半導体製造大手のTSMCが値上げを検討中との報道、NVIDIAやAppleに影響か

世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCが、3nmプロセスだけでなく7nmプロセスや従来製品も含めた先進チップ製造ポートフォリオ全体で値上げを実施する予定であると顧客に伝えたことが報じられました。この値上げはApple・NVIDIA・AMD・Qualcomm・Broadcom・MediaTekといった主要なチップ設計企業のコスト上昇につながる可能性があります。
TSMC Clients Handed Price Hikes Across All Advanced Nodes
https://www.culpium.com/p/tsmc-clients-handed-price-hikes-across

TSMC is reportedly hiking prices for 'all advanced nodes,' accounting for 74% of the company’s wafer business — Nvidia, AMD, Apple, Qualcomm, and others will face higher wafer costs | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/tsmc-is-reportedly-hiking-prices-for-all-advanced-nodes-accounting-for-74-percent-of-the-companys-wafer-business-nvidia-amd-apple-qualcomm-and-others-will-face-higher-wafer-costs
TSMCによる値上げの詳細は明かされていませんが、顧客・ノード・製品カテゴリによって数値は異なるものになると報じられています。値上げは概ね5~10%の値上げ幅に収まる模様。なお、TSMCは既に一部で値上げを実施しており、まだ値上げを実施していない顧客に対しては、今後の発注で値上げ後のコスト構造を組み込むよう指示を出しているそうです。
CulpiumはTSMCに対して値上げに関する問い合わせを行っていますが、同社は「TSMCは価格についてコメントしません。当社の価格設定は戦略的であり、日和見主義的なものではありません。当社は引き続き顧客と緊密に連携し、当社の価値を顧客に伝えていきます」とだけコメントしています。
なお、TSMCのシーシー・ウェイCEOは2026年6月に株主に対し、事業の安定性を確保するためにメモリやストレージチップ業界が経験するような急激な値上げは避けると語ったばかりでした。ただし、ウェイCEOが避けると言ったのはあくまで「急激な値上げ」であり、インフレや先端製造コストの上昇が続くため、「値上げの可能性は排除しない」とも語っています。
TSMC CEO C.C. Wei says, ‘It will be a long time before we can meet customer demand’ — tells shareholders that he will keep prices stable, refrain from implementing price hikes | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/tsmc-ceo-c-c-wei-says-it-will-be-a-long-time-before-we-can-meet-customer-demand-tells-shareholders-that-he-will-keep-prices-stable-refrain-from-implementing-price-hikes

TSMCの3nmプロセスはハイエンドスマートフォンやPC、AIチップなどの製造で利用されている最先端プロセスのひとつで、台湾メディアもこれまでTSMCの3nmプロセスの値上げを報じてきました。
TSMCの2026年第1四半期(1~3月)の売上における3nmプロセスの割合は実に25%を占めます。TSMCの先進ノード製品群全体(7nm以降のプロセス)になると、その割合は74%にまで拡大することとなります。つまり、TSMCによる値上げは同社のウエハー事業の4分の3におよぶわけです。
テクノロジーメディアのTom's Hardwareは、7nmプロセスも値上げ対象となったことが特に注目に値すると言及。「7nmプロセスはもはやTSMCの主力技術ではありません。しかし、プロセッサやアクセラレータ、ネットワーク用シリコン、その他の高性能チップなどで7nmプロセスが依然として広く使用されていることを考えると、これは全く驚くべきことではありません。多くの製品は最新のプロセスよりもコスト・歩留まり・成熟度において優れているため、より古いプロセスノードで製造され続けます」と報じています。
なお、報道されている値上げ幅は「5~10%」であるため、これはメモリ市場で起きている価格高騰と比べればはるかに小さいものです。メモリ市場ではHBMをはじめとするハイエンドメモリ製品への需要の高まりにより、はるかに大幅な値上げが実施されています。
ウエハー価格が5~10%上昇したからといって、GPU・CPU・スマートフォン・ノートパソコンの価格が必ずしも5~10%上昇するわけではありません。しかし、メモリ価格の上昇、パッケージングの制約、AI需要、製造コストの上昇と相まって、デバイスメーカーや部品ベンダーが価格を引き上げたりする可能性は十分にあります。
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