サイエンス

ネット上の荒らしは「現実世界でも攻撃的」との研究結果、ネットの方が誹謗中傷が多く見えるのは「現実より暴言が可視化されやすい」から


SNSやインターネット上の掲示板では、相手に暴言を投げかけたり政治的な議論中に攻撃的な態度を見せたりする人が散見されるので、メディアなどではよく「顔の見えないインターネットの匿名性が人を攻撃的にする」と説明されています。しかし、この言説は誤りで、実際にはネット上で攻撃的な人は実生活でも攻撃的だということが、デンマークの研究者らによって明かされました。

PsyArXiv Preprints | The Psychology of Online Political Hostility: A Comprehensive, Cross-National Test of the Mismatch Hypothesis
https://psyarxiv.com/hwb83/

Internet shown to amplify and expose real-life trolls, but not create them | E&T Magazine
https://eandt.theiet.org/content/articles/2021/08/internet-exposes-real-life-trolls-rather-than-makes-them-study-suggests/

Study Finds That Most Online Trolls Are Also Jerks In The Real World | HotHardware
https://hothardware.com/news/research-shows-online-trolls-the-same-in-real-life

デンマーク・オーフス大学政治学部のAlexander Bor氏によると、「なぜオンラインの議論はオフラインよりもけんか腰になりがちなのか?」という疑問は「ミスマッチ仮説」と呼ばれているとのこと。そこでBor氏らの研究チームは、アメリカ人とデンマーク人合計8434人を対象とした調査を実施し、ミスマッチ仮説が実際に存在するのかどうかを確かめました。


研究チームはまず、「オンラインとオフラインの政治的議論でどのくらい敵意のある言動をしたことがありますか?」という質問をする調査を、3回に分けて実施しました。その結果、オンラインとオフラインでの敵意ある言動の間には、驚くほどの相関関係があることが分かったとのこと。これは、オンラインで人に暴言を投げかける人はオフラインでも同様だということを意味しており、「インターネットが人を攻撃的にする」という仮説は誤りである可能性が高いことを示しています。

このことから、Bor氏は「Twitterで憎まれ口をたたく人は、面と向かって話をしても人を怒らせてしまうでしょう」と述べました。また、研究チームは政治的な二極化が進むアメリカと、社会的な紛争が少ないデンマークという対極的な2カ国でも結果に違いがなかったことから、「この結果は他の西洋的な民主主義国家にも同様に当てはまるはずです」と主張しています。


ネット上で荒らしを行っている人と、実生活で攻撃的な言動をする人が同じだった一方で、多くの人は「ネット上の荒らしの方がひどい」と考えていました。以下は、アメリカ(左)とデンマーク(右)における「政治的議論に対する印象のネガティブさ」をグラフ化したものです。オンラインでの議論を表す濃いグレーのグラフの方が、オフラインでの議論を表す薄いグレーのグラフより右によっていることから、いずれの国でも「オンラインでの議論の方がネガティブな印象を抱かれている」ということが示されています。


研究チームはさらに、暴言の対象となっている人物について、インターネットの場合と実生活の場合でそれぞれ「自分」「友人」「他人」の3者に分けて回答してもらう調査を行いました。その結果、アメリカとデンマークで「他人に対する暴言が最もよく見られる」「オフラインよりオンラインの方が暴言が顕著に見られる」という点が共通していることがわかりました。


こうした調査結果について、論文の共著者であるオーフス大学のMichael Bang Petersen教授は、「私たちの研究により、『オンラインでの政治的議論は攻撃的だ』と多くの人が感じているのは、オンラインでの攻撃的な言動の可視性が理由だということが分かりました。つまり、オンラインでの議論は大規模な公共ネットワークの中で行われるため、インターネット上の荒らし行為は現実世界で同じ人がやっている同様の言動よりはるかに目につきやすいということです」と結論づけました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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