乗り物

世界最大の完全電気飛行機がテストフライト成功、「空飛ぶタクシー」の実現も間近か


航空企業のAeroTECと電気飛行機用モーターメーカーのmagniXが共同開発した完全に電気のみで稼働する飛行機「eCaravan」が、2020年5月28日に行われたテストフライトに成功したと報じられています。AeroTECによると、「(eCaravanは)完全電気式の商用航空機としては世界最大」とのことです。

magniX and AeroTEC Announce Successful First Flight of the World’s Largest All-Electric Aircraft - AeroTEC
https://www.aerotec.com/magnix-and-aerotec-announce-successful-first-flight-of-the-worlds-largest-all-electric-aircraft/


eCaravan - magniX
https://www.magnix.aero/ecaravan/


Groundbreaking all-electric plane paving way to greener aviation
https://techxplore.com/news/2020-05-groundbreaking-all-electric-plane-paving-greener.html


eCaravanは、プロペラ輸送機のセスナ208B グランドキャラバンを改造したもの。本来セスナ208シリーズに搭載されている単発のターボプロップエンジンが、magniXの560キロワット/750馬力出力の電気エンジン「magni500」に換装されています。


テストフライトは、AeroTECがワシントン州モーゼスレイク市のグラント郡国際空港内にある同社の飛行試験センターで行われ、eCaravanはワシントン州の上空を20分~30分ほど飛行しました。なお、搭乗したのはテストパイロット1名のみ。テストフライトを見ていた人によれば、従来のセスナに比べると騒音はかなり少なかったとのこと。実際にeCaravanが空を飛んでいる様子が以下のムービー。

All-Electric eCaravan - YouTube


また、以下のムービーでは発着陸の瞬間も見ることができます。

eCaravan First Flight - YouTube


eCaravanはハイブリッド式ではなく完全に電気で稼働するため、二酸化炭素排出量ゼロでクリーンな飛行機です。ただし、搭載しているバッテリーにリチウムイオン電池が採用されており、バッテリーの重量によって燃費が悪くなってしまうのが欠点。実際にターボプロップエンジンが最大1200マイル(約1900km)飛行できるのに対して、magni500だと100マイル(約160km)までしか飛べないとのこと。

magniXのローイ・ガンツァルスキーCEOは「リチウム硫黄電池水素燃料電池など、バッテリー技術の進歩によって、電気飛行機の乗客定員や飛距離も増えるでしょう」とコメント。「eCaravanの初飛行は二酸化炭素の排出が完全にゼロで、低コストで短距離から中距離の輸送を可能にするための新たなステップです。eCaravanのような商用電気飛行機は、従来の電気飛行機には不可能だった人や荷物の輸送を可能にします」と述べ、電気飛行機による「空飛ぶタクシー」事業に先立ち連邦航空局によるmagni500の認可を2021年までに目指していることを明らかにしました。


AeroTECのリー・ヒューマンCEOは「当社のエンジニア、技術者、飛行試験チームによる先駆的な仕事を誇りに思います。電気航空機のテストと認定には前例がなく、明確なロードマップは存在しません。今回のテストフライトも新しい開拓と共に進められたものであり、AeroTECは電気航空のための道を開くプロセスと成功事例を生み出す最前線にいます」とコメントしました。

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in 乗り物,   動画, Posted by log1i_yk

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