インタビュー

絶賛放送中の「STAR DRIVER 輝きのタクト」、五十嵐卓哉監督とシリーズ構成・脚本の榎戸洋司氏にインタビュー


MBS・TBS系列で10月から絶賛放送中のアニメ「STAR DRIVER(スタードライバー)輝きのタクト」がいよいよ第2クールを迎えますが、五十嵐卓哉監督とシリーズ構成・脚本の榎戸洋司氏にインタビューを行いました。

日本の南方に浮かぶ緑豊かな島、南十字島にある南十字島学園高等部を舞台に「サイバディ」と呼ばれる巨大なロボットをめぐって暗躍する秘密結社「綺羅星十字団」と主人公の「銀河美少年」ことツナシ・タクトが対峙する……という内容の同作ですが、単純なロボットアニメではなく、「青春を謳歌する」という要素を加えるなど、盛りだくさんの内容となっています。

また、「人妻で投資家で大富豪な女子高生」や「バスの上に飛び乗っちゃう女の子」といった個性的なキャラクターが数多く登場するほか、一度見るとポーズ付きで真似せずにはいられない「綺羅星!」という合言葉など、不思議な中毒性に溢れた同作について、1クール目のおさらいや2クール目のみどころなどを中心に幅広く聞いてみました。
まず「そもそもSTAR DRIVER 輝きのタクトって何?」という人は、このプロモーション映像を見てみるといいかもしれません。また、MBS公式サイトで無料配信も行われています。

TRAILER|STAR DRIVER 輝きのタクト


本作のメインキャラクターはこの3人です。まずは主人公のツナシ・タクト


ヒロインのアゲマキ・ワコ。サイバディを封印する役目のある「四方の巫女(よものみこ)」の一人で「皆水の巫女(みなみのみこ」)です。


南十字島の名家・シンドウ家の後継者で、ワコとは幼馴染兼許婚の関係にあるシンドウ・スガタ。


今回お話をうかがったのはシリーズ構成・脚本の榎戸洋司氏(左)と監督の五十嵐卓哉氏(右)です。


GIGAZINE(以下、G):
最近では作品のモデルとなった場所にファンが訪れる「聖地巡礼」が盛んですが、南十字島にモデルとなった場所はあるのでしょうか。

榎戸洋司(以下、榎):
特にどこの島という具体的なモデルは無いですね。

五十嵐卓哉(以下、五):
基本的には架空の南の方の島っていう感じです。

舞台となる南十字島


タクトたちが通う「南十字島学園」


G:
綺羅星十字団のメンバーたちの掛け声が「綺羅星!」に決まるまではどのような紆余曲折を経たのでしょうか?一発でこれに決まったのか、それともほかにも候補はありましたか?

榎:
秘密結社「綺羅星十字団」という名前が決まった段階で、「秘密結社っぽい感じがいいかなあ」っていう感じです。

五:
言葉が榎戸さんで、ポーズは僕なんですよ。基本的には短い言葉の方が良いという考えがあって、それで簡単にできるポーズの方が良いなと思いました。どちらかと言うと「すれ違いざまに皆さんに気づかれないようにやるようなポーズ」というのが元になっていますね。

G:
最初見た時のインパクトがすごかったです。

五:
みんなでやってもらえたらいいかなと思っています(笑)

G:
「颯爽登場!銀河美少年!」というフレーズもかなり強烈ですが、あのセリフはどういう経緯で決まったんでしょうか。

榎:
「銀河美少年」という言葉は作品が企画段階の、かなり初めの頃から決めていました。登場するときのセリフは監督が決めたのかな?


五:
何かそれっぽい言葉があった方がいいかなと思っていたんです。基本的に、戦うときには口上を述べた方が力が入りやすいかなというのが僕の中にはあるのですが、「銀河美少年」という言葉をどういう風に生かすかというところで出てきました。

G:
戦闘シーンでは歌をBGMにして出撃しますが、その演出は誰が考えたのですか?

