サイエンス

アスパラガスを食べるとおしっこが臭くなる理由


おしっこはそもそも臭いものかもしれませんが、アスパラガスを食べたあとのおしっこはいつものにおいとは一味違う独特のにおいになるな、と気付いたことのある人もいるのではないでしょうか。実は、この独特のにおいは遺伝的に5人に1人の人しかかぎわける能力を持たないとのことで、「アスパラガス食べるとおしっこ臭くなるよね」と人に話して、「そんなことないよ」と否定された経験のある人もいるかもしれません。

世の中にはこの現象を研究する化学者たちも意外とたくさんいたようで、アスパラガスを食べるとおしっこが臭くなる理由は長い間論争の種となっていたようです。


詳細は以下から。Why Asparagus Makes Pee Smell

アスパラガスを食べたあとのおしっこの独特のにおいは、アスパラガスの成分が消化酵素により分解された結果できる化学物質によるものですが、このにおいを発する物質は長い間メタンチオールだと考えられてきました。メタンチオールは硫黄を主成分として水素炭素から成る、腐ったキャベツのようなにおいのする無色のガスです。

しかし、カリフォルニア大学のRobert H. White博士らによる最近の研究では、においの正体はメタンチオールではなくS-メチルチオプロピオン酸とS-メチルチオアクリル酸というチオエステルであると提唱されています。チオエステルの主成分はメタンチオールと同じく硫黄ですが、カルボン酸(アシル基)と結合しています。

White博士はガスクロマトグラフィー質量分析により「においの正体はチオエステル」という結論に至ったのですが、チオエステルは揮発性が低いためメタンチオール説を支持する科学者も多く、決定的とは言えないようです。

メタンチオール説とチオエステル説、どちらにしろアスパラガスを消化してにおいの元となる成分を尿に排出する能力は、遺伝的に一部の人にしかないと長い間考えられてきました。しかし、実際には「一部の人の尿がにおう」のではなく、「一部の人が尿のにおいをかぎ分けることができる」ということが近年明らかになっています。アスパラガスを食べた人の尿の独特のにおいをかぎわける能力は遺伝的なもので、イスラエルで行われた実験によると、人口の約22%がこのにおいを知覚することができるそうです。

ちなみにこの独特のにおいは、アスパラガスを食べたあと早ければ15分後ほどから尿にあらわれるとのことなので、自分は「かげる」か「かげない」か気になった人は、実験してみると面白いかもしれません。

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in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

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