アート

「AIで作成したコミックの絵は著作権で保護されない」とアメリカ著作権局が宣言、作者は「素晴らしいニュース」と歓迎


アメリカ著作権局が2023年2月21日に、「画像生成AIを使用して制作されたグラフィックノベルの画像は、著作権による保護を受けない」と宣言しました。当該グラフィックノベルの作者は、引き続きアートワークの著作権を追求する予定としつつも、作品のストーリーや画像の配置などに関する創作性が認められた今回の決定を歓迎すると述べています。

US Copyright Office withdraws copyright for AI-generated comic artwork | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2023/02/us-copyright-office-withdraws-copyright-for-ai-generated-comic-artwork/

AI-created images lose U.S. copyrights in test for new technology | Reuters
https://www.reuters.com/legal/ai-created-images-lose-us-copyrights-test-new-technology-2023-02-22/

今回の決定で焦点になったのは、ニューヨークを拠点とするアーティストのクリス・カシュタノバ氏がAI画像生成サービスのMidjourneyを使用して作成した「Zarya of the Dawn」という作品の著作権です。カシュタノバ氏は2022年9月に、同作の著作権登録申請が審査を通過し、著作権を取得することができたと発表していました。

しかし、著作権局は12月に入り、「イラストがAIによって生成されていたものであることを見過ごしていた」として、著作権を取り消す手続きを開始しました。

画像生成AIで作られたマンガの著作権取り消し手続きをアメリカ著作権局が進めている、作者は弁護士と共に争う姿勢 - GIGAZINE


そして、著作権局は2023年2月21日に公開した(PDFファイル)書簡の中で、「当局はMidjourneyによって生成された画像について、著作権によって保護される独創的な著作物ではないと結論付けました。カシュタノバ氏は、各画像の構成と内容の『指導』をしたと主張していますが、同氏が書簡で説明している制作プロセスを踏まえると、画像の『伝統的な著作者の要素』を創作したのは明らかにカシュタノバ氏ではなくMidjourneyです」と述べて、「Zarya of the Dawn」のうちMidjourneyが生成した画像は著作権で保護されないとの見解を示しました。

カシュタノバ氏は、9月に「Zarya of the Dawn」の著作権を取得した後、11月に改めて作品の内容や制作方法について説明した書簡を著作権局に送付したとのこと。著作権局は、カシュタノバ氏の書簡を「高く評価します」とした上で、その内容をあらかじめ知っていたのであれば、AIが生成した部分を除外するために、申請された著作権の範囲を縮小しただろうと述べています。


AIが生成した画像の著作権については否認する一方で、著作権局は「当局は、カシュタノバ氏が本作品のテキスト、ならびに本作品の記述および視覚的要素の選択、調整、配置の著作者であると結論付けました。従ってこの著作物は、著作権によって保護されています」として、画像以外の部分については著作権があると認めました。そのため、「Zarya of the Dawn」は著作権の範囲を変更した上で改めて著作権の登録を受けるとのことです。

この発表を受けてカシュタノバ氏は、Instagramへの投稿で「今日、『Zarya of the Dawn』についての著作権局の決定が出ました。素晴らしいニュースは、彼らが私の著作権を肯定してくれたことです。つまり、『Zarya of the Dawn』は引き続き正式に登録されます。これは、純粋にAIが制作したものでない限りストーリーにも著作権が発生するということですので、大半のAIアートコミュニティの皆さんの使い方をカバーしていると言えます」と述べて、歓迎する姿勢を示しました。

一方、個別の画像の著作権は認められなかった点については「技術についての理解不足のために誤った判断がなされたのでしょう」と述べて、弁護士を通じてさらなる説明をすることを検討していると述べました。

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in ソフトウェア,   デザイン,   アート, Posted by log1l_ks

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