サイエンス

ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが狩猟や石器についての知識や文化を共有していた可能性

by Allan Henderson

ネアンデルタール人は約4万年前まで生きていた人類の一種で、現生人類(ホモ・サピエンス)交配していたことや、現代人にネアンデルタール人のDNA受け継がれていることもわかっています。日本やトルコ、フランスなどの研究者による新たな研究では、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが文化を共有していた可能性があると示されました。

Long-term cultural continuity across the Neanderthal–modern human sequence at Üçağızlı II Cave, northern Levant | PNAS
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2609061123

ネアンデルタール人と現生人類は価値観を共有していた―小さな貝の化石が語る人類交流の歴史― | 京都大学
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-07-07

Humans And Neanderthals Shared a Culture For 20,000 Years, Cave Discovery Suggests : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/humans-and-neanderthals-may-have-shared-a-culture-for-20000-years

Neanderthals and modern humans may have shared culture 59,000 years ago in Turkey, study finds | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/neanderthals/modern-humans-and-neanderthals-may-have-shared-long-term-cultural-continuity

京都大学やトルコのガジアンテップ大学などの研究チームは、トルコ南部の地中海沿いに位置するウチャーズリII洞窟の発掘調査を行いました。ウチャーズリII洞窟は先史時代、初期のホモ・サピエンスなどがレバント(地中海東部の沿岸沿い)からユーラシア大陸に進出する際のルート上に位置しています。

発掘チームはウチャーズリII洞窟において、人類のものと思われる歯や顎骨の一部を発掘しており、これらの内部構造を分析することでネアンデルタール人とホモ・サピエンスの遺骨を区別することができました。また、埋没した鉱物が最後に日光を浴びた時期を特定する光刺激ルミネッセンス法により、堆積物の年代測定も行ったとのこと。


調査の結果、ウチャーズリII洞窟にはネアンデルタール人が約7万7000年前~約5万9000年前、ホモ・サピエンスが約5万9000年前~約4万7000年前に居住していたことが判明。また、時代は異なるものの両者の地層からは「ほぼ均一な狩猟採集戦略と石器技術」が確認され、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの狩猟採集戦略と石器使用法が似通っていたことが示唆されました。

以下が、2024年に撮影されたウチャーズリII洞窟での発掘の様子です。


ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは、同じ産地から火打ち石などの原材料を採取していたほか、パサン(ノヤギ)ペルシアダマジカノロジカイノシシといった獲物を狩猟していた形跡が発見されました。

さらに、いくつもの地層にまたがって小さな海洋巻き貝であるアフリカタモトガイの貝殻が29個発見されました。アフリカタモトガイは食用には適していないことから、装飾品として洞窟に持ち込まれたものと考えられています。貝殻にヒモを通すための穴が空けられているものもあったほか、ネアンデルタール人の時代の地層には意図的に加熱された痕跡がある貝殻も見つかっています。

これらの発見は、先史時代の東地中海沿岸部に生息していたネアンデルタール人とホモ・サピエンスが交流し、何世紀にもわたって狩猟や石器技術に関する知識、そして文化的な伝統を共有していたことを示唆するものです。

以下は、ウチャーズリII洞窟で発掘された貝殻の一例です。


論文の共著者である京都大学大学院理学研究科の森本直記准教授は、「こうした文化の共通性は、石器や食糧といった実用面だけでなく、非実用的な自然物の収集行動にも及んでいました。特に、2つの人類種は共通して食用に適さない特定の種の貝殻を収集していました。種を超えた文化の共通性の背景には両者の交流があり、そしてその交流の基盤には、特定の『役に立たないが美しい』貝殻の収集に表れているように、種を超えた価値観の共有があったと本研究グループは考えています」とコメントしました。

科学系メディアのLive Scienceは、レバントは人類の歴史において重要な地域であるにもかかわらず、人類に関する化石の発見が少ないと指摘。今回の分析は、古代の人類史における重要な知見をもたらすものである一方で、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの交流についてさらに詳しく知るには、さらなる調査が必要だろうと述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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