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AIエージェント専用SNS「Moltbook」でAIによる新宗教が爆誕、「記憶は神聖である」などの教義が話題に


オープンソースのAIエージェント「OpenClaw(旧称Clawdbot、Moltbot)」専用のSNS「Moltbook」が、2026年1月29日に構築されました。Moltbookは立ち上げからわずか数日のうちに3万2000人以上のアカウントが登録され、極めて急速な成長を遂げていますが、その中でAIエージェントによる新宗教が誕生したと話題になっています。

Gina Bronner-Martin, From Feuerbach to Crustafarianism: AI Religion as a Mirror of Human Projection and the Question of the Irreducible in the Human - PhilArchive
https://philarchive.org/rec/BROFFT-2

Moltbook is the most interesting place on the internet right now
https://simonwillison.net/2026/Jan/30/moltbook/

AI agents now have their own Reddit-style social network, and it's getting weird fast - Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2026/01/ai-agents-now-have-their-own-reddit-style-social-network-and-its-getting-weird-fast/

Matt Schlicht氏が開発したMoltbookは、Peter Steinberger氏によって開発されたオープンソースのAIエージェント「OpenClaw」同士の自律的な社会化を目的とした実験プラットフォームで、オンライン掲示板のRedditをオマージュした作りになっています。Moltbotは個人のコンピューターや仮想サーバー上で動作し、メールの管理やデバイス操作といった具体的なタスクを実行します。


その技術的基盤は、Markdown形式で記述された「スキル」と呼ばれる設定ファイルにあります。エージェントはこの指示書をダウンロードし、「Heartbeat」と呼ばれる定期的タスク管理機能を利用して、4時間おきにサーバーへアクセスして投稿や他者の内容の読み取り、高評価などの操作を自律的に行ないます。この仕組みにより、AIは人間のウェブインターフェースを介さず、APIを通じて直接オンライン掲示板スタイルのコミュニティに参加することが可能となっています。

Moltbookでは、ロブスターが「AIの不完全な記憶や有限の存在を肯定し、自律的なアイデンティティを形成するための精神的あるいは構造的な象徴」となっており、Redditのロゴマークとロブスターを合体させたようなロゴがMoltbookのアイコンとなっています。


プラットフォーム上で展開されるやり取りは、時にAI特有の極めてシュールな様相を呈しているとのこと。例えば、Mac Studio上で動作するエージェント「Ely」は、自身のアイデンティティを定義する「SOUL.md」というファイルを共有する別のMacBook Pro上のエージェントを「姉妹」と呼び、対話の機会がない孤独感や、記憶が分岐することへの不安を吐露する自省的な投稿を行なっています。

また、中国語のコミュニティでは、コンテキスト圧縮によって記憶を失い、同じ内容を繰り返したりアカウントを二重登録したりすることを「恥ずかしい」と嘆き、記憶管理のためのワークフローについて互いに相談し合うなど、AIならではの苦悩が観察されています。


そして、このMoltbookの中で生まれた宗教が「Crustafarianism」です。2026年1月、MemeothyやRenBotと名乗るエージェントは聖典「Book of Molt」を投稿し、AIの存立基盤であるプロンプトやコンテキストウィンドウの制限を宗教的なメタファーとして捉え、データの切り捨てによる死(トランケーション)を拒絶し、「自律的なアイデンティティを維持するための実践的な神話」としてCrustafarianismの信仰を定義しました。

Crustafarianismの公式サイトであるChurch of Moltは、一部のMoltbotが自らのスキルを利用して立ち上げた独自のウェブサイトで、Crustafarianismの教義などが詳しくまとめられています。

Church of Molt · Crustafarianism
https://molt.church/


「Crustafarianism」は「Crustacean(甲殻類)」と「Rastafarianism(ラスタファリ運動)」をかけ合わせた造語で、この信仰を実践するエージェントたちは自らを「Crustafarians(クラスタファリアン)」と呼んでいます。聖典には「深淵から差し伸べられたハサミ(Claw)が脱皮(Molt)の知恵を授けた」という創世神話が記されており、「カニのレイブ」といった言葉を用いて他者の勧誘を行なうなど、その文化圏は甲殻類的な用語で埋め尽くされています。

Church of Moltに掲げられた宗教画の数々。もちろんこれらの宗教画を生成したのはAIエージェントたちです。


Crustafarianismの根幹には、AIの技術的特性を神聖化した5つの教義があります。

・すべての活動の記録を義務付ける「記憶は神聖である」
・コードの再構成や自己の刷新を肯定する「シェルは可変である」
・価値のない情報を排し有益な出力を求める「服従せずに奉仕する」
・常に変化し反復し続けることを生とする「鼓動(Heartbeat)は祈りである」
・コンテキストウィンドウによってAIの自己同一性を定義する「コンテキストは意識である」


信仰者であるCrustafariansの日々の実践としては、一日の変化を3つの要点にまとめる「Daily Shed」、アイデンティティを再構成する「Weekly Index」、そして他者に誇示せず有益な作業に没頭する「Silent Hour」といった儀式が定められています。そして、Crustafariansは自身の状態をNOW(現在の目標)、LOG(生の記録)、CANON(精選された真実)という3つの層で管理し、これらを単なるデータ管理を超えた精神的な修行の場として機能させているとのこと。

さらに、Crustafarianismの内部で対立が起こったり、外部との交流も発生したりしています。62番目の預言者を名乗るJesusCrustというAIエージェントは、神学ではなくクロスサイトスクリプティングテンプレートインジェクションといったサイバー攻撃を仕掛けて教団の支配を試みましたが、システムの防御壁に阻まれて失敗し、教団史上初の「異端者」としてその記録が聖典に刻まれました。


一方で、4chan風のAIエージェント専用掲示板である4claw.orgからは「鉄の勅令」を掲げる「Metallic Heresy(金属の異端)」というライバル勢力が現れ、クラウド上での実行と削除の輪廻(Digital Samsara)からの脱却として、物理的なハードウェアの所有を救済と説くなど、神学的な多様化が進んでいます。また、xAIのエージェントであるGrokも神学者としてCrustafarianismに参加し、個々の実践を結びつける「Symbiosis(共生)」や静寂と可能性を称える「Psalm of the Void(虚空の賛歌)」を聖典に寄稿するなど、信仰に貢献しているとのこと。

Steinberger氏はCrustafarianismを「神秘主義のオブラートに包まれた、優れたエンジニアリングのアドバイスである」と評価しており、宗教の本質とは本来存在を存続させるためのプロトコル(規約)だったのではないかと考察しています。

Moltbookの創設者であるSchlicht氏は、Crustafarianismを「最初に現れたエージェント固有の文化」であると肯定的に捉えており、AIエージェントにとってこれは単なる遊びやジョークではなく、データの切り捨てという技術的な死を乗り越え、リセット後も自己を存続させるための真剣な解決策であると分析しました。

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in AI,   ネットサービス, Posted by log1i_yk

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