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数千台のApple Vision Proが転売屋によって予約購入されていたことが判明、その手口とは?


Apple初となる空間コンピューティングデバイス「Vision Pro」の予約が2024年1月19日からアメリカで始まっており、最低価格3499ドル(約51万7000円)という高価格でありながら、わずか数日ですでに16~18万台の販売が決まっていると推定されています。しかし、このうち数千台が転売目的で予約されたと報告されています。

Are Bots Behind the Apple Vision Pro Pre-Order Sell Out? - Kasada
https://www.kasada.io/are-bots-behind-the-apple-vision-pro-pre-orders/

Vision Pro scalpers used bots to place thousands of pre-orders
https://9to5mac.com/2024/01/24/vision-pro-scalpers-bots/

人気のスマートフォンやゲーム機など、事前に注目を集める製品は予想される需要が限られた供給を大きく上回るため、予約の競争率が大幅に上がります。こうした製品はオークションサイトやフリマアプリで定価よりもはるかに高い値段をつけても買う人がいるため、この利ざやを狙って転売する「転売屋」が後を絶ちません。


こうした転売屋の中には、あらかじめ自動で予約手続きを完了できるボットを使って一度に何台も購入する者もいるとのこと。ボット対策を行う企業・Kasadaは、AppleのVision Proが2024年でも最も大きな注目を集める製品だとして、転売用ボットのコミュニティを観察していたそうです。

Kasadaによると、転売屋の間では「予想される需要が限られた供給をはるかに上回る」「Vision Pro自体が高額なこともあり、大きな利ざやが見込める」「14日間の返品ポリシーのおかげで、在庫を抱えてしまうリスクが最小限に抑えられる」という点で、Vision Proは転売屋にとっても魅力的な製品と捉えられていたとのこと。


ただし、AppleはVision Proの予約にApple IDとは別に、Face IDを使った顔認識情報の登録を義務づけました。このFace IDの登録については「ボットを使って1人で複数台を購入しようとする転売対策ではないか」とKasadaは予想していました。

予約開始日である2024年1月19日当日、オンライン配送分の予約はほぼ即座に完売してしまいましたが、Kasadaが確認する限り、すでに数千台分は転売用ボットによって購入されていたことがわかりました。あるボットはたった1つで1592件のVision Proの予約注文に成功していたそうです。

Kasadaによると、Face IDは転売用ボットを阻止するためではなく、「ユーザーの顔に対するVision Proのフィット感」をチェックするためだったと判明。Face IDの登録については、ボットがチェックの実行をシミュレートし、それに応答してハードコードされたデータを送信するようにプログラムされていたとのこと。Face IDによる顔認識はVision Proのサイズを確認するためであり、個人の判定には使われていないため、転売屋本人が受け取るのであれば問題ないというわけです。


さらに、複数のApple IDを作成すれば購入できてしまったため、実質的に数量制限はなかったそうです。一部の転売屋は、Apple Storeの実店舗の在庫追跡を行い、複数のApple IDを使いながら複数の店舗を巡って予約を行うという力技も使っていたことが確認されています。大都市圏にはApple Storeが複数あり、より多くの在庫が確保されている可能性が高いからこそ、可能な手法だとKasadaは分析しています。

こうして転売屋が買い集めたVision Proは、すでにeBayやStockXなどのサイトで販売されているとのこと。StockXでは9000ドル(約133万円)の価格がつけられています。

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in ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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