黄色に「レモン」茶色に「モカ」など、AIは色に抽象的な名前を付けられるのか?という実験結果

by Bjorn Hovdal

赤色に「トマト」、黄色に「レモン・シフォン」など、色には抽象的な名前が付けられることがあります。これには、見分けにくい中間色を正確に見分けられるようにするという目的と、名前によって消費者に選ばれやすくするという目的がありますが、では人工知能(AI)が人間と同じように色に対して抽象的な名前を付けることは可能なのか?という点を、研究者のJanelle Shane氏が実験しています。

Letting neural networks be weird • New paint colors invented by neural network
http://lewisandquark.tumblr.com/post/160776374467/new-paint-colors-invented-by-neural-network

Letting neural networks be weird • Paint colors designed by neural network, Part 2
http://lewisandquark.tumblr.com/post/160985569682/paint-colors-designed-by-neural-network-part-2

An AI invented a bunch of new paint colors that are hilariously wrong | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2017/05/an-ai-invented-a-bunch-of-new-paint-colors-that-are-hilariously-wrong/

Reprogramming the AI that wanted to name paint colors and failed miserably | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2017/07/new-experiments-reveal-that-ai-are-still-terrible-at-naming-paint-colors/

Shane氏はまず、ニューラルネットワークに塗料メーカー「シャーウィン・ウィリアムズ」の塗料7700種類のリストをRGBカラーコード付きで学習させました。そしてアルゴリズムとして、1つの文字列のシークエンスから次の文字を予測する「char-rnn」を採用。シャーウィン・ウィリアムズの色のリストとRGBの組み合わせを学ぶことで、ニューラルネットワークが「色の名前」と「RGBカラーコード」の2つを生成し、色に対して魅力的な名前を与えられるかをチェックしたのです。

実験の結果、データセットを使った学習時間が長くなるほど、適切な名前付けができたとのことですが、青紫っぽい色に「Sane Green(健全な緑)」と名付けるなど、多くの色の名前は非常にシュールなものだったとShane氏は語っています。何度か学習を反復させることで基本的な赤や灰色を認識させることはできたものの、それでもニューラルネットワークはスカイブルーを「Gray Pubic(灰色の恥骨)」、ダークグリーンを「Stoomy Brown(ストーミーさんの茶色)」と名付けたとのこと。


一連の結果にいて、Shane氏は「ニューラルネットワークは『ブラウン』『ベージュ』『グレイ』が本当に好き」「ニューラルネットワークは色の名付け方に関して最悪の発想を持っていた」と語っています。

Shane氏が「ニューラルネットワークは『ブラウン』『ベージュ』『グレー』が本当に好き」と語ったのは、以下のようにベージュやグレー寄りの色が数多く生成されたため。


やはりAIに色の名前を付けさせるのは難しいのか……と結論づけそうですが、Shane氏がブログ記事を公開すると、記事を読んだAIコーダーたちから「こうすればいいのでは?」という提案が多く寄せられることに。提案を受けたShane氏はAIのクリエイティビティ・レベルを調整し、いくつかの新しいデータセットを与えたところ、別の結果が生まれました。

まず、1度目の実験では、ニューラルネットワークに対して「色温度」に関する変数を与えていたのですが、この変数が、ニューラルネットワークが1文字ずつ組み合わせて名付けを行うことを邪魔し、AIのクリエイティビティを下げていたとのこと。そこで色温度の変数を排除したところ、名前のセンスは微妙ではあるものの、色の種類と名前の合致率は上がったそうです。

実際に上記のアルゴリズムで名付けられた色の一覧は以下の通り。確かに「ホワイト」「グレー」「グリーン」「ブラウン」など、大まかな認識は合っています。


また、専門家からはデータセットの調整についても提案されたとのこと。当初、Shane氏はデータセットに赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の三つの原色を混ぜて幅広い色を再現するRGBカラーを使用していましたが、AIはランダムに数列を作り出し、それに対して名前を与えるという形を取っていました。しかし、このとき作り出されるカラーコードが表現する色合いは、人間の目で見分けがつくほどハッキリした違いがなく、加えて灰色やブラウンに近い濁った色合いが多かったとのこと。そこで、HSVLabといったカラースキームを使ってみることにも挑戦。

ただし、HSVやLabを使ってもRGBよりもいい名付けができたとは言えず、最終的にやはりRGBが最良のオプションだとShane氏は結論づけています。

しかし、その後、1人のコーダーが新しいデータセットを送ってくれたとのこと。このデータセットにはBehrとBenjamin Mooreという2つの会社の塗料の名前と、オリジナルの色名のリストが含まれていました。このデータセットを使用した結果が以下のもので、黄色っぽい色あいに「レモン」、濃いベージュに「ドライ・カスタード」と名付けられるなど、色に対するイメージと名前が合致する結果になっています。


このデータセットを使用した結果について、Shane氏は「驚くほどによかった」と語っており、ニュースメディアのArs Technicaも「機械学習の可能性を示すものとなっている」と表現しています。

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in ソフトウェア,  サイエンス, Posted by logq_fa