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ボンバルディア「Cシリーズ」の約4000億円をかけた航空業界への挑戦


世界各地を飛び回る飛行機で最もポピュラーなジェット旅客機は、ボーイング機とエアバス機です。そんな二大勢力に立ち向かうため、Bombardier社が約40億ドル(約3925億円)をかけて開発した最新ジェット機「Cシリーズ」の裏話が、Canadian Businessでまとめられています。

The inside story of Bombardier’s $4-billion gamble on a super quiet jet
http://www.canadianbusiness.com/companies-and-industries/shhhhh/

ボンバルディアCEOのPierre Beaudoin氏、ボンバルディア航空機部門CEOのGuy Hachey氏、ポーター・エアラインズCEOのBob Deluce氏などのカナダの航空業界を率いるトップたちは、2013年9月13日に行われたボンバルディアのジェット旅客機であるCシリーズの初飛行式に出席し息を飲んで見守りました。2700人の従業員と300人の招待客を乗せたCシリーズの初飛行は無事に終了し、Guy Hachey氏は泣きはらした後にほほえんで「初めての離陸は心臓をとても速く鼓動させました」と話しました。

110席仕様のCS100と130席仕様のCS300で行われた飛行テストでは、150メートル先に立っていた式の出席者たちでもかすかに音が聞き取れただけというほど静かに飛び去ったとのこと。Cシリーズはゼロから設計され、軽量・静音かつ、従来のジェット機に比べて20%少ない燃料消費を実現し、たった4000フィート(約1200メートル)の滑走路があれば大陸を横断するために離陸することが可能です。


過去10年間の間、このサイズのジェット旅客機のプロジェクトが行われたのは、ボーイング、エアバス以外には今回のボンバルディアだけであり、まるでベルトを保持し続けるボクシングの世界チャンピオンに挑む挑戦者です。活気を失いつつあるカナダの産業において国をあげて注目される大きな挑戦となり、Cシリーズプログラムに費やされるコストは約40億ドルに達しました。しかし初飛行の後にボンバルディアの株価は30セント下落し、サービス開始前のCシリーズ300機という販売目標も、増加が見られず、Cシリーズの将来はまだ保証されていませんでした。


顧客を確立しているボーイングとエアバスに対してボンバルディアに勝ち目はないように見えました。そこで2006年1月にボンバルディアは状況を整えるためCシリーズプログラムの延期を決断し、翼にニューカーボン複合材を使用して再設計、胴体にアルミリチウム合金を取り入れ、フライ・バイ・ワイヤシステムと電気ブレーキを導入し改良を加えます。

さらにボンバルディアは、プラット・アンド・ホイットニー社のギヤードターボファンエンジンの新作となるPW1500Gの契約を取り付けた初のメーカーとなりました。設計変更および新しいエンジンにより、飛行機の運用コストは15%改善し、大幅な燃料費の削減は産業の飛躍的進歩を遂げました。


エアバスはギヤードターボファンエンジン搭載モデルの156席仕様のA319neoを売り出しており、ボーイングは一月前に737 MAXに改良を加えました。しかしCシリーズの燃費効率はどのジェット機にも匹敵するものがなく、世界中の航空会社から注目され始めています。現在Cシリーズはエンブラルの100機、ボーイングの30機およびエアバスの45機に比べて177機という確定受注を手に入れています。


また、カナダケベック州のミラベルにあるCシリーズ生産プラントでは労働人口が3500人に増員される上、プラット・アンド・ホイットニーの関連施設も建設予定となっており、経済効果の大きな増加が見込まれています。低迷を見せたCシリーズプロジェクトを実施したボンバルディアは、今やグローバル経済の中で輝く有数のカナダ企業の1つとなっており、世界で3番目に大きい航空機製造会社へと成長したのでした。

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in 乗り物, Posted by darkhorse_log

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