五:
「歌を流したい」と言い出したのはプロデューサーの大薮君で、どうせ流すなら何かとリンクさせた方が良いかもしれないと思って、ああいうような形になったという感じです。ただ、せっかく歌を流して何かをするならば、ある程度はフォーマットに乗せるようなやり方にした方が効果的なのではと考えました。

榎:
劇中で歌わせたいなと思ったんですね。ただ、あの歌い方っていうのは特殊で、歌い出しの部分は劇中で歌っているリアルタイムな歌なんだけど、ゼロ時間に入ったところからはもうBGMとして扱われているのですね。アカペラで歌っているのに伴奏が付くってこと自体ね、そこをうまくごまかしながらやっていますよ。

G:
出撃での「開け!電気棺!」というシーンはバンクフィルムっぽく見えつつも、搭乗するキャラが毎回違います。あれは毎回描いているのでしょうか。

五:
電気棺自体は3Dで作ってありますので、キャラクターを載せ替えている感じですね。

G:
視聴者の方々の感想では「サイバディに乗るときに叫ぶ『アプリボワゼ!』ってどんな意味?」というものが多いのですが、その意味は?

五:
「アプリボワゼ」はもともと、作中で使っている言葉自体は「星の王子様」から取っている言葉なんです。「関係性を構築する」というような意味合いの言葉で、これは多分、榎戸さんが以前からずっと温めていてどこかで使おうと思っていたものを今回使っていただいたという感じですかね。

G:
Blu-rayとDVDの第1巻に特典CDとして付属するサカナちゃんの歌「モノクローム」はフルバージョンが収録されるのでしょうか。

五:
劇中バージョンの「モノクローム~ version de l'apprivoiser」だけでなく、本編未使用の「モノクローム」オリジナルバージョンも同時収録されます。

G:
劇中に出てくる「第何フェーズ」という単語はどういう意味があるのでしょうか。

五:
フェーズが上がるごとにだんだんいろいろなものが解けていくということです。最終的なフェーズを解くと、ゼロ時間から外に出られるというところの順番みたいなものですよね。

榎:
基本的には封印を解かれている巫女の数の状態を表しているわけです。4人の巫女のうち、1人の封印も解かれていない段階が第1フェーズで、サイバディとアプリボワゼはできるけれどまだサイバディ自体を動かすことができない状態ですね。ただし、サイバディの力をスタードライバーはゼロ時間外で使ったりすることができるので、その能力のことも第1フェーズと呼んでいます。

G:
第1話「銀河美少年」や第8話「いつだって流星のように」の戦闘シーンですが、かなりグリグリ動くという印象を受けます。今後も節目になるバトルはこのくらいのクオリティを期待して良いですか?

五:
そういう風になっていくと思います。そういう風になっていくと思います。力のある現場ですが、テレビシリーズ2クールは長丁場ですのでBANKなどを有効的に使いながら工夫してバトルシーンを構築している感じでしょうか。(この作品は)大体8本でワンセットぐらいのシークエンスになっているので、8話のような節目の辺りに「あること」が起きるかなという感じですね。


G:
孤島にある学園が舞台である今回の作品はもちろん、榎戸さんが脚本やシリーズ構成を手がけた「少女革命ウテナ」や「桜蘭高校ホスト部」「忘却の旋律」などを見ていると学園などの「閉じた世界」を舞台にすることが多い気がしますが、これはある意味テーマのようなものなのでしょうか。

榎:
テーマというか、それ自体は(自分にとって)割と大きく変わっている部分だと思います。「少女革命ウテナ」の時は確かに学園の「中」と「外」という風に線が引かれていて閉じた世界を舞台にしていましたが、次の「忘却の旋律」は学園から外に出るという話だったので学園の外を舞台に描いてみました。

それ以降は僕の中で「学園モノ」に対する考え方も変わってきまして、「線を引くっていうのは無いな」と思ったんです。「桜蘭高校ホスト部」のころぐらいから、「本当の意味での閉鎖空間てのは無いな」と思いました。あれは原作がありましたけれど。学園の中と外というのは常に影響し合い繋がっている世界なのですから。


今回の「南十字学園」も舞台自体は南十字学園ですが、綺羅星十字団にお金を出している海外の企業とかがいっぱいあったり、中にあるサイバディを外に持ち出そうとしていたりと、映像は限られた舞台を捉えていますが、むしろ舞台を取り囲むグローバルな世界や状況も描写しています。そこが僕の中では同じ学園モノでもウテナの時とは違っているところですね。

G:
「四方(よも)の巫女」や「薔薇の花嫁」「忘却の旋律」と、限られた世界の中で殊更に「自由を奪われた存在」が強調されている気がしますが、これに理由はありますか?

