Apple Vision ProとMeta Quest 3を比較した貴重な本音レビューが明らかに、Apple Vision Proは買いなのか?
2024年2月2日(金)にアメリカで発売されるApple初のヘッドセット型空間コンピューティングデバイス「Apple Vision Pro」について、実際に先行で数日間使ったという人がオンライン掲示板サイト・Redditに、Apple Vision Proのおよそ7分の1の価格で入手できるスタンドアローン型MRヘッドセット「Meta Quest 3」と比較したレビューを投稿しています。
[Long post]Tried Vision Pro. Here's what I thought : OculusQuest
https://old.reddit.com/r/OculusQuest/comments/1aetqks/long_posttried_vision_pro_heres_what_i_thought/
Apple Vision Proはアルミニウムフレーム製で、しっかりした手触り。フロントパネルのガラス部分は光沢があり、指紋がつきやすかったとのこと。レンズはMeta Quest 3のものより小さくて四角く、視野もQuest 3より狭く感じたそうです。
Redditユーザーのiloveoovx氏は、Apple Vision Proを装着するとMeta Quest 3よりも視界が鮮明であることに驚いたそうで、「本当に素晴らしく、肌の細部まではっきり見える上にゆがみはない」とコメント。また、パススルー映像のダイナミックレンジはApple Vision Proの方が上回っているように感じたと述べています。
しかし、iloveoovx氏がApple Vision Proをつけたままで数メートル離れたところを歩いている人に目をやると、モーションブラーが発生したそうです。また、机の上にあるPCのディスプレイを見ると、明らかにディスプレイの側面がゆがみ、頭を動かしても直らなかったとのこと。さらに色にもにじみが見られたそうで、iloveoovx氏はApple Vision Proのパススルーを「Meta Quest 3と同レベルだと思いました」と語っています。
iloveoovx氏はPC接続型のVRデバイス「Oculus Rift CV1」を体験したことがあり、その時は自分の手が現実から仮想空間にシームレスに移行する体験に驚いたそうですが、Apple Vision Proではその時の驚きを超える体験は得られなかったと述べています。実際にApple Vision Proを着けると、現実と仮想空間の間にズレがあり、縮尺が微妙に異なっていたそうです。
「もしかすると瞳孔間距離(IPD)が少しずれているのかもしれない」と思ったiloveoovx氏は、他にApple Vision Proを体験した人にも相談したそうですが、結論として「Meta Quest 3の方が、パススルー映像と現実の縮尺が近い」という結論に至ったと述べています。
AppleはApple Vision Proのパススルーにおける遅延はわずか12ミリ秒とアピールしていましたが、これはあくまでもカメラで撮影した映像をディスプレイに映すまでの遅延の話だとiloveoovx氏。体や視線の動きに追随して映像を調整する「Motion to Photon」での遅延ではなく、Appleのアピールは誤解を招く表現だとiloveoovx氏は批判しています。
Apple Vision Proのディスプレイ解像度(片目)は3800×3000ピクセルで、2064×2208ピクセルのMeta Quest 3よりは上。しかし、iloveoovx氏はSafariからYouTubeにアクセスしてHDR動画を視聴した上で、「Apple Vision ProがMeta Quest 3よりも鮮明だとはあまり感じられません」と述べています。
そして、Apple Vision Proの特徴の1つが、視線をカーソル代わりに使う「アイトラッキング」を搭載していることです。しかし、人間が実際に何かを見る際は対象とその周辺をアバウトに見ることが多いため、「意図的に集中して目標に焦点を合わす」というのはかなり困難だったとのこと。例えば、何か許可を求められるポップアップが表示された時、左下に「はい」、右下に「いいえ」が表示されるのですが、左上から右下に目を通した上で「はい」を選ぼうとしても、視線誘導の都合で何度も「いいえ」を選択してしまったそうです。
iloveoovx氏は「人間の目は一日中、時間とともに変化します。同じくアイトラッキング機能を搭載したMeta Quest Proと比べて、Apple Vision Proではアイトラッキング用のカメラが2倍に増えていますが、精度はそれほど変わりませんでした」と述べています。
同じAppleのiPhoneと連携することで使えるApple Vision Proの機能の1つに、iPhone 15 Pro/Pro Maxを使って撮影できる「空間ビデオ」の視聴があります。iloveoovx氏は「180度VR映像のようなもので、全体的にクオリティは予想していたよりもよく、visionOSのUIも大いに役立っています。コンテンツの周囲にもやがかかったようなレイヤーがあることで、まるで記憶のように感じられ、文化的でSF的なつながりに触れることができます」と述べ、高く評価しています。ただし、フルスクリーンにすると、画質によっては映像上にブロックノイズが表示されたそうです。
また、パノラマ写真をApple Vision Proで見るとまるで本当に奥行きがあるように錯覚する瞬間もあったそうで、iloveoovx氏は「素晴らしい」と評価しています。ただし、このパノラマ写真をvisionOSの壁紙に設定することはできないので、おそらく「なぜ壁紙に設定できないのか」と文句を言う人が出るだろうとiloveoovx氏は予想しています。
そして、Apple Vision Proのバッテリーの寿命はMeta Quest 3とほぼ同じだったとiloveoovx氏は報告しています。最終的にiloveoovx氏は「Apple Vision Proの長所はほぼ予想の範囲内でした。私が話した開発者たちの全体的な感想は『想像していたほど完成度が高くない』というものでした」と述べています。
Apple Vision Proを数日使った上で、iloveoovx氏は「3499ドル(約51万4000円)のApple Vision Proが提供できることの80%、いやそれ以上を7万4800円のMeta Quest 3で得られます」と論じています。もちろんディスプレイなどのスペックはApple Vision Proの方がMeta Quest 3よりも上なのですが、iloveoovx氏は「Apple Vision Proの重さを考慮したら、私は長時間の作業やメディア視聴にはノートパソコンや4Kのプロジェクターを使いたいと思います」とコメント。高すぎる値段を差し引いても、Apple Vision Proが重さ・熱・バッテリー寿命でMeta Quest 3を上回っているとはいえないと評価しています。
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