - YouTube
スマートフォンの裏に貼り付けられているのが開発された電池。
プロトタイプの電池はサムスン電子の「Galaxy S3」専用に開発されたもの。充電を始める前のバッテリー残量は27%です。
電源に接続した途端、バッテリー残量が30%にアップ。
10秒経過することなくバッテリー残量が50%を突破しました。
20秒後には81%に到達。
そして約29秒で充電が完了しました。
充電完了後にGalaxy S4が正常に動作していることを確認。急速な充電によって端末が壊れてしまうことはありませんでした。
実際にデモムービーを見ると、充電のすさまじい速さに驚きを隠せません。StoreDotがプロトタイプに使用したのは、有機化合物から生成したナノドットを取り入れた新しいタイプの化学電池です。
ナノドットは、電気エネルギーをためる電池の電極と、電池の陽極と陰極間で電気エネルギーを移動させる電解液に使用されています。StoreDotによると、ナノドットの電気特性は電極が高速で電気エネルギーをためることを可能にしたとのこと。StoreDotが開発したナノドットを使用する技術は、自然に発生する有機化合物に基づいているので、電池の生産コストを低く抑えられます。
しかしながら、デモムービーに登場する電池はGalaxy S3の電池より大きいにも関わらず、容量はGalaxy S3の純正バッテリーよりも小さくなっていました。その他にも、充電するスマートフォン自体も高い電流に耐えうるものが必要。StoreDotは電池と容量の問題に取り組んでおり、1年以内には従来の電池と同じサイズ・容量のものを開発し、2016年までの製品化を目指しています。
30秒以内にスマホを充電可能な電池の実現には、乗り越えなければいけない壁が多くありますが、StoreDotがThe Next Webに語った内容によれば、「アジアの巨大スマートフォンメーカー」が戦略的投資家としてStoreDotを支持しており、StoreDotは同企業から600万ドル(約6億円)の資金調達に成功しています。
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