ボーイング787ドリームライナーはAndroid、そして69TBのSSDを搭載

By DeeKnow

ボーイング787ドリームライナーはボーイング社が開発・製造する次世代中型ジェット旅客機で、日本のANAが世界に先駆けて導入しています。ボーイング社は2004年以降、この機体の注文を合計で859機分取りましたが、シンガポールのテクノロジー系サイト「VR-Zone」によると、実はこの859機の全てのシートにエンタテイメント用のAndroid、そしてなんと69TBものSSDが搭載されるということです。

Boeing 787 Dreamliner: Powered by Android, and 69TB of solid-state storage
http://vr-zone.com/articles/arm-and-google-android-own-the-skies-with-qatar-s-boeing-787/16626.html

ボーイング社は2種類のIFEC(機内エンターテインメントシステム)とその接続システムを提供しています。タレス社のTopSeries Avantとパナソニック社のeX3です。eX3はAndroidをベースとしたシステムを使い、機内の254席の全てにタレス社のIFECを搭載しているとのこと。

By PYONKO

カタール航空のボーイング787ドリームライナーにはビジネスシートとエコノミーシートの2つの席が用意されており、それぞれに17インチ、10インチの機内エンターテインメントシステム用のタッチスクリーンが搭載されています。この機体のIEFCはハードウェアが全て背もたれに格納されており、席の下に格納箱を必要としません。また、ハードウェアのスペックが非常に驚くべき内容。IEFCには、それぞれの席にSTMicroelectronics社製のデュアルコアARMプロセッサー、1GBのRAM、そしてなんと256GBのSSDが搭載されています。メインサーバーは、32コアのCPU(IntelのXeonもしくはAMDのOpteron)、128GBのRAMおよび4TBのSSDを持つことが特徴です。また、Avantには追加オプションで下記の図のような「Touch Passenger Media Unit」という専用の送受信機をつけることが可能だそうです。

ソフトウェアに関しては、タレス社とパナソニック社がAndroidをカスタマイズしたものを使用しているという以上のことはわからないとのことですが、VR-ZoneによるとおそらくAndroid2.3もしくはAndroid3.0だそうです。また、タレス社がAndroidを使用する理由は、まずそれが無料で使えるから、そして乗客が利用可能な巨大なソフトウェアエコシステムがあるからとのことです。

By INABA Tomoaki

カタール航空のボーイング787ドリームライナーは508ものARMコア、32個のx86コア、382GBのRAMおよび69TBのSSDを搭載していますが、この機体はまた、WiFiを搭載し、そして3G/GSM(GSMのマイクロセルが使われる）を使った衛星通信によって地上との交信も可能だとのこと。そしてブリティッシュ・エアウェイズもそのタレス社のシステムをボーイング787ドリームライナー、そしてエアバス社のA380にも使用すると予想されます。

By jnsabino

航空業界において重要なのは重量なのですが、この機体に搭載されている気が狂うほどの容量のSSDによって、前のシステムから80％も重さが削減されており、1フライトあたり0.8％の燃料消費の削減になるとのことです。1日あたり2つのフライトがあり3万3000ガロンの燃料を消費すると考えると、528ガロンの燃油の削減につながるそうで、金額にすると4065ドル(約32万円)の削減です。これは一年で、148万ドル(約1億1600万円)の削減につながります。カタール航空がキャビンを5～6年ごとにより軽い素材へ改装すれば、このシステムは少なくとも700万ドル(約55億円)は削減できるとのこと。このコスト削減を考えると、カタール航空や他の航空会社がこのシステムをできるだけ多くの機体に導入しようとするのも納得がいきます。

By INABA Tomoaki