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Apple Vision Proの返品率は「ProじゃないiPhoneと同じくらい」で一部店舗のコンバージョン率は10~15%に達している


Apple初のヘッドセット型空間コンピューティングデバイス「Apple Vision Pro」は、2024年2月2日(金)にアメリカで発売されたばかりですが、頭痛や目の疲れといった問題から返品するユーザーが相次いでいます。しかし、一部の返品報告が目立ってはいるものの、Apple Vision Proの返品率はその他のApple製品と比較して高いわけではないと報じられました。

Apple Vision Pro return rate appears low
https://appleinsider.com/articles/24/02/16/so-far-the-early-return-rate-on-apple-vision-pro-is-pretty-low


Apple Vision Pro: Returning $3,500 Device Over Comfort, Lack of Apps and Price - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2024-02-18/apple-vision-pro-returning-3-500-device-over-comfort-lack-of-apps-and-price-lsrk88mq

Apple Vision Proはカメラで撮影した周囲のパススルー映像上にブラウザやアプリのウィンドウを配置し、PCやタブレットで行う作業を空間上で実行できます。実際にApple Vision Proでバーチャルな作業環境を整えるとどうなるのかは、以下の記事を読むとわかります。

Apple Vision Proでバーチャルな作業環境を構築するとどんな感じなのかわかるムービーが公開中、ただし「こんなにスムーズではない」というコメントも - GIGAZINE


その一方で、Apple Vision Proを購入したばかりにもかかわらず、14日の期限内に返品するユーザーが現れていることも報じられています。返品したユーザーの一部は「ヘッドセットの重量によるひどい頭痛」「目の疲れや痛み」を経験しているほか、本体価格が3499ドル(約52万円)と非常に高額であるため、「元が取れるほど頻繁には使わないだろう」と感じたユーザーも返品しているようです。

Apple Vision Proを返品するユーザーが急増、頭痛や目の疲れなどApple Vision Proに潜む問題が明らかに - GIGAZINE


しかし、テクノロジー系メディアのAppleInsiderは、確かにApple Vision Proを返品する人はいるものの、世間で言われているほど返品率が急増しているわけではないと指摘しています。小売チェーンの情報源に探りを入れたところ、少なくとも2月16日13時(アメリカ東部標準時)の時点で、Apple Vision Proの返品率は他のApple製品より高くはなかったとのことです。

あるApple製品小売店の上級従業員は2月16日、「Apple Vision Proの返品はここ数日で何度かありましたが、地域全体で見れば新製品で一般的に見られる範囲を超えていません。発売から2週間が経過した時点では、ProレベルじゃないiPhoneと同じくらいだと思います」とAppleInsiderに語っています。


そもそもAppleはほぼすべての製品で購入後14日以内の返品を受け付けており、Apple Vision Proが一定数返品されることも織り込み済みです。また、返品率を測定するには正確な販売数と返品数を調べる必要がありますが、オンラインで製品を購入したユーザーが実店舗で返品するケースも多いため、返品率の測定は困難だとのこと。

情報筋によると、Apple Vision Proを返品するユーザーには頭痛や目の痛みといった生物学的な理由で返品する人々と、購入から返品までの期間を「無料レンタル期間」としてApple Vision Proをレビューするメディア関係者に分けられるそうです。ある関係者はAppleInsiderに対し、最も多くApple Vision Proを返品しているのは後者の「クソなYouTuber」だと回答しました。


一方で海外メディアのBloombergは、非常に高額なApple Vision Proを発売直後の段階で購入したユーザーは熱心なApple信者の可能性が高いと指摘。それでもApple Vision Proの返品率が他のApple製品と同等かそれ以上になっているという事実は、Apple Vision Proには確かに問題があることを示しているとのこと。

Bloombergの記者であるマーク・ガーマン氏は、実際にApple Vision Proを返品した数十人に話を聞いて、一体なぜ返品したのかを尋ねました。その結果、「デバイスの重量や管理の面倒さ」「頭痛や不快感を誘発する」「アプリやビデオコンテンツが不足している」「外部モニターをMacで使うより生産性が高くならない」「ディスプレイがまぶしすぎる上に視野も狭く眼精疲労になる」「家族や友人から孤立していると感じる」といった点が返品の主な原因になっていることがわかりました。

とはいえ、Apple Vision Proのこれまでにない新しい体験は、初めて触ったユーザーへの訴求力を持っています。Apple Vision Proの試用ができる一部の店舗では、顧客がデモンストレーションした後のコンバージョン率が10~15%に達しているそうで、これはApple Vision Proほどの価格帯の製品としては異例だと述べています。

なお、ガーマン氏自身はApple Vision Proを非常に気に入っており、Bloombergの記事もApple Vision Proで書いたとのことです。

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in ハードウェア, Posted by log1h_ik

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