北朝鮮は核兵器を保有して何をしようとしているのか？

北朝鮮は世界の中でも貧しい国に数えられる一方、世界に9つある核兵器保有国の1つでもあります。どのようにして核兵器保有国の1つになったのか、そして核兵器で何をしようとしているのか、ニュースサイト・BloombergがYouTubeチャンネルで解説しています。

How North Korea is Preparing for War - YouTube

北朝鮮はアメリカ、ロシア、フランス、イギリス、中国、インド、パキスタン、イスラエルと並ぶ核兵器保有国の1つです。

北朝鮮が核兵器を製造する力を手に入れるきっかけは、建国の父・金日成の時代に遡ります。

北朝鮮は「エネルギーを目的とした平和的利用」として、ソビエト連邦から核技術の提供を受けました。

しかし、実際には当初から核兵器の製造を目指しており、ソ連崩壊後、国を受け継いだ金正日は、経済が縮小する中で食料援助プログラムを受けながら資金を核兵器開発に投入。1998年に初の多段式弾道ミサイルの実験実施を決断しました。2005年には公式に核兵器保有を公表しています。

金正恩政権は、さらに核兵器への戦略的な投資を行いました。

こんにち、北朝鮮はアメリカ本土やオーストラリア、ヨーロッパの一部すらも攻撃対象とする核兵器を保有しています。専門家は、北朝鮮が実戦投入可能な核弾頭の数をおよそ50と想定しています。

また、2017年7月には初の大陸間弾道ミサイルの発射テストも行っており、以後はミサイルシステムの更なる改善を行っているとみられます。

一例として、液体燃料から固体燃料への切り替えが挙げられます。固体燃料方式であれば、ミサイル製造時に燃料を組み込んでおくことができるため、有事の際、北朝鮮は迅速にミサイル発射を行えます。

より多くの兵器に搭載できるよう、弾頭の小型化も進められています。

また近年はロシアとの関係が深まっています。ウクライナ戦争開始後、ロシアと北朝鮮の関係は「戦略的パートナーシップ」に到達しています。北朝鮮は数々の厳しい制裁を受けていますが、協力関係により、ロシアの重要な技術へのアクセスが許されるようになっています。

北朝鮮では「先軍政治」と呼ばれる、軍事最優先の方針が採られています。その軍事予算は大国に比べると少ないものの、年間70億ドル(約1兆930億円)から110億ドル(約1兆7200億円)とみられています。

国の経済規模が250億ドル(約3兆9000億円)といわれているので、軍事予算に少なくとも4分の1以上割かれていることになります。

世界で最も貧しい国に数えられる国がどこからそのような軍事予算を捻出できているかというと、サイバー犯罪による稼ぎを投じているとみられています。

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このほかに麻薬取引や武器販売、偽造通貨販売でも数十億ドル(数千億円)を稼いでいると指摘されています。

では金正恩は核兵器でいったい何を達成しようとしているのか。専門家は「権力を次の世代に継承し、北朝鮮の体制の維持を確実にすること」と指摘しています。つまり、戦争は目標への推進につながらないため、戦争そのものの準備をしているわけではありませんが、いざという時は通常兵器、そして核兵器を使えるよう準備をしているのです。