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AppleがiPhoneの性能を意図的に落としていた「バッテリーゲート」に関する巨額の集団訴訟の阻止に失敗


2017年、Appleがバッテリーの劣化した古いiPhoneのピーク性能を意図的に落としていたことが明らかとなり、「バッテリーゲート」と呼ばれる大きな問題に発展しました。Appleはこのバッテリーゲートに関してイギリスで提起された集団訴訟の阻止に動いていましたが、Appleの要求は裁判所によって却下されました。

Judgment (CPO Application) | Competition Appeal Tribunal
https://www.catribunal.org.uk/judgments/14687722-mr-justin-gutmann-v-apple-inc-apple-distribution-international-limited-and-1


Mass lawsuit against Apple over iPhone batteries can go ahead, London tribunal rules | Reuters
https://www.reuters.com/technology/mass-lawsuit-against-apple-over-iphone-batteries-can-go-ahead-london-tribunal-2023-11-01/

Apple could still face $2 billion penalty over iPhone throttling from years ago - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2023/11/01/iphone-batterygate-lawsuit-uk/

Mass lawsuit against Apple over iPhone batteries may proceed, London tribunal rules
https://macdailynews.com/2023/11/01/mass-lawsuit-against-apple-over-iphone-batteries-may-proceed-london-tribunal-rules/

バッテリーゲートとは、2017年末にオンラインで報告された「iPhone 6sのバッテリーを交換したら劣化した性能が回復した」という証言が発端となり、Appleが古いiPhoneのピーク性能を意図的に落としていたことを認めた事件です。

AppleはiPhoneのピーク性能を落とした理由について、バッテリーが劣化したiPhoneで予期せぬシャットダウンを防いだり、バッテリー寿命を延ばしたりすることが目的だったと釈明しています。しかし、アメリカではただちに集団訴訟が提起されました。

古いiPhoneの性能を意図的に落としたと認めたAppleが早くも集団訴訟に直面 - GIGAZINE


Appleはその後、アメリカの消費者に対して和解金を支払うことに応じており、2023年8月には最後まで和解に抵抗していた2人のiPhoneユーザーの訴えが退けられました。これにより、AppleはiPhone 6シリーズもしくはiPhone 7シリーズを購入していたアメリカのユーザーに対し、総額5億ドル(約725億円)もの和解金を支払うこととなりました。

バッテリーゲートに関する集団訴訟はアメリカ以外でも進められており、2021年にはイタリアの消費者団体が6000万ユーロ(当時のレートで約75億円)の損害賠償を求める集団訴訟を提起したほか、2022年にはイギリスでも集団訴訟が起こされました

イギリスの集団訴訟は、消費者権利活動家のジャスティン・ガットマン氏が、イギリスの2400万人もの消費者を代表して起こしたものです。弁護団は、Appleはソフトウェアアップデートでバッテリーを「スロットリング」し、パフォーマンスを制限する電源管理ツールをインストールすることで、特定のモデルのバッテリーにある問題を隠したと主張。Appleに対して、最大16億ポンド(約2900億円)もの損害賠償と利息分の支払いを求めています。

このイギリスで起こされた集団訴訟について、Appleは2023年5月に「原告の主張には根拠がない」として訴訟の阻止を求めました。Appleは文書の中で、「無料のバッテリー交換を提供した少数のiPhone 6sモデルを除き、バッテリー自体には欠陥がなかった」として、ガットマン氏らの主張を強く否定しています。

ところが2023年11月1日、イギリスの競争控訴裁判所はAppleの要求を却下し、集団訴訟の進行を認める判決を下しました。一方で競争控訴裁判所は、ガットマン氏らの訴訟には「明確さと具体性の欠如」があり、裁判の前にこれらの問題を解決する必要があるとも指摘しました。ガットマン氏は声明で、この判決は「消費者正義に向けた大きな一歩」だと述べました。


Appleの広報担当者はテクノロジー系ニュースサイトのThe Vergeに対し、「Apple製品の寿命を意図的に縮めたり、お客様のアップグレードを促進するためにユーザーエクスペリエンスを低下させるようなことは、これまでも、そしてこれからも決して行いません。私たちの目標は常に、お客様に愛される製品を作ることであり、iPhoneを可能な限り長持ちさせることはその重要な一部です」とコメントしました。

なお、Apple関連情報を扱うニュースサイトであるMacDailyNewsは、Appleはすでに複数の国でバッテリーゲート問題の集団訴訟で負けており、ガットマン氏らの弁護団が裁判所に指摘された問題を解決すれば、当然ながら今回もAppleは負けるだろうと指摘。その一方で、最大16億ポンドという金額はあまりに多すぎる可能性があるとして、「この集団訴訟が進行した場合の唯一の問題は、Appleが支払わなくてはならない最終的な和解金額です」と述べています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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