榎:
今作は島が舞台なので「島から出られない人たちが解放されていくような物語」というのが基本的な作品のベクトルとしてあると思います。タクトなんかは「ものすごく良い島だ」と喜んでいるように、島自体が嫌な島というわけではないのですが。

G:
例えば「おとな銀行」頭取、ワタナベ・カナコのような「学園の中でもひときわスポットライトが当たる特別な存在」と、頭取の影に隠れてしまっているシモーヌをはじめとした「そうでない存在」となる一般生徒との間に対比があるように見えますが、そういうことは意識していますか?

榎:
「対比」というよりも「三角関係」が今回の作品全体のモチーフになっていますね。至る所に主人公の三角関係のバリエーションみたいなものがあるという感じです。「カナコ・シモーヌ・タカシ」もそうですし。

五:
「この子はちょっと端へ」みたいなことはあまり無くて、どこかしらにスポットが当たるというよりは、むしろ全体的にスポットライトが当たるような感じの話がこの先に用意されています。だから、あまり分け隔てがあるわけでは無いですね。

G:
つまり今までの話はキャラクター紹介の要素があって、これから広がりを見せていくということでしょうか。

五:
これからはいろいろなキャラクターをフィーチャーした話が増えていくと思います。

G:
サカナちゃんが語るおとぎ話が登場人物の人間関係を暗示するようなものであったりなど、独特の演出が印象的ですが、このような演出は誰が考えたものなのでしょうか。

五:
あれは一つの事柄を表していることではないんですね。いろいろな側面から取ると「こっちの物語とリンクしている」だとか「こっちの関係にリンクしている」というような表現の仕方なので、あの話自体が「誰かの話」であると具体的に見てもらうよりも、こういう側面で取るとこの人の物語なのかなという雰囲気にこれからなっていくと思います。

榎:
二重、三重にいろいろな意味を含ませてあるって感じかな。

G:
1つの解釈では終わらないような、いろいろな見方ができるということですね。そして「自分が求めているものを手に入れるためにサイバディに乗る」という綺羅星十字団のメンバーそれぞれの動機付けが非常に明確ですが、これは意識してやっているのですか?

榎:
綺羅星十字団の場合はなるべくみんなの目的がバラバラになるように心がけました。みんなが同じイデオロギーを持っている集団ってちょっと気持ち悪いなあというか(笑)ショッカーみたいになっちゃうから。

敵も魅力的に描くためには1人1人がサイバディを外に持ち出すという一点において協力し合っているけど、外に持ち出したい理由はむしろバラバラの方が敵にも共感してもらえるかなと。頭取みたいに「本当にサイバディなんてものがこの世の中に存在するのであれば、平和に管理していかなければ全世界の平和を維持できないじゃないか」ということをちゃんと考えている人間もいれば、オカモト先生みたいに単純にその力を使って「男の子にモテモテになりたい!」としか思っていなかった人まで幅広くいるという。

同じことを考えている人間はほとんどいないという感じですね。現実世界で組織に属していてもそんなもんじゃないかなと思いますから。


G:
確かに同じ組織に属していても「自分は組織のトップに昇りつめたいんだ!」という人と「この組織を踏み台にして別のところへのし上がってやるぜ」みたいな人もいるでしょうし。

榎:
そういう組織の方がおもしろいかなと思います。みんなが共通のイデオロギーを持っている組織は、逆に誰にも感情移入できないような感じがしませんか(笑)

G:
視聴者が感情移入できなかったら置いてきぼりになってしまいますしね。そして作中全体に恋愛模様のような華やかな雰囲気が出ている気がするのですが、これはやはり「恋愛モノ」を意識しているということでしょうか。

榎:
学園モノの魅力の大半はそれじゃないかなと思いますね。多分、あのくらいの年ごろって恋愛へ対する熟練度みたいなものも(人によって)バラバラだと思うんですよ。カナコさんなんかはかなり最熟練で上の方にいるんでしょうけど。

「ガラス越しのキス」を楽しむほどの余裕を持つカナコさん。


五:
むしろ恋愛中心というよりは学園ドラマ中心みたいなところが大きいんじゃないでしょうか。タクトも1話で登場した時に「青春を謳歌する」と言ったように「青春」という部分で、あのくらいの年齢の人たちが一番多く持っているであろう「青春の中にある恋愛像」というか。作っている僕ら自身、それくらいの年齢では異性とコミュニケーションを取ることに興味があった…というか、僕の場合はそれしかなかったというか…。

榎:
ヘッドとサカナちゃんの関係なんてもう、恋愛なのか何なのかよくわからない感じじゃないですか。作っている我々が言うのもなんですけど(笑)

G:
お話の中で「関係性」という言葉がよく出てきますが、今作のテーマにその「関係性」というものがすごく関わってきていますか?

