サイエンス

薄毛のメカニズム解明へ、幹細胞が鍵

by neonbubble

こめかみあたりから始まり徐々に生え際が後退していく男性型脱毛症。多くの人が高い関心を寄せる現象にもかかわらず、薄毛になりゆくとき細胞レベルでは何が起きているのかということは、まだまだ解明されていません。

ペンシルベニア大学医学大学院の研究によると、頭皮のうち薄毛になった部分でも豊かな髪が残っている部分でも、皮膚の中で毛髪を産み出している「毛包」の数は変わらず、毛包のなかで毛作りのキープレイヤーとなる幹細胞の数も変わらないそうです。つるつるの部分の幹細胞とふさふさの部分の幹細胞、一体何が違うのでしょうか?

詳細は以下から。Penn Medicine News: Male Pattern Balding May Be Due to Stem Cell Inactivation, According to Penn Study

鏡を見て「最近髪の毛が減ってきたな」とため息をついた経験のある人もいるかもしれませんが、毛が「減った」というより「縮んだ」という方が事実に近いようです。薄くなった部分には毛がないのではなく、顕微鏡でないと見えないほど細く短い毛が皮膚の下に隠れているのです。


「薄毛になるのは、幹細胞が枯渇するからなのでしょうか?薄くなった部分でもそれ以外の部分でも幹細胞の数が変わらないことには驚かされました」とペンシルベニア大学医学大学院のGeorge Cotsarelis博士は語ります。

Cotsarelis博士らは、植毛手術を受ける男性たちの頭皮をサンプルに、同じ男性の頭皮の薄くなった部分も毛が残っている部分も毛包の数と幹細胞の数は変わらないことを発見しました。一方で、幹細胞が分化した前駆細胞の数が、薄くなった部分の頭皮では明らかに少なかったそうです。

毛包は皮膚の中で毛髪を支え、毛髪を産み出している部分。


毛包の断面。緑色でマークされたのが前駆細胞です。


毛包の幹細胞はまず前駆細胞に分化し、その前駆細胞がさらに分化して毛髪となっていくのですが、今回の発見は、薄毛の原因は幹細胞が減ることではなく「幹細胞が前駆細胞に分化しなくなる」ことにあると示唆します。なぜ分化しなくなるのかはまだ明らかになっていませんが、薄くなった頭皮にも不活化した幹細胞は残っていると判明したことで、これらの幹細胞を再び活性化させ髪を生やす方法の開発への期待が高まります。

毛包は縮んでいるだけで減ってはいない、見えなくてもそこに毛がある、という今回の発見は、薄毛に悩む多くの人々に希望をもたらすかもしれません。Cotsarelis博士らは今後男性型脱毛症だけでなくさまざまなタイプの脱毛症での頭皮の幹細胞と前駆細胞の数を調査し、細胞ベースの脱毛症治療法の開発へつなげたいとのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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