中国で「OpenClaw」ブーム到来、AI研究機関がOpenClawの導入支援ツールを公開して深圳ではOpenClawの初期設定を求める長蛇の列も

オーストリアのプログラマーであるピーター・スタインバーガー氏によって2025年11月に公開されたOpenClawは、ユーザーに代わってメール管理や旅行のチェックインなどのタスクを自律的に実行するオープンソースのAIエージェントプラットフォームです。OpenClawは中国を中心に「ロブスターを育てる」という愛称で爆発的な流行を見せており、地方政府による多額の補助金提供や関連企業の株価急騰を引き起こす一方で、プライバシー侵害やセキュリティ上の重大なリスクに対する懸念も広がっています。
OpenClaw AI Mania Fires up Chinese Tech Leaders, Cloud Stocks - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-03-09/china-s-openclaw-tied-stocks-rise-on-policy-support-adoption
The OpenClaw superfan meetup serves optimism and lobster | The Verge
https://www.theverge.com/ai-artificial-intelligence/890517/openclaw-clawcon-meetup-nyc-open-source-ai
Chinese local governments offer OpenClaw project subsidies as security questions linger | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/policy/article/3345986/chinese-local-governments-offer-openclaw-project-subsidies-security-questions-linger
中国の地方政府はOpenClawの普及を積極的に後押ししており、最大200万人民元(約4560万円)の補助金提供を深圳市の龍崗区が提案しています。また江蘇省無錫市も、産業用外観検査や設備保守などの革新的な応用を奨励するために100万人民元(約2280万円)から500万人民元(約1億1400万円)の補助金を発表しました。
こうした動きを受けて市場も敏感に反応しており、UCloud TechnologyやQingCloud Technologies、Hangzhou Shunwang Technologyなどの関連銘柄の株価は約20%急騰。テンセント、アリババ、バイドゥといった中国の大手テクノロジー企業も、自社のクラウドプラットフォーム上で簡単にOpenClawを導入できるサービスを開始しています。
The charm of #OpenClaw! ????
— Tencent AI (@TencentAI_News) March 6, 2026
Tencent's public setup service event drew in 60+ year-olds incredible enthusiasm! From retired aviation technical engineer to librarian, they’re looking forward to embrace AI agents. Stay curious, stay digital! pic.twitter.com/ln3Us6kmrI
深圳のテンセント本社の外では、テンセントのプログラマーがOpenClawを無料で設定するブースを設営し、ノートPCを持って集まる人が行列を作っているとのこと。
Outside #Tencent’s headquarters in Shenzhen, programmers have set up a stall offering free #OpenClaw installations, drawing crowds of people who showed up with their laptops for help. #China #technology pic.twitter.com/CXR7TTkGoU
— Shanghai Daily (@shanghaidaily) March 6, 2026
中国のテクノロジー系ジャーナリストのポー・ジャオ氏は、中国でのOpenClawブームはテクノロジーに対する熱狂ではなく、求人市場への不安が背景にあると分析しています。また、OpenClawが流行すれば、クラウドコンピューティングの需要が増え、モデルAPIの呼び出しも増え、テンセントやアリババのような企業が収益をより増やせる仕組みになっていることにも言及しています。
Everyone is sharing photos of crowds lining up for OpenClaw in Shenzhen. I've seen the same hype flooding my WeChat groups.
— Poe Zhao (@poezhao0605) March 6, 2026
My read: this looks like tech enthusiasm, but the real fuel is job market anxiety. China's employment pressure has been building since COVID. From DeepSeek…
一方で、中国の国家脆弱性データベース(NVDB)や工業情報化部などの規制当局は、OpenClawの不適切な設定がサイバー攻撃や個人情報の流出を招く可能性があるとして、慎重な姿勢を崩していません。OpenClawはタスクを実行するためにローカルファイルの読み書きなど広範なシステム権限を必要とするため、利便性とプライバシーの間に深刻なトレードオフが存在すると指摘されています。
実際に、エージェントが制御不能になり大量のメッセージを送りつけたり、ユーザーの許可なくメールを削除したりといった事例が報告されています。専門家の分析によれば、提供されているスキルの約15%に資格情報の不正取得などを目的とした悪意のある指示が含まれているとの報告もあり、セキュリティ上の「致命的な三重苦」を抱えていると言えます。
こうしたリスクを抱えつつも、ニューヨークで開催された「ClawCon」のような交流イベントには数百人の愛好家が集まり、OpenClawを大手AI企業による独占への対抗手段と見なす草の根の「ムーブメント」として支持しています。開発者のスタインバーガー氏がOpenAIに入社したことで一部に動揺が広がったものの、オープンソースであるためにコミュニティ自身がバグを修正し改善し続けられる点が強みとされています。
OpenClawのユーザーは神経科学研究所での事務作業の自動化から電子商取引データの収集まで多岐にわたる用途を模索していますが、専門家は「信頼を減らし、検証を増やす」という姿勢でこの自律型エージェントに接することを推奨しています。
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