五:
作品を作るときって、いろいろなキャラクターがどういう風に絡み合っていくかという「ドラマ」が一番のメインになって物語が進んでいくものだと思っているんですよ。人と人が出会った時に全く関係性が生まれないというのはドラマにならないということですよね。

なので殊更「関係性」ということに対してこだわりがあるのかというとそうじゃなく、そこは通常のドラマやアニメと同じように作っているつもりなんです。基本的に「関係性が無いドラマ」というのは成立しないと思っているので(笑)むしろフラットな感じで作っているとは思うんですけどね。

榎:
「アプリボワゼ」という言葉を使っているぐらいですから、キーワードの一つにはしています。

G:
この作品は「ロボットアニメ、しかも学園モノ」となっていますが、実際に作るにあたってどの辺りにウェイトを置いていますか?

榎:
学園とロボットのバランスにウェイトを置いている感じですね。

G:
第1クールがもうすぐ終わるわけですが、第1クールの中で「ここは押さえて欲しい」というような部分はありますか?

五:
第1クールに限らず、最初から最後までですけど「ワコとスガタとタクトの関係性」ですね。今作というのは先ほど榎戸さんが言っていたように三角関係が至る所にあって、その三角関係で一番物語の核になっている部分はその3人の関係性だと思っているんですね。後はそれのバリエーションというか。そこにウェイトを置いて見ていただけると作品が楽しめるのではないかという風に思っています。

G:
「銀河美少年」というフレーズが全く解説を入れずに1話からポンと使われており、今のところ劇中でもキャラクターたちが「銀河美少年」の意味について特に追求することはありませんが、説明はいずれ行われるのでしょうか。

榎:
ロボットアニメってもともとそういうもののような気がするんですけどね。むしろ「銀河美少年」という言葉がある種インパクトがあったので、それに対する引っかかりと作中の使われ方の2つが重なったからちょっと問題が混乱しているような感じがしますけど。

伝説巨人イデオンなんかでも「生体発信器が!」と言われても、実際にその説明が出てくるのはかなり後の方だったりするので、SF系のロボットアニメでは割と知らない単語が普通に使われるのは基本なんじゃないかなと僕なんかは思うんですけどね。

五:
「情報を開示する」ということ自体が作品の中でプラスに働くとは限らないと思っています。僕らがよく話すのは設定で、設定というのはドラマと絡み合って初めて意味が出てくるものなのかなと…。その設定が開示されないとドラマが進まないものも中には当然あるわけで、そのあたりはおいおいですかね。

すべてを開示するとどういうことが起きるのかと言うと、多分「想像する楽しさ」がなくなるというか…、そういうことは見ている視聴者の方たちもあんまり望んでないんだろうなと。むしろそういうことをいっしょに想像できる部分にドラマのおもしろさがあるんじゃないのかなと思います。

情報は全部開示してしまうと「ああ、なるほど」で終わってしまう。その部分をどういう風に共有して楽しんでいくかというほうが作品としてもプラスですし。そういう意味ではいろいろと謎が多い作品ではあると思うんですけど。


榎:
意図的にやっているところもあるんですけどね。その質問は確かによく受けるなあと思います。「説明のないSF用語が出てくる」という言葉の使い方自体はロボットアニメではよくあるんですけど、多分「銀河美少年」という言葉自体にある種の自立性があって、その自立性が単なるSF用語だったらむしろ見逃してもらえたのかもしれない。

例えば「貴様、ギャラクシーファイタートリプルSクラス以上か!!」という言葉だったらみなさんそんなに引っかからなかったのかなと(笑)


G:
実際最初に見た時に「銀河級にカッコいい美少年のこと?」と思って、それから「そもそも銀河級ってなんだよ!」と自分で自分に突っ込みを入れてしまいましたね(笑)

榎:
起動する時の「アプリボワゼ」の方が知らない単語だし、使い方もちょっと変わっているから本当はこっちの方に引っかかるはずなんだけど、みんなが引っかかるのは「アプリボワゼ」のかけ声よりも「貴様、銀河美少年か」の方なので、「銀河美少年」という言葉が持っている自立性の強さが良い具合にミスマッチなのかなという感じかな。そこに引っかかってもらっているのであれば狙い通りということでしょうか。

五:
ありがたい話です。

G:
ちなみに「銀河美少年」の謎は解けるのでしょうか?

