サイエンス

NASAが8カ月間にわたる中断を経て太陽圏を脱出した「ボイジャー2号」に再び信号を送ることに成功

by Kevin Gill

1977年8月20日に打ち上げられた無人宇宙探査船のボイジャー2号は、観測したさまざまなデータを地球に送信して宇宙研究に大きく貢献しています。2020年3月中旬からアメリカ航空宇宙局(NASA)とボイジャー2号との交信が中断されていましたが、2020年11月3日にNASAが「およそ8カ月ぶりにボイジャー2号との交信に成功した」と報告しました。

NASA Contacts Voyager 2 Using Upgraded Deep Space Network Dish | NASA
https://www.nasa.gov/feature/jpl/nasa-contacts-voyager-2-using-upgraded-deep-space-network-dish


NASA calls Voyager 2, and the spacecraft answers from interstellar space | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/11/nasa-calls-voyager-2-and-the-spacecraft-answers-from-interstellar-space/

Voyager 2 is back online after eight months of radio silence • The Register
https://www.theregister.com/2020/11/03/voyager_2_back_online/

ボイジャー2号は太陽系の外側にある木星土星天王星海王星を探査する目的で、姉妹機であるボイジャー1号と前後して打ち上げられました。両探査機には観測や交信用の機器だけでなく、地球外生命体に遭遇した際に地球の文化を伝えるための「ボイジャーのゴールデンレコード」が搭載されていることでも知られています。

1977年に打ち上げられたボイジャー2号の主な任務は1989年の海王星探査に伴って終了しましたが、その後も太陽系の外へと向かいながら稼働を継続し、観測データを地球に送り続けていました。2018年には太陽から吹き出すプラズマである太陽風が届く範囲から離脱して星間空間に入り、ボイジャー1号に続いて太陽圏の外に到達した2機目の探査機となりました。

NASAの探査機「ボイジャー2号」が太陽系を離脱して「星間空間」に到達 - GIGAZINE


記事作成時点では地球から約188億kmほど離れた場所にあるボイジャー2号との交信は、NASAが立ち上げたディープスペースネットワーク(DSN)という通信網によって行われています。DSNは低軌道衛星ではない惑星・小惑星などの探査機全般と、1年を通して交信するために構築されたネットワークです。

DSNの交信を担う地上局はアメリカ・カリフォルニア州のゴールドストーン深宇宙通信施設、スペインのマドリード深宇宙通信施設、オーストラリアのキャンベラ深宇宙通信施設の3カ所であり、それぞれが120度間隔で設置されています。いずれも超高感度の受信機および強力な送信機で構築されていますが、DSNの運用が始まったのは1960年代のことであり、設備の老朽化が進んでいるとのこと。

by biedronne

そこでNASAは、キャンベラ深宇宙通信施設にある直径70mもの巨大パラボラアンテナDeep Space Station 43(DSS43)の改修工事を実施することを決定。改修工事に伴って2020年3月中旬からDSS43の交信機能がオフラインとなりました。

基本的にDSNは1つの地上局がダウンしても他の地上局が交信をカバーできる仕組みになっていますが、地球の南に進路を取っているボイジャー2号はまれな例外であり、北半球にあるゴールドストーン深宇宙通信施設やマドリード深宇宙通信施設から信号を送ることができません。そのため、ボイジャー2号と交信できる唯一のパラボラアンテナだったDSS43がオフラインになったことで、地球からボイジャー2号に信号を送る手段がなくなり、交信が途絶えてしまったとのこと。


もっとも、ボイジャー2号から送られる観測データについては、キャンベラ深宇宙通信施設にある幅34mのアンテナを使って受信することが可能でした。そのため、完全に通信が途絶したというわけではなく、あくまで地球から信号を送れない一方通行の状態になってしまったといえます。

巨大なクレーンを使って行われたDSS43の改修工事の様子は、以下のムービーを見るとわかります。ボイジャー2号との通信に使われる無線送信機が47年ぶりに更新されたほか、電気ケーブル、電源、冷却装置などの交換が実施されたそうです。


10月29日、DSS43に新しく設置された無線通信機器をテストするため、3月中旬に工事が始まってから初めてオペレーターがボイジャー2号にコマンドを発信。ボイジャー2号との通信には片道17時間、往復で34時間の遅延が発生しますが、NASAはボイジャー2号から送信された「地球からの信号を受け取った」ことを確認するシグナルをキャッチし、8カ月ぶりの交信に成功しました。

今回の交信成功により、DSS43に新しく取り付けられた機器がうまく動作することが確かめられました。NASAのジェット推進研究所でDSNのプロジェクトマネージャーを務めるBrad Arnold氏は、「今回のボイジャー2号とのテスト通信は、私たちが行っている作業が順調に進んでいることを示しています」と述べています。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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