サイエンス

地球から199億km離れたボイジャー2号との通信がNASAのミスで遮断される


木星よりも遠くの外惑星および衛星の探査を目的として、1977年8月20日に打ち上げられた無人宇宙探査機がボイジャー2号です。ボイジャー2号は2018年11月に太陽圏を離脱し、2026年まで探査を継続できる予定だったのですが、地球から送信したコマンドによって誤ってボイジャー2号との通信が遮断されてしまったことをNASAが発表しました。

Mission Update: Voyager 2 Communications Pause – The Sun Spot
https://blogs.nasa.gov/sunspot/2023/07/28/mission-update-voyager-2-communications-pause/


NASA mistakenly severs communication to Voyager 2 • The Register
https://www.theregister.com/2023/07/31/nasa_mistakenly_disconnects_voyager_2/

ボイジャー計画はアメリカ航空宇宙局(NASA)による太陽系の外惑星および太陽系外の探査計画です。ボイジャー計画に基づいて、1977年にボイジャー1号とボイジャー2号が打ち上げられ、ボイジャー1号は木星や土星とその衛星を、ボイジャー2号はさらに天王星と海王星を観測しました。ボイジャー計画によって、土星だけではなく木星や天王星、海王星にも環(わ)があると判明しています。

また、ボイジャー1号・2号にはゴールデンレコードと呼ばれる、異星人へ向けたメッセージを収録した金属板が搭載されています。


そして2018年11月、ボイジャー2号は太陽圏から離脱し、星間空間に入りました。ボイジャー2号は、ボイジャー1号に続いて2例目の「太陽系を離れて星間空間に到達した人工物」となりました。

NASAの探査機「ボイジャー2号」が太陽系を離脱して「星間空間」に到達 - GIGAZINE


記事作成時点でボイジャー2号は地球から約199億km離れた場所を飛行しており、毎秒約15kmの速さで地球から遠ざかっています。ボイジャー2号に搭載されているアンテナは地球の方向を向いており、片道だけでも約18時間25分もかかりますが、地球との連絡も定期的に行われています。

2023年4月には、ボイジャー2号の電力管理を切り替える操作を地球からのコマンドで実行しています。ボイジャー2号には原子力電池が搭載されているのですが、原子力電池は時間とともに発電量が低下していくため、探査用のセンサーを動かすのに必要な電力を補えなくなってしまいます。そのため、地上からのコマンドでボイジャー2号にあらかじめ搭載されていた予備電力装置を稼働させることで、探査が続行できるようになったというわけです。

NASAによると、2023年7月21日にボイジャー2号に送信されたコマンドに誤りがあり、アンテナが地球から2度ずれた方向を向いてしまったとのこと。この2度のずれによって、ボイジャー2号は地球からのコマンドを受信したり、データを地球に送信したりすることができなくなりました。


ただし、ボイジャー2号はアンテナを地球に向け続けるために、毎年何度も向きをリセットするようにプログラムされているとのこと。次回のリセットは2023年10月15日に予定されているため、このリセットで再びアンテナが地球に向き、通信が再開されるはずだとNASAは述べています。

なお、今回のミスが、地球から約240億km離れたところを飛行しているボイジャー1号の活動に影響を与えることはないそうです。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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