榎:
むしろ「銀河美少年」の謎って何だろうなって感じですね。そもそも謎はあるのかという(笑)

五:
想像する面白さがあると思うんです。「銀河美少年」という言葉が勝手に1人歩きをするような状況を作ってあげることが一番大事で、「これってこうなんじゃないの?」と想像する楽しさがあった方が何倍も面白さが広がるという感じです。

G:
確かに「全部説明してしまって、もう何もかも分かっているんだよ」という世界だと、どこにも想像の余地はありませんからね。

五:
提示される楽しさより想像することによって生まれる楽しさの方が僕は好きです。放送が全部終わった後に、仕掛けておいたネタを話すと「あー!なるほど」みたいな楽しさも良くないですか?今は登場キャラクターが「銀河美少年」という言葉に対してものすごくまじめに取り組んでいるところがミソで、そのギャップが引っかかりになっているんじゃないかな。

G:
個性的なキャラクターがすごく多いと思いますが、その世界観はどうやって考えていったのですか?

榎:
監督といっしょに、とにかく「こういう人がいたら楽しいね」というキャラクターを次々と一から考えていった感じで、今回元ネタはそんなに無いはずなんですよ。「人妻女子高生」とか「バスの上に飛び乗っちゃう女の子」とか。

やっぱり単なる人妻だとダメで、そこにプラスして「投資家である」とか「大金持ちである」という設定を加味することによって更にキャラクター性を高めていっています。あと、基本的に教室でタクトの前と後ろの席には敵の幹部が座っているようにしたかったんですよね。

G:
タクトがタウバーンに乗る時、どうして髪の色が変わるのでしょうか?

五:
僕も榎戸さんもロボットに派手な印象を持っていて、言うなればロボット自体をコンサート会場のようなものにしたかったんです。要するにタクトというのはジャニーズの男の子で、それがお立ち台に上がったときにどういう衣装になるか……というところから発想が来てますね。

戦闘時のタクト。確かに「颯爽登場!」といったいでたちです。


タクトが乗るサイバディ、タウバーン


G:
そろそろ2クール目に差し掛かるわけですが、「どういうところが見どころなのか」といったことや、2クール目にかける意気込みを聞かせてください。

五:
2クール目はミズノちゃんという「日死(にし)の巫女」が主役なんです。ミズノちゃんには双子のお姉さんのマリノちゃんがいて、その2人の関係性がドラマの核になっていく感じですね。

9話の一番最後のシーンで日死の巫女が誰なのかを開示しましたが、「日死の巫女が誰なのか」ということがドラマの本筋になるのではなくて、それ以外のことが本筋になっていくというところを楽しんで見ていただけたらなと思います。

G:
確かにマリノちゃんは妹のことを綺羅星十字団の仲間にひた隠しにしていますし、ミズノちゃんもマリノちゃんもタクトを気に入っていたりと、なかなか微妙な空気が出てきていますね。

五:
そうです。そこにも三角関係が存在するんですけど、そういう関係性がどんな風に変化していくのかが「日死の巫女編」のキーポイントになっているんじゃないかな。

榎:
「日死の巫女編」が終わったところでバニシングエージが台頭してきます。

五:
バニシングエージがある程度の力を持ってくるのですが、その力を持つ理由が第二部のラストにあります。


五:
ヘッドが所属しているチームですから「何かしらのことはあるだろう」とみなさんも想定されていると思いますが、バニシングエージが綺羅星十字団の中で大きな力を握るような出来事が第二部のラストに用意されているという形です。ヘッドを暫定リーダーにしているところにもちゃんと意味があって、なぜ暫定リーダーなのかというところも、もう少しするとわかってきます。

綺羅星十字団の暫定ヘッド。どこか物憂げな雰囲気が印象的です。


G:
一つ気になるところがあるのですが、サカナちゃんは帰ってくるのでしょうか?

五:
サカナちゃんが帰ってくるのかどうかは今のところ秘密です(笑)

榎:
サカナちゃんは人気あるんですかね?

