サイエンス

皮膚が残る2億8000万年前の化石がねつ造された偽物だったことが判明


うろこ状の皮膚などの軟組織の痕跡を残し、恐竜出現前の初期の爬虫(はちゅう)類の姿を現代に伝える大変貴重な標本とされてきた古生物の化石が、「岩を掘ってから焼いた骨で作った塗料を塗ったねつ造品」だということが判明しました。保存状態はよくないものの、塗料の下の骨格の一部は本物の可能性があることから、科学者らは最新技術を使った化石の分析に望みをかけています。

Forged soft tissues revealed in the oldest fossil reptile from the early Permian of the Alps - Rossi - 2024 - Palaeontology - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pala.12690

Latest News and Views from University College Cork
https://www.ucc.ie/en/news/2024/mystery-solved-the-oldest-fossil-reptile-from-the-alps-is-an-historical-forgery.html

Ancient Fossil That Baffled Scientists For Decades Finally Reveals Its True Identity : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/ancient-fossil-that-baffled-scientists-for-decades-finally-reveals-its-true-identity

Only part of rare 280 million-year-old fossil is real — the rest is mostly paint | Live Science
https://www.livescience.com/animals/extinct-species/only-part-of-rare-280-million-year-old-fossil-is-real-the-rest-is-mostly-paint

今回ねつ造された標本だということが判明したのは、ペルム紀に生息していた「トリデンティノサウルス・アンティクウス(Tridentinosaurus antiquus)」という古生物の化石です。1931年にアルプス山脈で発見されたこの標本には、体の輪郭や手足の形がくっきりと残っています。


特殊な保存状態にあることから、トリデンティノサウルスの化石は書籍でたびたび紹介されてきましたが、現代の技術による詳細な分析は行われてこなかったため、この化石がどの系統に属する爬虫類のものなのかは判然としていませんでした。

この化石について、ユニバーシティ・カレッジ・コークの古生物学のヴァレンティナ・ロッシ氏は「軟組織の化石は珍しく、化石とした発見されれば体色などの外見や内部の生理学的・解剖学的構造など、重要な生物学的情報が明らかになります。そして、私たちの疑問の答えはすべて目の前にありました。ですから、私たちはこの化石標本を詳細に調査し、なんとしてもその秘密を明らかにしなければならなかったのです。私たちが知りたくなかったであろう事実も含めて」と話しています。

さっそくトリデンティノサウルスの化石の詳細な分析に着手したロッシ氏らの研究チームは、まず紫外線スキャンによる予備調査を行いました。その結果、トリデンティノサウルスの化石全体がコーティング材で処理されていたことがわかりました。


標本をワニスやラッカーでコーティングするのは、昔の化石調査では標準的な手法で、現代でも博物館の展示品として化石を保存する時などに行われることがあります。そこで、研究チームはコーティング層の下にまだ良好な状態で軟組織が残っていることを期待して、走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)マイクロX線回折(μ-XRD)ラマン分光法減衰全反射フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)などの技術を駆使して、化石から採取したサンプルを分析しました。

その結果、コーティングの下にあったのは動物の骨を焦がして作られた合成顔料で、歴史的な絵画などにもよく使われる塗料である「ボーンブラック」だということが判明しました。

ただし、この化石は完全な偽物というわけではなく、後肢の骨、特に大腿(だいたい)骨は、保存状態が悪いものの本物だと考えられています。また、さらなる分析により背中に相当すると思われる部分に皮骨板という、ワニなどにもあるような小さな骨状の鱗があることも判明しました。


こうした点から、この標本を作った人物は偽物の化石をでっち上げようとしたのではなく、後肢の骨を発見してから、残りの部分を強調するためにトカゲの形に掘ってから色を塗ったのではないかと、研究チームは推測しています。

今回の研究について、ロッシ氏は「話の流れが完全に変わってしまったので、少し悲しい気持ちになりましたが、私たちはまだこの爬虫類のような生き物から目を離せずにいます」と話しました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1l_ks

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