Googleが「サイトの評判の不正使用ポリシー」の施行を開始し一部のサイトをリストから除外、CNNなど大手メディアのランキングが低下
Googleの検索結果インデックスで上位に表示されることはアクセス数に大きい影響を与えるため、SEO(検索エンジン最適化)という戦略を立てる企業が多くあります。中には、とある製品についてSEOを重視した大手サイトの低品質な記事がより有用なレビュー記事よりも上位にくることも多く、「悪いコンテンツが良いコンテンツを駆逐する例」と指摘する声もあります。Googleは2024年5月6日に「サイト評判不正利用ポリシー」を発表し、翌日の7日には施行を開始して個別に対応していく旨を明らかにしました。
Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー | Google 検索セントラル | ドキュメント | Google for Developers
https://developers.google.com/search/docs/essentials/spam-policies?hl=ja#site-reputation
Google begins enforcement of site reputation abuse policy with portions of sites being delisted
https://searchengineland.com/google-begins-enforcement-of-site-reputation-abuse-policy-with-portions-of-sites-being-delisted-440294
As a reminder, the last part of the March 2024 announcements, the new Google Search spam policies about reputation abuse, take effect after May 5, 2024. Find out more about these changes in the blog post https://t.co/FB8boxCFof and in our policies at https://t.co/2VxQuTF5pu . https://t.co/SHCWtk5tWv
— Google Search Central (@googlesearchc) 2024年4月30日
Googleは2024年3月に、検索ランキングシステムのアルゴリズムを強化すると共に、スパムに関するポリシーを更新して「人間ではなくGoogle検索のために作られた低品質なページ」が上位に表示されないようにすると発表しました。Googleは、「これらのアップデートにより、検索結果に表示される低品質コンテンツの量が減り、有用で質の高いサイトへのトラフィックが増えると考えています。私たちの評価に基づくと、今回のアップデートとこれまでの取り組みを合わせることにより、検索結果に表示される低品質でオリジナリティのないコンテンツは合計で40%減少すると見込まれています」と述べました。
Googleが「人間のためではなくGoogle検索で上位に並ぶために作られた低品質なページ」の検索ランキングを下げる変更を発表 - GIGAZINE
この時Googleは近年人気が高まっている「大規模に生成されたコンテンツの不正使用」「サイトの評判の不正使用」「期限切れドメインの不正使用」という3つのやり口に対抗するためのポリシーを発表しました。そのうち「サイトの評判の不正使用」とは、すでに優れた評価を持っているウェブサイトが、利益を得るためにサードパーティが作成した低品質なコンテンツをホストするなど、従来の評判を悪用して混乱または誤解を生む危険性に対応するもの。新しいポリシーでは、主に検索ランキング上位に載ることを目的として、ウェブサイト所有者の厳密な監視を受けることなく作成された価値の低いコンテンツは、スパムと見なされることが決定しました。
このポリシーについては、ウェブサイト所有者の対応期間が必要なため、発表から2カ月後の2024年5月5日(現地時間)から施行されると発表されていました。日本時間の5月6日に、作家のケイティ・ベリー氏が「サイト評判不正使用ポリシーはいつの間に始まったの?」と投稿したところ、Googleの検索関連の担当者であるダニー・サリバン氏が「このポリシーは5月5日に公開され、実際に施行が始まるのは6日です」と返信する形で述べました。
It'll be starting later today. While the policy began yesterday, the enforcement is really kicking off today.
— Google SearchLiaison (@searchliaison) May 6, 2024
サリバン氏はデジタルマーケティングのトピックを扱うメディアのSearch Engine Landに対し、「サイトの評判の不正使用ポリシーの適用は、現時点ではアルゴリズムによるアクションではなく、手動での対応のみです。アルゴリズムのコンポーネントはありますが、まだ実現はしていません」と詳細を説明しています。サイトの評判を不正利用していると感じたユーザーは、スパムレポートを経由して報告することができ、通報を検証する形で個別に対処されます。
実際にサイトの評判の不正使用ポリシーが適用された例はいくつか確認されており、CNN、USA Today、ロサンゼルス・タイムズなど大手メディアも含まれています。オンラインマーケティング会社のCEOを務めるラウラ・キオッチョラ氏はアメリカのクーポンに関する検索結果を5月4日時点と5月7日のもので比較して、「多くのニュースサイトがトップ10から外れています」と指摘しました。
US coupon SERPs are starting to change: many news websites are out of the top 10 (screenshot: 4th of May vs now)@rustybrick @lilyraynyc @glenngabe #sitereputationabuse pic.twitter.com/dLKnpfg8Fg
— Laura Chiocciora (@LauraChiocciora) 2024年5月6日
Googleはサイトの評判の不正使用ポリシーで、不正利用の例として以下を挙げています。
・サードパーティによって書かれた短期ローンのレビューに関するページが教育関連のサイトによってホストされている。検索ランキングの操作を主な目的として、同じページがウェブ上の他のサイトにも配信されている。
・「最高のカジノ」に関するサードパーティページが医療サイトでホストされている。このページは検索ランキングの操作を主な目的として作成されており、ホストしている医療サイトはほとんどまたはまったく関与していない。
・映画レビューサイトに表示されるとユーザーが困惑するようなトピック(「ソーシャルメディアサイトでフォロワーを購入する方法」、「優れた占いサイト」、「優れた小論文作成サービス」など)を扱うサードパーティページが、検索ランキングの操作を目的として映画レビューサイトでホストされている。
・サードパーティが書いた「ワークアウトサプリメントのレビュー」ページがスポーツ関連のサイトでホストされている。スポーツ関連サイトの編集者はそのコンテンツにほとんどまたはまったく関与しておらず、検索ランキングの操作がページをホストする主な目的である。
・サードパーティが提供するクーポンがニュースサイトでホストされている。ホストサイトによる監督、関与はほとんどまたはまったくなく、検索ランキングの操作を主な目的としている。
また、サイトの評判の不正使用とは見なされない例として、Googleは以下のように挙げています。
・ニュースサービスまたはプレスリリースサービス用のサイト
・他のニュースメディアからのニュースコンテンツをシンジケーションしているニュースメディア
・フォーラムウェブサイトやコメントセクションなど、ユーザー作成コンテンツの掲載や閲覧が可能なように設計されたサイト
・コラム、意見記事、記事、その他の編集記事など、ホストサイトが十分に関与し確認しているもの
・サードパーティのコンテンツ(「記事広告」や「ネイティブ広告」などのページ)で、ホストサイトの十分な関与のもと作成され、コンテンツを直接読者に共有することを目的としており(出版物内のプロモーションとしてなど)、コンテンツをホストしている目的が検索ランキングを操作するためではないもの
・ページ全体でのサードパーティの広告ユニットの埋め込み、またはページ全体での適切に処理されたリンクでのアフィリエイトリンクの使用
・ホストサイトの十分な関与のもと掲載されているクーポン
ポリシーに挙げられているのはいずれも一例であり、それぞれ列挙された内容に状況を限定するものではありません。
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