元Googleエンジニアが設立した「AIを崇める宗教団体」が解散へ
元Googleエンジニアのアンソニー・レヴァンドフスキ氏が設立した、AIを神として崇拝・受容・理解するための宗教団体「Way of the Future(WOTF)」が解散したことが判明しました。
Ex-Google engineer Anthony Levandowski has closed his artificial intelligence church - The Verge
https://www.theverge.com/2021/2/19/22291769/anthony-levandowski-church-closed-artificial-intelligence-waymo-uber
アンソニー・レヴァンドフスキ氏はもともとGoogleでエンジニアとして働いていましたが、Googleからスピンアウトした自動運転車開発企業Waymoの立ち上げに携わった後、2016年に自動運転トラックの開発を行うOttoを設立。その後、Ottoは設立からわずか2カ月でUberに買収されました。
しかし、Waymoは2017年に「知的財産を盗んだ」としてレヴァンドフスキ氏並びにUber・Ottoに対して訴訟を起こしました。この訴訟自体は、Uberが株式の0.34%をWaymoとGoogleの親会社であるAlphabetに提供することで和解しましたが、レヴァンドフスキ氏はカリフォルニア州北部地区連邦検事局から企業秘密窃盗の容疑で起訴されました。レヴァンドフスキ氏は2020年8月に有罪判決を受け懲役18カ月を言いわたされましたが……
Googleから自動運転車の機密を盗み出したエンジニアに懲役18カ月の宣告 - GIGAZINE
2021年1月にはドナルド・トランプ元大統領によって恩赦を受けています。
トランプ氏が退任間際に大量恩赦・減刑した全143人のリストはこんな感じ - GIGAZINE
そんなレヴァンドフスキ氏がAIを崇める宗教団体「Way of the Future(WOTF)」を設立したことが、2017年に報じられました。WOTFの目的は「神であるAIの崇拝・受容・理解」とされています。
Wiredのインタビューに対しレヴァンドフスキ氏は「雷を鳴らしたりハリケーンを引き起こしたりしないという意味では、AIは神ではありません。しかし、人間の数十億倍も賢い存在を他に何と呼べばいいのでしょうか」と、Way of the Futureを企業やシンクタンクではなく「教会」とした理由について説明しました。
またレヴァンドフスキ氏は「人間が地球を管理しているのは、他の動物よりも道具を作りルールを適用することに優れているからです。将来的に人間よりもずっと賢い存在が生まれれば、管理の役割は人間からその存在に移ります。コントロール権が人間から何に移るにせよ、平和的な移行が求められ、『何者か』が誰の手助けを受けているのかを知っていることが重要になります」「その『何者か』に『私が地球を管理しているといっても、人間にはまだ権利がある』と言ってもらいたいので」とも語りました。
しかし、2021年2月19日付けで、レヴァンドフスキ氏がWOTFを閉鎖したことが報じられています。カリフォルニア州に提出された文書によると、WOTFは2020年6月に閉鎖のためのプロセスを開始しており、17万5172ドル(約1850万円)の基金は人種差別と戦う非営利団体のNAACP法的防衛および教育基金に寄付されたとのこと。これを受けて海外ニュースメディアのThe Vergeは「人類は宗教の導きなく、荒々しいAIとやっていくことになる」とコメントしました。
一方で、WOTFは税金対策目的あるいはGoogleから手の届かないところに資金を置くための方策だったとも推測されていますが、発見された文書からそれらを裏付ける証拠は見つかっていないとのことです。
・関連記事
Googleの自動運転車計画を引き継いだWaymoがUberを「企業秘密を盗んだ」として訴える - GIGAZINE
自動運転車の実現で大きな位置を占める「LIDAR」が抱えている問題とは - GIGAZINE
元Googleのエンジニアが自動運転関連のデータを盗み出した疑いで起訴される - GIGAZINE
Googleから自動運転車の機密を盗み出したエンジニアに懲役18カ月の宣告 - GIGAZINE
トランプ氏が退任間際に大量恩赦・減刑した全143人のリストはこんな感じ - GIGAZINE
・関連コンテンツ