時速240kmの高速サーブを打ち返すテニス選手の脳の働きを解剖学者が解説

プロテニス選手のサーブは時速200kmを超えることも多く、2026年6月22日から開催されているウィンブルドン選手権では、アルゼンチンのチアゴ・アグスティン・ティランテ選手が大会初日に出した時速約148マイル(時速約238km)が記事作成時点で今大会最速となっています。しかし、それほどの高速サーブを打つティランテ選手はハンガリーのファビアン・マロジャーン選手にストレート負けしました。打ってから0.3秒足らずで手元に到達する高速サーブを返球するプロテニスプレイヤーの脳がどのようなメカニズムになっているのか、イギリス・ブリストル大学の解剖学教授のミシェル・スピア氏が解説しています。
What happens inside a tennis player’s brain as they try to return a 148mph serve?
https://theconversation.com/what-happens-inside-a-tennis-players-brain-as-they-try-to-return-a-148mph-serve-286985
以下は、フランスのジョバンニ・ムペチ・ペリカード選手が2025年にウィンブルドンの最速サーブ記録を更新したときのムービー。時速153マイル(時速約246km)というすさまじいスピードですが、サーブはアメリカのテイラー・フリッツ選手によって返球され、ラリーの末にペリカード選手はポイントを落としています。
AN 153MPH SERVE 🤯 | Giovanni Mpetshi Perricard breaks Wimbledon serve record - YouTube

スピア氏はまず、高速で飛んでくるボールを見た時のメカニズムを説明しています。ボールの表面から反射した光が目の網膜で検出され、電気信号に変換された後、視神経を通って脳に伝達されます。脳では、視覚野がボールの色・形・速度・方向の分析を開始し、どんなボールがどのように飛んでくるかを把握します。
スピア氏によると、ボールを見てから分析が完了するまでには理想的な条件下でも約0.1秒かかるそうです。その間に、時速約240kmの高速サーブは約6.7m進むため、テニスコートのベースラインからベースラインまでの長さ23.77mのうち、約4分の1を進んでいることになります。リターンを打つ選手はそうやってボールを認識した後、サーブが飛んでくる場所に移動し、ラケットを構え、適切なタイミングと角度で正確にスイングする必要があります。しかし、実際にはボールを認識してから動き始めていては間に合いません。
これを実現するメカニズムとして、スピア氏は「脳の未来予測能力」を挙げています。サーバーがボールを打つ準備をする間、レシーバーはボールのトスの高さと位置、サーバーの構え、肩や腕の動き、ラケットの面の角度、スイングの速度など、さまざまなポイントから情報を収集しています。これらの情報を、脳の後部下側にある小脳が処理し、ただ感覚情報に反応するだけではなく、「どのように振る舞うかについての内部モデル」を計算によって生成するのだとスピア氏は説明しています。

また、視覚野の「MT野」または「V5野」と呼ばれる特殊な領域は、動きに非常に敏感で、ボールがプレーヤーの視野を横切る際の速度と方向を計算します。この情報は脳の背側経路とも呼ばれる「背側視覚経路」を通って後頭頂皮質に伝達され、そこでボールの位置がプレーヤー自身の身体に関する情報と統合されます。
そこから前運動野が可能な動作の準備、補足運動野が動作の順序を整理するのを助け、一次運動野は体幹・肩・腕・手首の筋肉に指令を送ります。同時に、前頭眼野と中脳にある上丘はほんの一瞬前までボールがあった場所ではなく、次にボールが来ると予想される場所に向かって、素早い眼球運動を生み出します。
スピア氏は「テニスにおける最速のリターンは、単なる驚異的な反射神経によるものではないのです。それは、常に予測を立て、検証し、洗練させている脳の働きによるものです。時間に余裕があるように見える選手は、次に何が起こるかを予測する能力が非常に高いのです」と語りました。

スピア氏が説明した脳の予測システムは、神経科学研究において重要な研究テーマとなりつつあり、神経損傷後のリハビリテーションの改善、運動や協調運動の障害の理解、そして予測不可能な世界とより自然に相互作用できるロボットの設計に役立っているそうです。
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in 動画, サイエンス, Posted by log1e_dh
You can read the machine translated English article An anatomist explains how the brain work….







