アメリカ著作権局が「創造的なプロセスの支援にAIを用いた場合は著作権で保護される」と宣言
生成AIの技術が急速に発展する中で、アメリカ著作権局は2023年2月に「AIが作った芸術作品に著作権はない」「AIで作成したコミックの絵は著作権で保護されない」と宣言したほか、翌月にはAIが生成した絵や文章に著作権は認められるのかについてガイダンスを発表し、「AIで生成したものに著作権保護の基準を満たすような修正を加えている」ことが著作権の発生する条件として挙げました。2025年1月29日にアメリカ著作権局は約2年ぶりにAIに関する著作権に言及し、「単にプロンプトを入力して出力したものに著作性は認められないが、創作過程を支援するAIツールの使用は、作品の著作権を損なうものではない」と宣言しました。
Copyright and Artificial Intelligence, Part 2 Copyrightability Report - Copyright-and-Artificial-Intelligence-Part-2-Copyrightability-Report.pdf
https://copyright.gov/ai/Copyright-and-Artificial-Intelligence-Part-2-Copyrightability-Report.pdf
Copyright Office Offers Assurance on AI Filmmaking Tools
https://variety.com/2025/biz/news/copyright-ai-tools-filmmaking-studios-office-1236288969/
アメリカ著作権局が2023年3月に発表した「AIによって生成された素材を含む著作物に関するガイダンス」では、「プロンプトのみによって生成されて修正が加えられていないAI作品」に関して、「現在利用可能なジェネレーティブAI技術に関する当局の理解に基づくと、AIがプロンプトを解釈して作品を生成する方法では、ユーザーは究極的に創造的な制御を行使しません。そのため、AIの創作物は人間の著作物ではないので、著作権登録はされません」と論じました。一方で、グラフィックノベルのように生成AIの作品を人間が特定の順番で配置した場合、その配置が「十分に創造的」であれば、一連の画像に著作権が認められる可能性があるとアメリカ著作権局は述べています。
AIが生成した絵や文章に著作権は認められるのか?アメリカ著作権局がガイダンスを発表 - GIGAZINE
2025年1月にアメリカ著作権局が発表した「著作権とAIパート2:著作物性」では、2023年3月のガイダンスと方針は一致しつつ、創作プロセスを補完するために使用される場合のAIの正当性をより正確に言及しています。資料によると、アメリカ著作権局が数年で受け取った1万件以上の意見通知のうち、約半数が著作物の要件に合うかどうかを問う「著作物性」に関するものであったそうです。そのため、アメリカ著作権局は「著作物性がケース・バイ・ケースで判断されることを認識しつつも、著作物性の判断に適用される法的原則を示す」として、AI技術がもたらす著作権上の問題を明らかにした上で、AIの著作物性について論じるレポートを示しました。
レポートでは、アメリカ著作権局は2023年3月に示した「AIで生成したものには著作権は認められない」「AIで生成したものを創造的に選択し配置した場合は著作権保護の対象となる」という指針を維持しつつ、新たに「作品に、AIによって生成した素材が含まれている場合でも、人間の著者によって作成された作品として著作権を保護する」と明示しました。
アメリカ著作権局はレポートの中で、AI技術の使用は「クリエイターと観客に発展の機会をもたらす」と述べたMPAのコメントに言及し、「人間の表現を高める補助的使用は著作権保護を制限しないことに同意する」と述べています。そのほか、AIをブレーンストーミングのツールや文学作品のアウトライン作成として使うなど、補助的な利用は作品の著作物性を妨げないと指摘しました。
一方で、テキストプロンプトを入力して画像を生成するようなシステムについては、仮に「プロンプトを微調整して目的の画像を反復的に生成する」ことができるとしても、著作物性を主張するのに十分な「制御力」を持っていないとしています。レポートでは「プロンプトを複数回修正して送信することで、システムの出力を選択できる。しかし、ここでユーザーがしているのは『サイコロを振り直す』行為であり、仮に生成する内容を制御できたとしても、プロセスに対する制御の程度は変わらない」と述べています。
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