G:
「サカナちゃんカワイイ!」と言われていますよ。

榎:
逃がしたサカナちゃんは大きかったのかな(笑)

五:
ただ、サカナちゃんは出てきますよ。「出てくる」という風にお話しておいて正解でしょうね。

榎:
雑誌と違って先にストーリーは全部出来ちゃっていますからね。

五:
ちゃんとサカナちゃんのテコ入れはしてあって、出てくるときに結構重要な役で出てきます。巫女というのは「封印を解かれると島の外に出られる」という設定があって、サカナちゃんの場合は1話で封印を解かれたのに外へ出なかったことに理由があったわけじゃないですか。「ヘッドのことが好きだったようですよ」という。じゃあヘッドはサカナちゃんのことをどう思っていたのか……みたいなドラマがあるのかもしれないですね。

「気多の巫女(きたのみこ)」のサカナちゃん


G:
細かい質問なんですけど9話の「カタミワカチタヤガダンセ」って何だろうと思ったら「三鷹・立川・千駄ヶ谷」を逆から読んでいます。これは誰が考えたんですか?

榎:
ストーリーを練るための合宿を何回か監督としたんですけど、その合宿した場所が千駄ヶ谷だったんです(笑)それぞれ因縁のある場所かな。ただ、こういう魔法の呪文って本物の宗教が絡むと逆に怖いなと思いますね、意味がありすぎるから。呪文とかはふざけたお遊びですよってくらいの方が軽く楽しめるんじゃないかなという感じがするんですよ。


五:
「千駄ヶ谷で合宿をした」とか、作品に対して思い入れが強い地名が使われているのは間違いないです。

榎:
呪文自体の言葉がまた別の意味を持ってくるということはあるかもしれない。二重、三重の意味はあります。「形見を分かつ」というのは双子にとっては意味があるのかなあと。

五:
いろんな意味がありますよ。それは第2シーズンを見ていただくと「ああ、そういう意味だったんだ」とわかる人にはわかります。

例えば、9話とか10話の時にミズノが言っている言葉が一番的を得ているというか。「この呪文って信じないと効かないよ」と。信じているか信じていないかが一番重要で、魔法の呪文自体が重要ではないんですよ。

だから信じていたら効くかもしれないという話で、お互いの関係性という距離感の中、つまり信頼関係のところで「信じられるか信じられないか」と。それはミズノとマリノの関係性とタクトとミズノの関係性がうまくリンクすることによって物語の中で意味を持ってくる言葉なんですよ。

G:
この言葉を今までに信じたのはマリノだけだったんですか?

五:
マリノだけだったんじゃないですかね。全体的なことで言うとルリがあの時に「それ、わたしも教えてもらったことあるよ」と言って「あれ?なんだったっけなあ」というようなシチュエーションがありましたが、あれが「タクト以外の人たちの反応の総称」みたいなところがあります。

榎:
タクトは青春バカだからね(笑)

五:
ミズノとマリノの関係性って、2人の中で完結していたところがある程度はあるんだけど、そこへタクトという人間が入ってくることによって3人の関係性がだんだん変わってくるというのが物語ですよね。

榎:
ミズノとマリノの2人にとっては大事な呪文だったということなんですよね。

G:
最後に視聴者の方へのメッセージをお願いします。

五:
現場もだんだんと後半に向けて大変なことになってきていますが、スタッフのモチベーションの高さには頭が下がります。これから先もパワフルなフィルムができていくと思いますので、是非そのフィルムをお楽しみください。

榎:
ミズノちゃんはサカナちゃんと違ってとんでもない運命がこれから待っていますけど、みなさん応援してあげてください。

G:
ありがとうございました。

◆「STAR DRIVER 輝きのタクト」のDVD、Blu-ray第1巻が2011年1月26日に発売
完全限定生産版にはサカナちゃん(戸松遥)が歌う「モノクローム」や、宮野真守さん、福山潤さん、早見沙織さん ほかメインキャストが出演するイベント参加応募券、キャラクター設定・原画・スタッフインタビューも掲載されたブックレットなどが付属。詳しくは公式サイトのBlu-ray、DVD情報でチェックできます。
PRODUCT|STAR DRIVER 輝きのタクト


DVD、Blu-rayの第1巻のセット内容。


「STAR DRIVER 輝きのタクト」の公式サイトは以下から。

STAR DRIVER 輝きのタクト

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in インタビュー,   アニメ, Posted by darkhorse_log

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