画像生成AIで作られたマンガの著作権取り消し手続きをアメリカ著作権局が進めている、作者は弁護士と共に争う姿勢
画像生成AIが大きな進歩を遂げる中で注目されているのが、「AIを使用して作られた作品に著作権が認められるのか」という点です。2022年9月には、画像生成AI「Midjourney」を使って作成したマンガがアメリカの著作権登録を取得したとして話題になりましたが、アメリカ合衆国著作権局がこの作品の著作権を取り消す手続きを進めていることが明らかになりました。
AI-Created Comic Has Been Deemed Ineligible for Copyright Protection
https://www.cbr.com/ai-comic-deemed-ineligible-copyright-protection/
さまざまな創作に利用できるAI技術が発展したことを受け、AIを使用して芸術作品を生み出す「AIアーティスト」という存在も登場している一方で、依然としてAIで作成した芸術作品には著作権が認められないことが一般的です。アメリカ合衆国著作権局は2022年2月、AIが作成した絵画の著作権登録申請を却下した際のコメントで、「AIが生成した画像には著作権によって保護されるのに必要な基準である『人間の著作権』の要素が含まれていない」と説明しています。
「AIが作った芸術作品に著作権はない」とアメリカ著作権局がAIの著作権を拒否 - GIGAZINE
ところが2022年9月、ニューヨークで活動するAIアーティストのクリス・カシュタノバ氏が画像生成AIのMidjourneyを使って作成したマンガ「Zarya of the Dawn」が、アメリカの著作権登録を公式に取得して話題を呼びました。カシュタノバ氏は、「Zarya of the Dawn」の制作においてマンガのストーリーやレイアウトの構築を行い、イラストの部分はAIが生成した画像をつなぎ合わせたとのこと。著作権登録申請では、AIによる画像生成はあくまでアートワークの支援であり、マンガのすべてがAIによって作成されたわけではないと説明したと述べています。
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ところが、アメリカ合衆国著作権局は以前の決定を覆し、「Zarya of the Dawn」の著作権登録を取り消す手続きを開始したことが明らかとなりました。カシュタノバ氏によると、著作権局は「Zarya of the Dawn」の著作権取り消しの理由について、「Midjourneyがマンガのイラストを生成したことを見逃していたため」と説明したそうです。
なお、「Zarya Of the Dawn」の表紙左上には「MIDJOURNEY」の表記がありますが、エンタメ系メディアのCBRは著作権登録申請の説明でMidjourneyの役割が指定されておらず、著作権局に誤解を与えた可能性があると示唆しています。
著作権局はカシュタノバ氏が異議申し立てを行うために30日間の猶予を与えており、弁護士のヴァン・リンドバーグ氏はすでに、著作権を認めるように訴える文書を提出したと報告しています。
I am excited: We are working with @icreatelife to respond to the Copyright Office about "Zarya of the Dawn." We argue that artists using AI tools should be recognized as authors and allowed to copyright their work.
— VanL (@VanL) December 1, 2022
The response: https://t.co/ffj9bZL0Z0
カシュタノバ氏はSNSで、「Zarya Of the Dawn」の著作権取り消しは正式に決定されたわけではなく、依然として著作権は有効であると説明しています。
My Copyright is still in force and there was no news from the Copyright Office yet. I will update you if it changes. Lots of fake news since yesterday that it was revoked. It’s not true. If it happens, I’ll let you know here and other social media.
— Kris Kashtanova (@icreatelife) December 22, 2022
また、メディアが「カシュタノバ氏の著作権が取り消された」というフェイクニュースを発表し、AIが仕事に影響を及ぼす人々やAIそのものに反対する人々がフェイクニュースを拡散していると、カシュタノバ氏は主張しました。
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