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世界のトップAI研究者の約50%が中国出身であることが判明


チャットボットや生成AIの開発では、アメリカを中心とする欧米諸国が世界をリードしているという印象があります。ところが、アメリカ・シカゴのポールソン研究所にあるシンクタンクのMacroPoloが行った調査では、AI研究で世界の上位20%に入るようなトップ研究者のほぼ半数が、中国出身であることが報告されました。

The Global AI Talent Tracker 2.0 - MacroPolo
https://macropolo.org/digital-projects/the-global-ai-talent-tracker/


In One Key A.I. Metric, China Pulls Ahead of the U.S.: Talent - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/03/22/technology/china-ai-talent.html

近年は大規模言語モデルや機械学習のブレイクスルー、コンピューティング能力の飛躍的な向上といった要因もあり、世界中の企業や機関は激しいAI人材の獲得競争を繰り広げています。MacroPoloは、AIエコシステムの発展に必要不可欠な要素である「人材」の世界的なバランスを定量化するため、AI・機械学習分野の国際会議であるNeural Information Processing Systems(NeurIPS)が受理した論文をサンプルとした調査を行いました。

NeurIPSは論文採択率の低い難関の国際会議として知られており、2019年に受理された論文は1428件でアクセプト率は21.6%、2022年に受理された論文は2671件でアクセプト率は25.6%でした。そのため、NeurIPSが受理した論文の著者は、AI研究における上位20%のトップ研究者であることを示す優れた指標であるとのこと。

以下のグラフは「トップ20%のAI研究者が学部を卒業した大学の国」を示したもので、左が2019年、右が2022年を表しています。2019年には中国が29%・アメリカが20%・ヨーロッパが17%・インドが8%でしたが、2022年には中国が47%・アメリカが18%・ヨーロッパが12%・インドが5%と、中国出身のトップAI研究者の割合が約半数を占めていることがわかります。


また、「トップ20%のAI研究者が働いている国」を示したグラフが以下。2019年はアメリカが59%・中国が11%・ヨーロッパが10%・カナダが6%でしたが、2022年はアメリカが42%・中国が28%・ヨーロッパが12%・カナダが2%となっています。


これらのグラフは、中国でAI人材の国内プールが急速に拡大すると共に、自国のAI産業の需要も増大していることを示しています。日刊紙のニューヨーク・タイムズは、「中国がこれほど多くのAI人材を育成できたのは、AI教育に多額の投資をしたことも一因です」と指摘しています。

MacroPoloのマネージングディレクターであるダミアン・マー氏によると、2018年以降に中国は2000以上の学部でAIプログラムを追加し、そのうち300以上が最上級の大学にあるとのこと。しかし、その多くは産業や製造業におけるAI応用を追求するものであり、アメリカのAI業界を支配している生成AIのブレイクスルーにはあまり焦点を当てていないそうです。

こうして誕生した中国出身のAI研究者は、アメリカの企業にとって重要な人材です。以下のグラフは、アメリカの研究機関で働くトップAI研究者の出身国を示したもの。2019年はアメリカが31%・中国が27%・ヨーロッパが11%・インドが11%・カナダが3%でしたが、2022年はアメリカが37%・中国が38%となっており、2国だけで75%を占めています。


カリフォルニア大学バークレー校の教授で、AIとロボット工学のスタートアップ企業であるCovariantの創設者であるピーター・アビール氏はアメリカの大手企業や大学では多くの中国人研究者と一緒に仕事をするのが当たり前だと述べています。

アメリカで活動する中国人AI研究者の増加は、「中国のスパイ活動を防ぎたい一方で、中国のAI研究者を受け入れなければAI分野の競争で後れを取ってしまう」というジレンマを提起しています。2024年3月には、元Google社員の中国人がAI関連の企業秘密を盗んで中国企業に渡した疑いで起訴されました。

Google勤務の中国人がAI関連の企業秘密を盗んで中国企業に流していた疑いで逮捕・起訴される - GIGAZINE


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in メモ,   ソフトウェア, Posted by log1h_ik

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