SNSで敵対的な投稿を繰り返す人には犯罪歴や子ども時代の生い立ちに特徴がある

X(旧Twitter)などのSNSを見ていると、やたらと敵対的な発言を繰り返しているユーザーが目に留まることがあります。デンマークの研究では、Xで敵対的な発言を繰り返す人にどのような特徴があるのかを調べるため、Xへの投稿内容と政府が収集した公式記録が分析されました。
The offline roots of online hostility: Adult and childhood administrative records correlate with individual-level hostility on Twitter | PNAS
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2412277121

Hostile tweets linked to upbringing and legal troubles, study finds
https://www.psypost.org/hostile-tweets-linked-to-upbringing-and-legal-troubles-study-finds/
ソーシャルメディアが発達し始めた初期の段階では、人々が相互に親しみを持ち、つながりやすい世界が作られるのではないかと期待されていました。しかし近年では、ソーシャルメディア上では口論や争い、脅迫、侮辱が絶えず、人々のつながりを阻害していることが浮き彫りになっています。
これまでの研究では、プラットフォーム上での匿名性やエンゲージメントを重視する運営企業の方針など、ソーシャルメディアでの対立をあおるプラットフォーム側の要因が特定されてきました。しかし、敵対的な投稿の多くは少数のユーザーによって行われており、多くのユーザーは敵対的な投稿をほとんどしていないことから、ソーシャルメディアでの攻撃性にはユーザー側の特性も関連していることが示唆されています。

そこでデンマークやハンガリーの研究チームは、広範な現実世界の記録とソーシャルメディア上での行動を結びつけて分析し、攻撃的なユーザーに見られる要因を調査しました。まず研究チームは、デンマークに住む成人を無作為に抽出し、デンマークの国家登録簿から、犯罪歴から子ども時代の生育環境に至るまでさまざまなデータを収集しました。次に、成人の名前を利用して一致するXアカウントを検索し、調査期間中に少なくとも1つ以上の投稿をしたアカウントを特定しました。
合計で4931人のユーザーから130万件以上のデンマーク語の投稿が収集され、コンピューターベースのアプローチで投稿に含まれる怒りやヘイトを測定し、ユーザーがX上で示した敵意が評価されました。また、同様のアプローチで、ユーザーが政治的な問題について投稿する頻度についても測定したとのこと。
次に研究チームは、被験者がオンライン上で示した敵意のレベルと、国家登録簿から引き出された犯罪歴や学業成績、親の離婚歴、親の社会経済的地位、里親や児童養護施設で過ごした期間、そして年齢や性別などの要因を分析しました。
分析の結果、犯罪歴の多い人や児童養護施設で過ごした期間が長い人は、よりX上で敵対的になる傾向が明らかになりました。また、幼少期の学業成績が特に優れており、親の社会経済的地位が高い人も、より敵対的な投稿を行っていることも判明しました。他には、男性に女性と比較して敵意が強い傾向があったほか、若年層が敵対的なコンテンツを好む傾向がわずかに見られました。
より家庭の社会経済的地位が高くて学業に優れた人は、オンラインプラットフォーム上での敵意が低いと思われるかもしれません。しかし今回の分析では、より優れたリソースとスキルを持つ人はX上で政治について話す可能性が高く、政治的な議論がより対立的で敵対的な投稿に関連していることも示唆されました。

今回の研究は、オンラインプラットフォーム上での行動を、数十年にわたる個人レベルの特性と直接的に関連付けた点で重要です。中でも興味深い発見の1つが、「政治的な議論に没頭しがちな人は、論争の多いトピックが強い言葉遣いを引き出すため、結果的に敵対的な投稿をしやすい傾向がある」というものです。これにより、子ども時代の優秀な学業成績や家庭の社会経済的地位の高さなど、社会的な優位性に関する特性が敵対的なオンライン行動と関連していることがわかりました。
なお、今回の研究はデンマークのXユーザーに焦点を当てたものであり、文化や社会構造が異なる国ではまた違った傾向が現れる可能性があります。また、投稿の分析はコンピューターアルゴリズムによって行われたため、より微妙な形の皮肉や嫌み、遠回しな攻撃といった投稿が見逃されている可能性もあるとのことです。
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