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「なんでもいいよ」と答えると相手からの好感度が下がるという研究結果


「お昼ごはん何食べる?」と聞かれた時などに、「なんでもいいよ」と相手に選択を任せてしまった経験のある人は多いはず。イスラエル唯一の私立大学として知られるライヒマン大学の研究チームは、質問されて「なんでもいいよ」「あなたに任せる」と答えた場合に、相手の困難を増大させて好感度を低下させることを研究で示しました。

You Must Have a Preference: The Impact of No-Preference Communication on Joint Decision Making - Nicole You Jeung Kim, Yonat Zwebner, Alixandra Barasch, Rom Y. Schrift, 2023
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00222437221107593


'You must have a preference': How does lack of preference affect joint decision-making?
https://phys.org/news/2023-02-lack-affect-joint-decision-making.html


一緒に行くランチで何を食べるか尋ねる場合でも、どこかに一緒に遊びに行こうという会話でも、相手に協力的で相手を尊重しようという意思から、「私は特に気にしないので決めていいよ」「私はなんでもいいから好きに選んで」と相手に選択を委ねることがあります。このようなコミュニケーションは一般的に行われていますが、共同の意志決定や消費体験にどのような影響を与えるかについてはほとんど知られていません。このようなコミュニケーションは最終的に消費にどのような影響を与えるのか、またその社会的有用性はどのようなものになるのかを、ライヒマン大学アリソン経営大学院のヨナット・ズウェブナー氏の研究チームが論文で示しました。

研究チームは、「なんでもいいよ」というコミュニケーションに関して、「私たちは相手の回答を、『無関心』と額面通りに受け取るのか、それとも好みがないのではなく『こちらを尊重して任せてくれた』と受け取るのか?」「一方の当事者が『どれでも構わない』と意思を示すと、決定は下しやすくなるのか?」「このようなコミュニケーションは、最終的な消費にどのような影響を与えるのか?」「これらのコミュニケーションの社会的有用性はどのようなものになるのか?」という問題提起を行い、相手に意志決定を委ねる形のコミュニケーションの影響を調査するために、複数の実験が行わいました。


まず、相手に自分の好みを伝えない時によく用いられるフレーズを選定するために、研究チームはオンラインで100人に「相手が明確に選択しなかったため、共同決定するのが難しかった状況」を思い出してもらう調査を行い、どのような発言があったか書き留めさせました。もっとも多く言及されたフレーズは「なんでもいい、気にしない(I don’t care)」で、次に多かったのが「よくわからない(I don’t know)」、その他には「どこでもいいよ」「あなたが決めて」「あなたの好きなようにしよう」と相手に任せるフレーズが挙げられました。

その上で、意志決定のための回答で「好みを伝えた場合」と「好みを伝えずに相手に任せた場合」とで、選択と消費体験に影響があるかを調べる「媒介分析」および、好みに関するコミュニケーションが追加で含まれているかが結果に影響でるか分析する「調整媒介分析」を実施しています。さらに研究では、「映画の場合」「ゲームの場合」「知りたい情報の場合」などでカテゴリに分け、「好みのジャンルを消費できた喜び」ないし「好みではないジャンルを消費した時の効用の低下度」を記録しました。


結果として研究者らは、「『なんでもいいよ』というような回答は、決定を任された相手の困難を増大させ、回答した人の好感度を低下させる」と結論付けています。また、決定を任された側は、「解答者の好みが自分の好みと似ていないのではないか」と感じ、自分の好みからは少し離れた選択肢を選ぶ傾向があり、その影響で最終的な共同消費から得られる楽しみが減ってしまうことも示されました。

ズウェブナー氏は「誰かがあなたの好みを尋ねたとき、あなたは進んで『私はこれが好きです』と答えますか、それとも『お任せします』『私には特に好みはありません』と答えますか?私たちの多くは、あまり要求を出さず相手にとってのんびりして感じが良いように見せようとして、自分の好みを隠しておきます。これが公平さにつながり、公平であることが、相手、友人、または職場に良い印象を与えるのに役立つと信じています。しかし、私たちの研究では、その逆が真実であることがわかりました。自分の好みを伝えないという選択は、実際に共有された経験、さらには関係を損なう可能性があります」と研究結果について述べています。


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in メモ, Posted by log1e_dh

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