薄さわずか0.3mmで紙のように曲がり、高速充電が可能な「有機ラジカル電池」


有機ラジカル電池はリチウムイオン電池などではできない薄型・柔軟性・高出力性・高速充電が可能であり、しかも薄いので曲げることもできるという電池で、柔軟性があるので衣服への装着もでき、将来的には同じ衣服にCPUやメモリを装着することでPC機能を持ったウェアラブルコンピュータの実現も期待されているというもの。

今回、NECはこの有機ラジカル電池を厚さがわずか0.76mmしかないICカードにも内蔵可能という0.3mmまで超薄型化することに成功、しかも高い実用性を既に実証済み、とのことです。

NEC、ICカードに内蔵可能な超薄型有機ラジカル電池を開発(2012年3月5日): プレスリリース | NEC
http://www.nec.co.jp/press/ja/1203/0504.html


今回のこの有機ラジカル電池は印刷技術を用いて回路基板と電池を一体化することで、従来比1/2以下となる0.3mmの薄さを実現しています。従来の電池では外装材として利用していたアルミラミネートの厚みだけで0.2mmを要していたのですが、今回は回路基板にも利用可能な厚さ0.05mmのポリマーフィルムを使用し、印刷技術により負極を回路基板上に直接形成、負極の上にセパレータ(絶縁体)、ラジカルポリマー正極などを積層して作製することで、0.3mmの薄さを実現しています。

また、回路基板上には小型電子部品も実装可能であり、電池に加えてアンテナ、ICを実装した回路基板を用いることで、電池を内蔵した規格サイズのICカードの作成も実現可能となっています。

どれぐらいの実用レベルに現在達しているかというと、充放電サイクル試験では、携帯電話用リチウムイオン電池と同等の性能である、500回の充放電で初期容量比75%の容量の維持を確認し、高い実用性を実証済み。さらに3cm角・厚さ0.3mm・電池容量3mAhの試作品において、体積あたりの出力密度5kW/Lの高出力性を確認済みで、試作品を利用することで、1回の充電により表示画面の更新2000回、連続フラッシュ発光360回、位置情報送信35回などが可能となっています。

そもそも有機ラジカル電池とは、2001年にNECが提案した、プラスチックの一種である有機ラジカル化合物を電極活物質に用いた電池のこと。有機ラジカル化合物と炭素繊維からなる複合正極に電解液を浸透させることで、ゲル状のフレキシブルな電極を実現しており、ラジカル部位の酸化還元反応により充放電を行うというもの。高出力性(一度に大きな電流を放電可能)だけでなく、1分以下での短時間充電も可能であるため、ICカードへの内蔵や軽くて薄い電子ペーパーだけでなく、人や動物に装着できる小型のアクティブ型RFIDタグとしても利用可能であり、流通におけるリアルタイムな製品トレースや、人や動物のリアルタイムな位置情報の検知なども可能になる、というわけです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse