犬の認知症は想像以上に一般的、兆候や治療法について知っておくべきこととは?

犬や猫は獣医療の進歩などで長生きできるようになった一方、年齢とともに人間の認知症に似た認知機能の低下が起きるリスクも高まっています。実際に高齢犬の認知能力向上を目的として犬用のテレビゲームが開発されるなど犬の認知症に関する研究が進む中、科学系メディアであるScience Alertが「犬の認知症」に相当する症状の名称・見分け方・治療法・研究の動向など知っておくべきことをまとめています。
Dog Dementia Is More Common Than You Think. Here's What to Look Out For. : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/dog-dementia-is-more-common-than-you-think-heres-what-to-look-out-for

犬の認知機能の低下は「Cognitive Dysfunction Syndrome(認知機能障害症候群・CDS)」と呼ばれます。CDSはゆっくり少しずつ進行していくため、熱心な飼い主でも気付きにくい場合があるとのこと。犬はCDSになると学習機能・記憶機能・実行機能に障害が出る可能性があり、これは人間のアルツハイマー病と似た点だとScience Alertは説明しています。
・CDSの兆候は「DISHA(A)」
CDSの神経学的な兆候は決め手に欠けるそうなのですが、「見当識障害(Disorientation)」「社会的なやり取りの変化(Interaction changes)」「睡眠と覚醒のリズムの乱れ(Sleep–wake cycle alterations)」「室内での粗相(House-soiling)」「活動量の変化(Activity level changes)」「攻撃性(aggression)や不安(anxiety)」といった変化が起こる可能性があり、飼い主がCDSの兆候を覚えやすいように頭文字を取って「DISHA(A)」と略されています。
Science Alertによると、具体的な兆候としては「水飲み場の位置を忘れる」「人を避ける」「過度に依存する」「何もないのにほえる」「遠ぼえする」「夜に目的なくうろつく」「昼寝が減る」といった行動があるそうです。
また、認知機能の低下は数カ月という短期間で悪化することがあるため、変化に早く気付くほど良いとのこと。

・根本的な治療法は存在しない
「犬の認知症」に根本的な治療法はありません。ただ、高齢犬の生活の質や寿命を改善する可能性がある治療が検討されているそうです。
2025年8月20日に発表されたCDSの診断に関する論文では「臨床症状や行動の兆候が非常に深刻になった段階では手遅れで、重い神経変性と強く結び付いている」「その状況は飼い主のいら立ちや不満を招き、犬との関係悪化につながり動物福祉にも影響する」と研究者らが指摘しています。
Science Alertは飼い主が犬を守るために取ることができる手段の例として「階段などの危険な場所をふさぐ」「屋内での事故を減らすため散歩を増やす」「メラトニンのような薬を導入する」といった対応を挙げています。

アメリカでは加齢に伴う認知機能低下と診断された犬に対し、セレギリンが提案されることがあります。セレギリンは犬のCDS治療としてアメリカ食品医薬品局(FDA)が承認している唯一の薬ですが有効かどうかははっきりせず、人間では認知症治療として無効と判断されたそうです。
・トレーニングで認知機能を改善できるか?
オーストラリアのアデレード大学の研究者は、高齢犬向けの特別なトレーニングで認知機能を改善できるかを研究しています。アデレード大学の獣医師であるトレイシー・テイラー氏は2024年に「11歳以上が中心の高齢犬では最大60%が犬の認知症の影響を受けている可能性がある」「飼い主は単なる衰えと考えがちだが、家の中で迷う・他の犬や人への接し方が変わる・ぼんやり見つめるといった症状はCCDの兆候になり得る」と述べています。なお、Science Alertによると「CDSは『canine cognitive dysfunction』(CCD)とも呼ばれる」とのことです。

・診断方法は検討中
CSD(CCD)の診断は地域によっては「Canine Dementia Scale(CADES)」「Canine Cognitive Assessment Scale(CCAS)」「Canine Cognitive Dysfunction Rating Scale(CCDR)」といった尺度に基づいて行われる場合がありますが、その一方で標準化された検査や信頼できる指標がないため、最適な診断方法の検討が続いているそうです。
7歳以上の犬70匹を対象にCADESで評価した研究では約66%に認知機能の問題が見られ11%は重度という結果になっていますが、Science Alertは「他の尺度でも同じ割合になるかは不明」としています。
また、CCDを決定的に判定する唯一の方法は身もふたもありませんが「死亡後に犬の脳を解析すること」とのことです。
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in サイエンス, 生き物, Posted by log1b_ok
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