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OpenAIがChatGPTの利用状況について初の詳細な調査結果を公開、73%は仕事以外で利用されている


OpenAIとハーバード大学の経済学者であるデビッド・デミング氏らが共同で、ChatGPTの利用動向に関するこれまでで最大規模の調査結果を発表しました。この調査は150万件の会話データを分析したもので、ChatGPTが仕事における生産性向上と個人の利益の両面で経済的価値を生み出している実態を明らかにしています。

How People Use ChatGPT | NBER
https://www.nber.org/papers/w34255

How people are using ChatGPT | OpenAI
https://openai.com/index/how-people-are-using-chatgpt/

OpenAI: Women Make Up 'More Than Half' of ChatGPT Users | PCMag
https://www.pcmag.com/news/openai-women-make-up-more-than-half-of-chatgpt-users

調査の結果、ChatGPTの利用者層は世界的に拡大を続けており、多様化が進んでいます。以下の折れ線グラフに示される通り、2025年7月末時点で週間アクティブユーザー数は7億人を超え、世界の成人人口の約10%に達しました。


特にローンチ初期は男性名の利用者が多数派(約80%)でしたが、ジェンダーギャップは劇的に縮小し、2025年6月には女性名の利用者(赤)が男性名(青)を上回りました。


利用トピックには性差が見られ、女性名ユーザーは「ライティング」や「実用的なガイダンス」を、男性名ユーザーは「テクニカルヘルプ」や「マルチメディア」をより多く利用する傾向がありました。年齢別では、18歳から25歳の若年層が全メッセージの約46%を占める一方で、地理的には低・中所得国での成長率が高所得国の4倍以上に達するなど、普及が加速しています。

以下は国の経済的な豊かさ(一人当たりGDP)と、その国におけるChatGPTの普及率の関係を2024年5月(左)と2025年5月(右)で比較したグラフ。横軸は一人当たりGDP(1000ドル単位)で、右に行くほど経済的に豊かな国々のグループを示します。縦軸は、各国のインターネット利用者の中で週に1回以上ChatGPTを利用する人の割合の中央値を表しています。右から左を比較すると、一人当たりGDPが1万ドル(約155万円)から4万ドル(約620万円)の低・中所得国グループで利用率が急激に伸びており、これらの国々で普及が特に加速したことがわかります。


利用目的では、仕事関連の利用が約30%であるのに対し、プライベートな目的での利用が約70%を占めています。特にプライベート利用の割合は急速に伸びており、2024年6月の53%から2025年6月には73%へと大幅に増加しました。具体的な会話トピックを見ると、「実用的なガイダンス」「情報収集」「ライティング」の3つで全体の約80%を占めています。

仕事関連では「ライティング」が最も一般的な用途で、全仕事利用の40%に上ります。その「ライティング」のうちの約3分の2は、ユーザーが提供したテキストの編集、要約、翻訳といった修正依頼であり、ゼロからの新規作成ではありませんでした。また、全メッセージの10.2%が「個別指導・教育」に関するもので、教育が重要なユースケースであることが示されています。一方で、コンピュータープログラミング(4.2%)や、個人的な人間関係に関する相談・内省(1.9%)といった用途は、比較的小さな割合に留まりました。


研究チームは利用者の意図を分類するために「Asking(質問)」「Doing(実行)」「Expressing(表現)」という新たな指標を導入しました。その結果、意思決定のための情報や助言を求める「Asking」が49%、メール作成やコーディングといった具体的な成果物を要求する「Doing」が40%、特定の目的を持たない対話である「Expressing」が11%でした。仕事での利用に限定すると、「Doing」の割合が約56%と高くなります。興味深いことに、ユーザーの満足度を測る指標では、「Asking」に関連する対話の方が「Doing」よりも高く評価される傾向が見られました。

さらに、高学歴で専門職に就いているユーザーほど仕事目的での利用が多く、仕事においてはタスクを直接実行させる「Doing」よりも、助言を求める「Asking」を多用する傾向があることも分かりました。アメリカ労働省の職業情報ネットワーク(O*NET)を用いて仕事内容を分析したところ、職種を問わず利用は「情報の取得・文書化・解釈」と「意思決定・問題解決・創造的思考」という2つの機能に集中していました。

これらの結果から、ChatGPTは単に作業を自動化するツールとしてだけでなく、特に知識集約型の職業において人間の意思決定を支援し生産性を向上させる「助言者」として経済的価値を生み出していると研究チームは結論付けました。また、仕事以外の利用が急速に拡大している事実は、生産性向上という側面だけでは測れない、社会厚生への大きな貢献を示唆していると論じました。

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in ソフトウェア,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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