BlizzardがSteamの数年前にSteamのようなゲームストアを作れていたかもしれないという指摘
「PCゲームといえばSteam」といわれるほど、SteamはPCゲーム販売プラットフォームとして非常に強い力を持っています。このようなプラットフォームをゲーム会社のBlizzard Entertainmentが作れていたかもしれないとして、長年ゲーム業界の記者を務めているジェイソン・シュライアー氏が本にまとめています。
Oof: Years before Steam, a Blizzard engineer wanted to turn Battle.net into a third-party game store, but was reportedly turned down | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/gaming-industry/oof-years-before-steam-a-blizzard-engineer-wanted-to-turn-battle-net-into-a-third-party-game-store-but-was-reportedly-turned-down/
Blizzard could have turned Battle.net into a third-party games store years before Steam, but... | TechSpot
https://www.techspot.com/news/105063-blizzard-could-have-turned-battlenet-online-games-store.html
Blizzard EntertainmentはBattle.netというゲームプラットフォームを構築していて、ここで「ディアブロ」シリーズや「オーバーウォッチ」といった自社開発のゲームを配信・サポートしています。調査によれば、Battle.netには2023年第2四半期時点で月間2600万人のアクティブユーザーがアクセスしていたとされています。時期はズレますが、Steamは2021年時点で月間1億3200万人がアクセスしています。
シュライアー氏によると、Steamが2003年9月12日に本格稼働する数年前、Blizzard Entertainmentのプログラマーであるパトリック・ワイアット氏らが「Battle.netをさまざまなPCゲームを扱うデジタルストアに変えるアイデア」を上司に提案したとのこと。
この頃はすでにBattle.netで初代「ディアブロ」等が配信されていたため、「ゲームを配信するサービス」のアイデア自体は存在していたと言えます。Battle.netのアイデアを最初に提案し、実際に構築したエンジニアのマイク・オブライエン氏はワイアット氏らの意見を気に入ったそうですが、残念ながらこの意見は当時のBlizzard Entertainmentの首脳部によって却下されてしまったといいます。
その後2003年、Valveは「Counter-Strike」のアップデートを配信する方法としてSteamを立ち上げました。Valveは「Half-Life 2」のプレイヤーにこのプラットフォームの利用を要求して物議を醸すなど紆余曲折を経ましたが、その後は圧倒的に人気のあるPCゲームストアに成長することに成功しています。
Blizzard Entertainmentは長年Steamでゲームを配信することはありませんでしたが、2023年に「ゲーム コミュニティ間の障壁を打ち破りたい」という願望から「オーバーウォッチ 2」をSteamにも配信し、これを皮切りに同社のタイトルをSteamにも配信していく姿勢を見せました。
Blizzardがオーバーウォッチ2などの独自タイトルをSteamでも配信すると発表 - GIGAZINE
シュライアー氏は著書の「Play Nice: The Rise, Fall, and Future Of Blizzard Entertainment」にBlizzard Entertainmentの歴史をまとめ、ストアのアイデアが却下されたことの失望や「Warcraft III」の方向性の違いからオブライエン氏やワイアット氏が退社したことなど、Blizzard Entertainmentの興隆と没落を描いたとのことです。
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