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「私たちはどんな色なのか?」を手作業でデータ分析して人間の肌の色を表現する新しい色空間を構築した「Inclusive Color Space」


人物画に色を塗る際に「人間の肌の色」を何色で塗ればいいのか迷うことは多く、また2000年代には差別意識に対する取り組みとしてクレヨンや絵の具などから「肌色」という名前が「うすだいだい」や「ペールオレンジ」などに変更されました。そんな「人間の肌の色」を徹底分析した新しい色空間「Inclusive Color Space(ICS)」と、そこから色を選択できるカラーピッカーが公開されています。

What Colors Are We? Constructing A Color Space For Skin Tones
https://toneyalexander.github.io/inclusive-color-space/

Inclusive Color Spaceはソフトウェアエンジニアのトニー・アレクサンダー氏が公開した実験的な色空間です。アレクサンダー氏は「人間の肌の色をデジタルで表現するのは、非常に難しい問題です。多くの場合、限られた色の組み合わせで多様性の全範囲をカバーできるとされていますが、特定の色の組み合わせを使用すると、多くの人々を正確に表現できなかったり、意図せず排除されてしまったりする可能性があります。本プロジェクトの目的は、RGB色空間において、妥当でありながら簡略化された肌の色調に対応する、最も広範囲な色域を特定することです。特に、その範囲を定義する、シンプルで十分な方程式を特定し、様々な状況でその範囲を使用できるようにすることを目標としました」と語っています。


アレクサンダー氏はまず、データセットの形状を大まかに把握するために、RGBで色を手動でラベル付けしました。その後、データセットに対して3次元(N=3)の主成分分析を実行し、扱いやすい形状に変更しています。そこからグラフ作成ソフトウェアを使用して、ターゲット空間の球をXYZ空間またはPCA空間の変換データにマッピングする方程式を手動で作成します。なお、アレクサンダー氏は今回の手法を「非科学的」と断った上で、エンジニアなら「完璧である必要はない」と述べています。

データをグラフ化したものが以下。「0, 0, 0」と「255, 255, 255」の間を流れるバナナのような形になっています。


アレクサンダー氏はこのデータに「主成分分析(PCA)」を適用しました。PCAは、データが最も大きく変化する方向を新しい座標軸として並べ直す解析手法です。これにより、ばらばらな向きに分布していた肌色データを扱いやすい座標系へ変換し、この座標系を「PCA空間」として利用しています。


その後アレクサンダー氏は、PCA空間に分布した肌色データ全体を近似できるシンプルな数式を、人力で調整しながら作成しました。この数式によって「人間の肌色として妥当な範囲」を数学的に表現できるようになり、その結果を利用してInclusive Color Spaceのカラーピッカーを構築しています。


一般的なカラーピッカーでは「RGB」または「色相・彩度・明度」を調整できますが、Inclusive Color Spaceでは上下が「濃い色/明るい色(T)」、左右が「赤みを帯びた色/黄土色(U)」、スライダーの左右が「寒色/暖色(V)」という値になっています。サイト上で実際に操作することで、右側にある顔のイラストの色が変わります。


アレクサンダー氏は「色空間、それに対応するピッカー、プロシージャル生成アルゴリズム、そして新しい空間を作成したり既存の空間を修正したりするための方法論をそろえることができました。全体として、この結果には大変満足しています。もちろん完璧ではありませんが、シンプルで完全に正しい解決策は存在しないと思っています。すでにデジタルペイントでピッカーを使ってみましたが、期待通りの結果が得られました。今後のプロジェクトでジェネレーターを使うのが楽しみです。私の課題は、コードを整理してこのページのレポジトリに投稿し、他の人がこの作業を簡単に再現したり、改良したりできるようにすることです」と語りました。

Inclusive Color SpaceのリポジトリはGitHubで公開されています。

GitHub - Toneyアレクサンダー/inclusive-color-space · GitHub
https://github.com/Toneyアレクサンダー/inclusive-color-space

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